「多くのESはちゃんと読まれない」からはじまる意識改革
現在就活生ということもあり、就活仲間と書いたES(エントリーシート)を読み合う機会が多いです。その人の人となりや考えが伝わるESに出合えるとうれしくなる一方、もっとこうしたらいいのにな…と思ってしまうものもあります。
後者で感じるのは、書き手と読み手の「読む」に対する温度差を意識できていないことです。
基本的に、書き手は「ESを全部読んでもらえる」と思っているのに対して、読み手は「興味をひくものがあれば読む」というスタンス。お互いに読み合うということをしているから読むものの、興味をひかれないものは正直読みたくないなと思ってしまいます。そこで大事なのが、読んでもらうための努力。それをしていない人が多いと思うのです。
そこで今回提案したいのが、「人事はESを全部読んでくれる」のではなく、「人事は多くのESをちゃんと読まない」から、「じゃあどうする?」と考える意識改革です。
自分のESは「読んでくれる」と思いがち
読み手と書き手の温度差を自覚したのは、武藤孝幸さんが書かれたの「史上最強の内定獲得術」という本です。本の一節に、衝撃を受けました。
ESでつまずいている人は、たいてい相手の視点を意識できていないものです。自分のことを、自分だけが分かるように書いているため、相手の心に響かないのです。それでは、落とされてしまうのも無理はないでしょう。
- 「史上最強の内定獲得術」 武藤孝幸 著
就活では、1つの企業に対して数千~数万件を超えるESが提出されています。もちろん人事の人はESを読む以外にも、日常の業務など多くの仕事を抱えています。
企業側がそんな状態なのにも関わらず、私たちは自分のESをきっと全部読んでくれるだろう(なんなら丁寧に読んでくれるはず)と期待してしまいます。
あるデータでは、「人は400字を超えるWebページの30%程度のテキストしか読まない」のだそうです。そう考えると、企業側の人のESの読み方も、データと全く同じではないにせよ、全部を丁寧に読んでくれると考えるのは書き手の高慢ではないでしょうか?
そこで仮説を立てました。
「全部読んでくれる」という前提から、「ちゃんと読まない」という前提に変えてみたときに、書き手(=自分)の意識は変わるだろうか? と。
「読まれる前提」を考え直してみる
自分の文章はちゃんと読まれないという前提に立って考えてみると、意識が読み手のほうを向くので、やるべきことが見えてくるようになりました。
今自分が文章を書くときに意識している3つのポイントです。
1. なぜこの記事が大事かをすぐ伝える
このESで伝えたいことは何なのか、どんなことを書いたものなのか、冒頭で結論を伝えてしまう。興味を持って続きを読んでもらえるように。最悪、結論だけ読んだあと離脱されてもいいように。
2. 完読よりも理解されることを優先
分からない部分があるとその後を読んでもらえなくなりやすい。
自分よがりの文章にならないように相手に理解してもらえるような文章を書くことを常に意識する。
3. 情報の流れに優先順位をつける
文章は普通、上から下に読まれる。だから、優先順位が高いものから順に並べていく。ESを書くときには、必ず構成案からつくる。
「ちゃんと読めばわかる」を減らす
全部読んでくれないのであれば、話してわかるレベルまで伝えたいポイントを絞る必要があります。その中で自分の伝えたいことが相手に伝わるようにするためには、違和感(= 読んでて何となくわからない感じ)を生む箇所を取り除くしかありません。
読み手に違和感を与えないようにする努力は、ESだけでなく
「面接」にも活きる考え方です。
昨日読んだLINEエンジニアブログでも、ES作成に通じることが書かれています。自分で読み方を工夫する時点で読者に工夫を強いているので、淡々と読んでも理解できる文章を目指すべきだ、と。
もっとわかりやすく伝えようと何度か読んでいるうちに、どういうわけか自然と、緩急をつけて読んだり、間をあけたり、すこし強調して読んだり、いずれにしても何か読み方を工夫するのではないでしょうか。読み方を工夫した時点で、読者に伝わらない可能性が非常に高くなっていると判断してください。
- LINE社内で大評判のテクニカルライティング講座で説明した内容をあらためてブログにまとめてみた
まとめ
完読よりも理解、なんて書いてしまったものの、完読してもらうことが一番ですし、完読してもらうための努力は書き手のスキルを大きく高めてくれます。書いたESを友人と見せ合い、違和感を生む箇所がないかをチェック。何度も推敲を重ねて、ESを完成させていきましょう。
今回はESに関してでしたが、「史上最強の内定獲得術」では自己分析から面接、OB訪問など就活対策全般に関する本質的なノウハウを紹介しています。
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