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販促コンペ・歴代グランプリの『アイデア』抽象化

広告業界関連の人だけでなく、ビジネスマンの多くの人が関わるであろう、販売促進。その販売促進の公募であり、広告クリエイターの登竜門となっているのが毎年4月から行われる宣伝会議の「販促コンペ」です。
今回はそんな販促コンペの歴代グランプリ作品の『アイデア』を分析・抽象化することで、今後の思考法に活かすため・ヒントとするために書いていきます。(ほぼ自己満なので細かい点はご容赦ください😈)

第一回グランプリ:
『商品をターゲット間で共有できる動機を作る』

こちらの課題は「ティーンのコカ・コーラ飲用者・飲料頻度の拡大につながるプロモーション提案」でした。
発案者の菊池さんはこのように語られていました。

〜前略〜
まず、「誰かにあげる」という目的なら自分も買うかもしれないと考えました。そこからメッセージをマジックで書いたら、文字が見えないのでシークレット・メッセージになると思いつき、友人にやってみたら実際にうまくいったので、この企画が生まれました。
(売れる「販促アイデア」の企画・発想術~販促コンペ・グランプリ受賞者 座談会~ から)

★まず「ターゲットがどのようにしたら、商品と接するか」から考え始めること
菊池さんは自分だったらから始められています。
当たり前ですが、アイデア以前にターゲットや商品についてしっかり考えることから。

★「プレゼント」→「飲み物」→「手紙・メッセージ」とターゲットの中で「コーラのあり方」が変化しています
同じモノであってもその時々で「あり方」「存在概念」が変化すると、感じ方が変わり、人の心は動きやすいのではないかと思います。

こんな感じのコミュニケーション他にもありそうなので、調べます。

こちらのコミュニケーションは、「恥じらいがあるけど、何かプレゼントを贈りたい」という感情をシンプルに解決していると思います。

第二回グランプリ:
『二者のターゲットの、比重が重い方に寄る』

こちらの課題はご覧のように「親子で朝日新聞を読みたくなるプロモーションアイデア」です。

★抱える問題点を把握・定義付けすること
この課題では「子供をいかに新聞に興味を持ってもらうか」+「親子で読みたくなるには」このあたりのことが問題点として定義されていると思います。
確かに新聞がきっかけでポケモンのようなバトルができたら、新聞にも興味を持ちますし、新聞がきっかけで親子・友人間の会話が生まれますね。

読めと言われるのではなく、子供たちから見たいと思ってもらえることが重要になっていました。
新聞を読み取るという仕掛けがさりげなくて、とても良いと思います。

第三回グランプリ:
『ターゲットに間接的にアプローチする』

課題はご覧の通りだ。

★ターゲットに間接的にアプローチする
このアイデアの肝は直接的にターゲットにアプローチするのではなく、親をワンクッション入れることでターゲットの利用を促す、継続させることをもくてきとしていることでしょう。
新社会人の抱える、「新聞購読のきっかけがない」「お金がない」という課題から上手く転換されています。

★ネーミングのキャッチーさ
「紙贈り」は「仕送り」とかかっていて、意味も理解できます。
ダジャレやもじりは、利用者に分かりやすく伝わりますね。
自分にも経験があることですから、想像しやすい。

第四回グランプリ:
『使い続けてもらう→時間がかかるコトと共に』

課題は「インスタントカメラ『チェキ』の購買を喚起させる企画」。
スマホのカメラが日常では主要になりつつも、20代女性のユーザーが多くいることから考えられたアイデアです。
他の商材に比べ、「もう一度目を向けてもらい、使い続けてもらう」という課題があり、小手先だけのアイデアでは通らない課題だなと思います。
僕はこのアイデアが過去のグランプリの中で一番よく考えられていると感じました。

★使い続けてもらう→長く時間がかかるコトと共に
子供が育つ様子を一日ごとに記録して行き、その成長過程を後の写真展に繋げられていて、チェキの特性・長所を活かした素晴らしい企画です。
1年だけで終わらず、3歳までとか幼稚園入るまでとか、その後の購買も容易に想像できます。
スライドも分かりやすく、プロモーションまで考え込まれていて「これは通るわぁ〜」と思いました。

また大変な子育てを少しでも楽しくできる施策であり、富士フィルムさんが実際にやられなくてもこれを見て「やりたい!」と思う親御さんが出てきてもおかしくない企画です。

第五回グランプリ:
『モヤモヤな心境→「鼻高なこと」+「存在感のあること」に転換』

課題はご覧の通り。
これもアイデアで突破されていると思っていて、実際ネット注文数を増やすアイデアとなると、単純にフェルミ推定などをして「お客様との接点数の増加→ネットやアプリを中心とした施策」だったり「ネットを見たお客様の購買欲の喚起」みたいなところに収まってしまったりするのかなぁとか思います。

★モヤモヤ→「鼻高」+「存在感」
欠席する人がピザの予約し奢ることで、申し訳なさを解消。
顔写真を貼ってその場での存在感も出せる。
仲間間といる時のリアルな感情の変化が細かく捉えられています。

