#7【シナリオ術】「無職転生〜異世界行ったら本気だす〜」から学ぶログラインの大切さ
序論:異世界転生物のアニメは初めて観ました
先日読んだシナリオ技術に関する書籍「save the catの法則 本当に売れる脚本術」を読んで、「ログライン」という言葉と出会いました。
(この本はシナリオライター兼Youtuberとして活動されている睦樹裕太さんの動画を参考に、読み始めました。是非こちらの動画もご確認ください。)
ログラインとは、いわばその作品を一文で表現したものです。
名探偵コナン(青山剛昌)
「毒薬を飲まされ身体を縮んでしまった高校生探偵が、「江戸川コナン」と名乗り、小学生として難事件を次々に解決する」
「あらすじをより端的にまとめたもの」という認識で良いと思います。
ポイントは「誰が」「どんな状況で」「何をするか」がひと目で理解出来ることです。
皆さんは本屋を訪れたとき、あるいはAmazonPrimeで次に観るアニメを決めるとき、どのような基準で作品を選んでいますか?
それはきっと
「なんとなく面白そうだから」
「パッケージ(表紙)が魅力的で惹かれた」
「流行りの作品だから」
などのざっくりとした理由であることが多いと思います。
本を買うのにいちいち
「この作品は文章は〇〇だから傑作に違いない」
「買って後悔しない作品だろうか…」
などと2、3時間ショップに居座る人はそう多くないでしょう。
(私は時々ありますが…)
読者の関心は次から次へと切り替わっていきます。
音楽、映画、本、運動、SNS、友人との遊び、恋人とのデート…
時間は有限、しかし楽しいことは無限。
SNSの投稿と同じように、私たちが一生懸命作った作品も、一瞬トピックに上がったかと思えば、時間の経過とともに記憶からどんどん離れていってしまうのです。
では我々がすべきことは?
どうすれば沢山の人たちに見てもらえるの?
それは結局、面白い作品作りに尽きます。
面白くて目が離せない。離脱率の低い作品を作り、何度も試行錯誤しながら作り続けていく。クリエイターに出来ることは、たったそれだけなのです。
だからこそ、重要になるのです。
たった一行で読者の心を掴む「ログライン」が。
本論:「無職転生」のログラインがとても参考になる
現在(2021/2/17)放送中のアニメ「無職転生」が非常にログラインの参考になるので、ご紹介致します。
このアニメは、2012年から小説投稿サイト「小説家になろう」で連載されていたラノベ作品で、2021年1月よりアニメ化しました。
それまで不甲斐ない人生を送ってきた主人公が、それまでとは全く違った環境に身を置かれ、孤軍奮闘する。このような展開は、いわゆる「なろう系ラノベ」というジャンルの定番で、そのパイオニアとも言える作品だそうです。
この作品のログラインを考えてみましょう。
34歳のニート男が生まれたばかりの赤ん坊としてファンタジーの世界へ転生し、「今度こそ本気で生きていく」ことを目標に壮大な冒険を繰り広げる。
・主人公の背景(ニート、後悔ばかりの人生、劣等感)
・シチュエーション(魔法の使えるファンタジー世界)
・主人公の目的(文字通り生まれ変わり、新たな人生を生きること)
込み入った説明は不要で、非常にシンプルですね。
「それまで人生に夢も希望も持てなかった主人公」が、「どこか諦めかけていた希望を追い求め」て成長する、という成長の物語。
そして、その過程で描かれる登場人物とのやりとりから生まれる葛藤。
ドラマとは、葛藤のことです。
人との対立であり、
弱い自分との闘いであり、
抑圧や社会からの解放です。
人は葛藤から、感動を得られる生き物です。
きっとこれから、主人公はそのような”葛藤”を幾度となく味わうことになるのでしょう。そして、そのような想像を掻き立てられている時点で、この「無職転生」のログラインは成功していると言うことが出来ます。
(↑漫画もあるみたいです。)
結論:グッとくる展開や構成も大事だけど、まずはわかりやすいログライン作りから
こうしてシナリオの技術に関する勉強を始めてからと言うものの、セオリーの大切さが身に染みるようになりました。
「この作品でもこのテクニックが使われているのか!」という発見があると、作品を読んだり、観たりするのが何倍も楽しみになりますね。
「楽器を練習して初めて、吹奏楽部の演奏の凄さがわかる」
「飲食店のキッチンでアルバイトを経験したからこそ、いつもご飯を作ってくれるお母さんのありがたみを知る」
それと同じだと思います。
(…同じか?)
今回も最後まで読んでくださり、誠にありがとうございます!
こちらの記事では、「センスの磨き方」について説明させて頂いております。
少し古い記事ではありますが、(ちょうど一年くらい経つのですね…)是非参考にしてみてください!
民奈涼介
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