沼にハマった話 ～洗濯機と食洗機の魅力～

ある時期、私は洗濯機や食洗機が動く様子をぼーっと眺めることにハマっていた。仕事で疲れ切って帰宅し、何も考えたくない夜、洗濯機の中で衣類がぐるぐると回るのを見ていると、不思議と心が落ち着いた。同じように、食洗機の中で水が勢いよく噴き出し、食器が洗われていく様子も、まるで小さなショーのように感じられた。

最初はただの「なんとなく」だった。しかし、気がつけば毎日のようにスイッチを入れては、その動きをじっと見つめていた。特に洗濯機の「脱水モード」に入る瞬間は、回転のスピードが一気に上がり、遠心力で衣類がぴたりと張り付く様子がたまらなく面白い。まるでジェットコースターの急加速のようなスリルがあった。

食洗機の方も負けていない。内部でシャワーのように水が噴き出し、泡が立ち、食器が少しずつきれいになっていく。扉を開けることはできないが、うっすらと光る庫内の窓越しにその様子を眺めるのが楽しかった。まるで実験映像を見ているかのようで、気がつけば時間が経っていた。

振り返ると、これは疲れた心が求めた「癒し」だったのだと思う。機械が文句も言わず、黙々と仕事をこなす姿は、ある種の安心感を与えてくれた。何かを生産するわけでもなく、ただ眺めるだけの時間。そんなささやかな沼に、私はしばらくどっぷりと沼っていた。