★ネーミングが秀逸
「おいしい欠席」は、コピーライターの方ならご存知であろう糸井重里さん考案の西武百貨店のキャッチコピー「おいしい生活」からきているでしょう。
また意味的にも、味が「美味しい」と、注目されて「おいしい」がかかっていて制作されていた方々は楽しかったのではないかなぁって勝手に思ってます。(笑)

第六回グランプリ:なし

第七回グランプリ:
『ライフステージから、アイデアを広げる』

課題はご覧の通り。

★ターゲットの状況・心境を抑え、欲求に答える
2枚目のスライドで40代のお母さんの悩みについて触れ、そんなお母さんにはどんな状況にあるのかを深く掘り下げています。
商品×受験はよくありますが、受験先行の企画ではないためターゲットにしっかり商品が届く施策ではないかと思います。

★やはりキャッチーなネーミング
「本命酒」は上手い(笑)

第八回グランプリ:
『海外事例を参考にする』

課題はご覧の通り。

★消費者側の課題を、「全体」から考えていく
こちらのアイデアは、出版業ではあまりやって欲しくないであろう「回し読み」をあえてやってしまおうという機転の効いたモノだと思います。厳密に「販売促進か?」と言われたら、少し悩みますが。
ただアイデアとしていいなと思っていて、まず使ってみようと思えますしきっかけとしては最高だと思います。

★海外の事例から持ってくる
これ実はアメリカ版のKindleではできるものらしいんです。本を一度に14日間貸出することができ、貸出中は貸し手はその本を読むことができません。

仕組み自体は既存なモノですが、こうした海外の事例を日本に取り入れることで新しいものへと変わります。
海外の同じような業種がやっていて、まだ日本にないプロモーション展開・企画は要チェックですね。

第九回グランプリ:
『毎年→「年」に関連したもの』 『違和感を作る』

課題はご覧の通り。

★毎年→年と関係あるもの
このアイデアは過去グランプリの中で、個人的に好きなアイデアです。
確かに中身が切れてると分かっていても、替えようかと少し迷ってしまいがちです。なんかあるだけで満足しちゃってるというか。

それを十二支のパッケージにすると、うさぎ年なのに虎がかかっていたら気になりますね。大掃除の時に付け替えるなんかのルーティーンまで見えます。
良い意味での「違和感」を作っていてとても好きです。

第十回グランプリ:
商品の特性から、課題を解決できるシーンを考える

課題はご覧の通り。

★商品の特性から、課題を解決できるシーンを考える
「ブラックサンダー32円」と「帰国する外国人観光客のわずかに余った日本円」
めちゃめちゃ相性良いですね(笑)
海外に行っていて、わずかに小銭が余って困ったことは僕にもあります。
困るということは、そこに人の欲求があるということ。
そんな欲求を、ブラックサンダーの特性「一個の値段が安い」ことを上手く使い、考えられていると思います。

第十一回グランプリ:
『ターゲットが持ち運びやすい形にする』

課題はご覧の通り。

★ターゲットの持ち運びやすい形に
このアイデアの素晴らしい点は、ターゲットの抱える不満に合わせて「持ち運びたくなるようにした」という点だと思います。
そこを他の課題と組み合わせれると良いのかなと思います。

まとめ

1.商品をターゲット間で共有できる動機を作る
2.二者のターゲットの、比重が重い方に寄る
3.ターゲットに間接的にアプローチする
4.使い続けてもらう→時間がかかるコトと共に
5.モヤモヤな心境→「鼻高なこと」+「存在感のあること」に転換
(6.なし)
7.ライフステージから、アイデアを広げる
8.海外事例を参考にする
9.毎年→「年」に関連したもの・違和感を作る
10.商品の特性から、課題を解決できるシーンを考える
11.ターゲットが持ち運びやすいように形にする

そりゃそやろ的な抽象化になっているモノもありますが、アイデアを考える時、煮詰まった時などに思い出していただけたらと思います。

これまで歴代のグランプリ作品を見てきましたが、やはりどれもやってみたくなるような面白いものばかりでした。

しかし、それらのアイデアもターゲットの調査や企業・商品に対する理解が十分になされた上で初めて成り立つモノだと思います。トーン・マナーやターゲットの欲求をしっかり抑えることが受賞への第一歩であることは間違いありません。

また既存のサービス・企画を普段から意識していることも重要かと思います。
第八回グランプリはアメリカ版Kindleの仕組みをコミックシーモアに応用したモノであると思いますし、第十回グランプリも、実際にわずかなお金をSuicaやポイントカードにチャージするポケットチェンジのブラックサンダー版とも言えます。
仕組みとして新しいかを追求することも大事ですが、「組み合わせとして新しいか」「販売促進として人が動くのか」という視点も大事だと思います。
もちろんこうした既存のアイデアをもとにしたアイデアは、他の応募者と被るリスクが高いかもしれませんが、着想の起点としてはとても良いと思います。
日頃から面白い企画やアイデアは、目をつけ続けた方が良いですね。

いずれにしても協賛の企業の方が認められたアイデアの裏側には、事前の下準備が確実にされています。
アイデアを出す前の準備の大切を改めて感じました。


もうすぐ4月です。僕も頑張ります。

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