マガジンのカバー画像

本を地図に旅したい

102
書評というより、本を読んで自分の生活や考えが具体的にどう変わったか、みたいなことを書こうと思っています。
運営しているクリエイター

2017年3月の記事一覧

北風より太陽の質問術

 インタビューをして文章を書くことを何度かやってみたら、どんな質問をすればよいかが気になるようになった。飲み会なんかのときでも、どう聞けば話が展開するのか、おもしろい話が引き出せるのか、と意識するようになった気がする。

 『良い質問をする技術』(粟津恭一郎著)が目に留まったのは、そんなふうに質問に興味を持っていたからだろう。自己啓発っぽいんじゃないかと先入観があったけど、読んでみると、実際に誰か

もっとみる

「それ自体を楽しむ」とは?

 留学でもしてみたい、と思っているのだけど、いざまじめに考えようとすると、とくに学びたいことが思いつかない。

 どんなことでも学べばおもしろいはずだ。でも、知識を吸収するところまではいいとしても、ではそれを使って何か研究なり、活動なりをしてみましょうとなると、尻込みしてしまう感じ。心理学とか興味あるけど、心理学者になりたいのか? カウンセラーになりたいのか? と自問すると、そういうことではないな

もっとみる

普通の人でもできそうなノンフィクション作家の始め方

 常々、日記をきちんと書きたいと思っている。とくに海外に出かけたときなどはそうだ。でも旅先では忙しかったり、疲れていたりして、なかなかきちんと日記が書けない。出来事もいろいろあるし、新しいことも目にするし、気づくことや思うことも多いから、なかなか全部書けない。そのときはいちいち書いておかなくても忘れないだろうと思うけれども、後になったらやっぱり忘れている。

 早稲田大学の探検部の出身で、ノンフィ

もっとみる

プライドのなさが生んだ強烈な個性

  その時期、自分はちょうど海外にいたり、仕事が忙しかったりで、あまり夏の高校野球を見ていなかったのだけど、2004年〜2006年前後は予想外のチームが続いて全国優勝する異例の時代だったらしい。

 そんな意外なチームのひとつが駒大苫小牧高校だ。夏の甲子園で2連覇、3年目も決勝再試合で準優勝という「2.9連覇」を成し遂げ、まぎれもなくこの時代の中心にいたチームである。『勝ち過ぎた監督』(中村計著)

もっとみる

恐怖と喜びは近い場所にある

  高いところが怖い。それは高さそのものというよりは、高さに興味を持った自分が、興味にまかせて無意識に飛び降りてしまうんじゃないかという恐怖だ。目の前のテーブルに出された食べ物を、思わずぱくっとつまみ食いしてしまうように。つまり自分自身の中にある何かが怖い。何をしでかすかわからない自分の本性のようなものが。

 穂村弘さんの『鳥肌が』を読んだら、同じようなことが書かれていた。「本当に恐れていたのは

もっとみる