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CanserX2020行ってきた~情報発信編~
Canser2020、今年も無事に終了。
CanserXって?
去年から始まった、朝から夜まで開催している1日限りのイベント。
副題は、去年と変わらず『がんと言われても動揺しない社会へ』
がんは医療者だけのものではない。
そういう意味も込めてか、いわゆる学会とは一味違っていて。
いろんな業界の人たちのクロスオーバー的なトークが聴けるのが醍醐味(と私は勝手に思っている)
今回聴講したトークショーについて、備忘録にするには1本じゃ書ききれなかったので別個でまとめ。
がんの情報発信~より役に立つ情報がユーザーに届くために必要なことは~
登壇者は以下の方々。
市川 衛 (NHK制作局 チーフ・ディレクター)
井上 祥 (株式会社メディカルノート 共同創業者/医師)
大須賀 覚 (アラバマ大学バーミンハム校 脳神経外科 助教授)
佐藤 尚之 (コミュニケーション・ディレクター)
轟 浩美 (認定NPO法人希望の会 理事長・グリーンルーペ 発起人代表)
山口 琢也 (ByteDance株式会社・公共政策本部長 執行役員公共政策本部長)
Twitterでフォローしている大須賀先生が登壇すると書いてあったので、それを目当てに聴講。
1.日本のがん情報の現状
●正確でわかりやすいがん情報が日本には不足している
●これまで発信されてきたがん情報は、標準治療や新薬などの情報がほとんどだった。
●がん情報を探すときに、今までは、自分で手に入れやすい、取り掛かりやすいという目線での情報が少なかった。つまり、コントロール感のある情報が少なかった。
2.日本という「くに」の情報リテラシー
●実は、ネットやSNSを活用している人は、日本全国でみるとごく限られている。検索を活用しているのは東京のみ。デジタルネイティブといわれる世代も、世界最低レベルのリテラシー。
●つまり、専門家や有名人よりも家族や友人からの情報が優先される、フェイクニュースの温床。
●日本人は、tv4割、ネット4割、家族友人4割の比率で医療情報を取得している。
●欧米では、情報の取得先として家族友人も多いが、医師や薬剤師が4割を占めている。
●日本人は世界的に見て自己肯定感が非常に低い。だからこそ、賢い人、謙虚な人ほど情報発信しない。
3.どんな情報が求められている?
●全ての情報をネットで提供することは不可能。
●専門家に辿り着いて、聞くことがシンプルに大事。
●そして、専門医の元から脱落してしまった人が、戻りたくなったときにしっかり繋げる、そのための橋渡しをすることが大事。
●夫ががんだと分かった当時、何か特別な先生がいて(いわゆる名医や神の手と呼ばれる類の先生)、そのひとに繋がりさえすればなんとかなるのではないか、という固定観念が自分の中にあったが、そうではなかった。
●ある日突然に備えるための基盤作りが大事なのではないか。
●自分ごとになってから探そうとすると、広告やニュースなど華々しいものに惹かれてしまいがちだった。
●日本全体を見たとき、検索リテラシーがない人がほとんどだから、情報の置き方に工夫が必要。
●新規のコミュニティにたどり着くのは大変。
●サッカー好きとか、そういった既存のコミュニティにどう情報を置いていくか、の観点が必要ではないか。
●しくじり先生が意外と大事だ。失敗談の蓄積はこれまでは重要視されてこなかったが、それが大事なのではないか。
●体験談、患者さんに焦点を当てたナラティブな話の発信
●自己肯定感の低い日本人に行動変容をもたらすためには、<自信がない>人たちにどうやって<自信を持ってもらうか>という仕掛けが大事だ。
4.当事者たちのコミュニケーション
●善意で降ってくる情報が、正しくない可能性がある、ということを知っておくこと。情報は人を救うこともできるし、そうでないものをもたらすこともある。
●理系の人たちがわかること(医療者がわかること)は普通の人たちはわからないことの方が多い。
●正しい情報は大事かもしれないが、複雑さで殴りつけるような正しさはいかがなものか。正しいだけじゃ伝わらない。
●もっともっとわかりやすく、シンプルで、<やさしい>情報が必要ではないか。kindという優しさ、そしてeasyなやさしさ。
●ホームでの電車の待ち時間、信号の待ち時間。ほんのちょっとの時間に情報を取得するスタイルに変化してきている。情報取得に合わせた発信を考えていく必要がある。
●データだけを伝えるではなくて、ナラティブやストーリーを交えて、データとストーリーの両方を伝えていく。
●科学で語ろうとする医療者の人と感情で語ろうとするそれ以外の人。感情の人にとって1たす1は2にならない。だから、「正しい」ことは伝わらない。だから、共感のコミュニケーションをする必要がある。
読んでくれてありがとう。
ところで、ここまで読んでくれたあなたは、この話をどこまで自分事に捉えた?
情報発信の行きつく先は、どこまで自分事にできるか。そこなんじゃないかな、と書きながら思った。