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【お題投稿】彼女の紫蘇が枯れたから

 「題名のない物語」のきっかけは「スウィングマンさん(中の人 せれーのさん)」がnoteに投稿した「紫蘇を枯らした」記事でした。
正直に申し上げます。
「紫蘇を枯らした?あんなに強いのに」
というのが第一印象でした。
「枯らそうとしたって枯れるようなものじゃない」
では、何故、枯れてしまったのか。
「水のやり過ぎ、愛情の込め過ぎなのだろう」
ということで、投稿者であるせれーのさんについて、「愛情豊かな女性」というイメージを膨らませ、
「それだけ愛されたからには、紫蘇は幸せだったのだろう」
と考え、そのような意味のコメントをしました。しかし「何故、栽培したのが紫蘇だったの」という疑問が残ったままでした。

 そんな在る日、夜中にスマホが音を告げ、一通のlineが届きました。
「元気ですかー」
一行だけのline。相手は以前、仕事で知り合い、何度か仲間内で食事をした女性からでした。僕は好意を抱いていたけれど、恋にもならないまま、今は郡山と東京で暮らしている。そして、彼女は酔った時だけ、こうしてlineを送ってくることがある。いつもならlineを返し、他愛も無いやりとりが始まるけれど、何だかその日はレスを返す気持ちになれない。
 ピロン。
 頭の中で音が響く。
「紫蘇を枯らして1行lineをする女と、レスを返さない男。離れて暮らす二人」
 こうして「夢で逢えたら」というショートショートが生まれました。これは「旅する日本語」にエントリーするために作成しました。

 しかし「何故、二人は別れたのか。何故、離れて暮らしているのか。何故、紫蘇なのか」という新たな疑問が生まれてしまったのです。わからないことをそのままにはしておけない性分です。
 こうして、自分の疑問を晴らすためだけに、二人の物語を綴ることにしました。せれーのさんが合唱経験者という記事を拝読していたため、「女性は歌が上手い」という設定にしましたが、後は何も考えず「題名のない物語(以下、無印)第1話」を書き上げました。
 次の展開は全く考えない、ゴールもわからない、物語になるのかもわからない、そんな状況でした。その気持ちがそのまま題名になりました

 そしたら吃驚!
 作者の思惑とは関係なく、キャラが勝手に動き出して「一旦完結」してしまいました。「天職」、「セレーノ」という言葉がキーワードになり、良いエンディングを作ってくれました。こんな経験は初めてでした。その上、自分達で「一旦完結」させておきながら、「紫蘇の話が回収できていない」、「西野の心理描写が少なすぎで物足りない」とか言いながら、「題名のない物語 WSS(ウエストサイドストーリー)(以下WSS)」という形で、新たな物語を創りはじめたのです。

 「何故、紫蘇なのか」という疑問も綺麗に回収してくれました。
まるで最初から「紫蘇」を活かすことを考えて創作したようです。
まるで最初から「西野」を主役としたWSSを綴るために「夢で逢えたら」や「無印」を創作したようです。
 天に誓ってそんなことはありません。全ては偶なるものでした。

 逢ったこともない、本名も知らない、せれーのさんの紫蘇が枯れたから生まれた小説の話でした。

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福島太郎@kindle作家
サポート、kindleのロイヤリティは、地元のNPO法人「しんぐるぺあれんつふぉーらむ福島」さんに寄付しています。 また2023年3月からは、大阪のNPO法人「ハッピーマム」さんへのサポート費用としています。  皆さまからの善意は、子どもたちの未来に託します、感謝します。