【創作SS】緊急手術の夜
腹膜炎併発・虫垂炎の緊急手術を終えた看護師2人が看護室に戻ってきた。真夜中で帰宅がしにくい時には、ここで朝まで体を安める。
「武田先生は手際が悪いし、すぐ余計なことを言うから駄目よね」
小野が、助手だった武田医師を批難した。
「余計なことって、最初の「汚い」ですか」
今年採用されたばかりの酒井が確認する。
「開腹したら炎症が酷く、膿だらけで「汚い」のは解るけど、局所麻酔で患者さんに聞こえてる時は駄目よ」
「確かに、患者さん吃驚してました」
ノックの音がして、鈴木看護師が入ってきた。
「今見てきたら、イカ室たぎった状態よ。執刀医も麻酔医も怒り心頭。武田先生小さくなってた」
嬉しそうに報告した。
小野は笑ったが、酒井はきょとんとした表情で先輩に尋ねた。
「イカ室って、うちの病院で烏賊を飼っているんですか」
今度は二人がきょとんとし、変な空気が流れた後に小野が気づいた。
「烏賊室じゃなくて、医科室。先生方が休憩する部屋のこと」
(本文ここまで)
【イカ室たぎった】
#毎週ショートショートnote
たらはかにさんの「毎週ショートショートnote」の裏お題にも挑戦です。
できが良くないのは覚悟の上、だけど
「書かないよりも書いた方が成長できる」
「作品はどれも可愛い」
と思いながら投稿します。
ちなみに「実話ベース」です。私が「腹膜炎併発・虫垂炎」で、夜半に救急搬送され緊急手術を受けた際、お腹を開いた瞬間に執刀医が
「きったないなー」と呟き、助手が「きったないですねー」と応えるという、もっと悲惨な状態でした。
「おいおい、人の腹の中を見るなり「きったない」とは失礼じゃないかい」
と思いましたが、それ以来
「俺は、腹の中が汚い男だぜ。〇〇病院の先生のお墨付きだ!」
というネタに使わせていただいています。そして、今日【毎週ショートショート】のネタにできたので、ヨシとします。
人生にムダなことなど ひとつもないですよ。
いかに活かしていくかです。
こうして「できが良くない作品」も無駄にはしない!
3年間の投稿も無駄にはしない。未来の糧にする!
というか、創作よりも実話の方が「無駄に面白い」気がします。気のせいですよね。
#何を書いても最後は宣伝
noteではふざけた展開が多いですが、kindle出版の物語は真面目な話です。これなんか凄く固いお話です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
福島太郎は「文学フリマ東京36(5月21日)、文学フリマ大阪11(9月10日)」に出店を予定しています。
また「文学フリマ岩手(6月18日)」は出店の抽選待ちですが、出店できない場合は、遊びに行く予定です。
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サポート、kindleのロイヤリティは、地元のNPO法人「しんぐるぺあれんつふぉーらむ福島」さんに寄付しています。 また2023年3月からは、大阪のNPO法人「ハッピーマム」さんへのサポート費用としています。 皆さまからの善意は、子どもたちの未来に託します、感謝します。