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【創作SS】確かめて欲しい

「この本、面白いよ。読んでみない」
「会津ワイン黎明綺譚?ワインの本ですか」
「いや、葡萄農家さんの物語。黎明って夜明け前のことだから、会津ワインが生まれる前の話でした」
「本当に面白いんですか」
「最初だけでも読んでみてよ。
春先、就職のために会津に向かう主人公が、車で山を登り、目線がだんだん高くなるドライブの場面がさ、不安と期待を描写したロードムービーみたいでグッときたね。
あと、就職先の先輩が、最初はチャラくて屑っぽいけど、キラリと光る星のような煌き、ドライに見えて不器用な優しさを見せて、魅力的だった」
星 屑 ドライ ブ器用なキャラなら、田中先輩と一緒ですね」
「俺は不器用だけど、屑でもドライでもないよ。優しくてウェット」
「そうですかぁ」
「納得できないなら、勤務時間外に確かめてみない」
「……本が面白かったら、感想会しますか」
微笑みを浮かべながら、寄り添う男女が表紙に描かれた本を受け取った。

 春は、もう、すぐそこに。
(本文 ここまで)

#毎週ショートショートnote

 はい、たはらかにさんの「毎週ショートショートnote」に参戦です。

 なお、作品の内容はフィクションです。
 実在の人物とは全く、全然、少しも関係ありませんこと、申し添えます。
 けど「会津ワイン黎明綺譚」という本は実在します。こちらです。

 是非、皆様にも感想会に向けて、面白いか
「確かめて欲しい」
と、願うものであります。

 最後までお読みいただきありがとうございました。
 福島太郎は「文学フリマ東京36(5月21日)、文学フリマ大阪11(9月10日)」に出店を予定しています。
 また「文学フリマ岩手(6月18日)」は出店の抽選待ちですが、出店できない場合は、遊びに行く予定です。


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