ドストエフスキー 貧しき人々 を読んで
みなさん、こんにちは。ドストエフスキーの「貧しき人々」について感想を書いていきます。
あらすじです
中年の下っ端役人のマカールと天涯孤独な娘のワルワーラが手紙のやり取りを通じて、お互いを励まし合うストーリー。マカールはワルワーラに手紙と一緒にお菓子や花をプレゼントしますが、喜ぶどころか、彼を心配します。なぜなら、マカールは貧乏で生活するのに精一杯なのに、無理をしているからです。家は人の台所で住んでおり、窮屈な暮らしをしていることも、ワルワーラの部屋の召使いにより、判明していくようになります。お互い、貧乏というものに繋がっており、手紙のやり取りも深い内容になっていきます。あるとき、ワルワーラに金持ちの男が近づき、妻にしようと迫ってくるのですが・・・
感想です
文体は手紙のやり取り形式で、日付が書かれており、4月8日~9月30日の間でマカールとワルワーラの日常、考え、思いが書かれています。今でいう、Twitterのダイレクトメールやラインのメッセージのやり取りのようなものです。マカールはワルワーラと直接会うどころか、むしろ避けています。それでも、情熱的な文章でワルワーラを心配したり、励ましたりしています。
男のプライドでしょうか?
ワルワーラには、マカールの貧乏でしがない役人であることがばれているのに、大人で紳士的な振る舞いをして、身なりも貧乏丸出しで会うのは、ワルワーラに悪いという思いがあったからだと思います。
そして一つ、私が気になったのは、ワルワーラの過去です。6月1日に手紙とともに、途中で語られます。
彼女は元々裕福な家庭で過ごしていたのですが、あるとき父親の仕事がクビになり、引っ越しを余儀なくされます。やがて、父親の借金が増えるとともに家庭は険悪なムードが漂い、憂鬱な気分で過ごしていました。父親が亡くなり、債権者がワルワーラ家に押し寄せ、家と物を差し押さえられてしまいます。そんななか、アンナという金持ちの女性の家に住むようになります。しかし、ここでワルワーラは、アンナから酷い仕打ちを受けたうえ、母親や好きだった青年を亡くし、つらい思いを受けます。今住んでいる部屋も、アンナにばれないよう、逃げて来たのではないか。とひしひしと伝わってきます。
ワルワーラが将来、ひねくれた性格にならないことが心配です。子供の将来や今後の将来の性格というのは、家庭環境や周りの環境が影響していることが多いと思います。しかし、環境が変わったり、会う人によって、その人の人生や考え方も変わってくることも事実です。
「貧しき人々」に出てくる中年の男、マカール。若い娘のワルワーラ。歳からすると父親と娘の関係に近く、むしろ関わるのは難しいと思います。しかし、貧乏という共通点があったからこそ、お互いが親密なれたのに違いありません。人の繋がりというのは、何か共通点があってからこそ、少しずつ親密になり、お互い分かり合えるものだと、この本を読んで大切だと思いました。
読んで頂き、ありがとうございました。
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