NHK交響楽団第1993回定期公演Cプログラムを聴いて
10月21日(土)は、久しぶりにN響の定期公演を聴きに出かけた。
曲目はニールセンの≪アラジン≫組曲Op.34の抜粋と、シベリウスの交響曲第2番である。
本来ならヘルベルト・ブロムシュテットが来日して指揮をするはずだったのだが、健康の問題で来日にドクターストップがかかってしまい、代役で高関健が指揮をするという。
以前、下記の通りつぶやきを投稿したが、前日金曜日の夜にFMで1日目を生中継していて、なかなか厚みのあるシベリウスだったので期待を胸に会場のNHKホールへと向かった。
開演前の室内楽
N響定期のCプログラムには開演前の室内楽演奏と言う楽しみもある。
今日は、ニールセンによる作品44の弦楽四重奏曲から第1楽章が演奏された。
演奏前に、4人の弦楽器奏者から自己紹介と簡単なコメントがあった。
自宅にこの曲のCDはあるのだが、聞き流す以上には聴いていなかったし、特に予習もせずに来たので新鮮な気持ちで耳を傾けた。
第1主題はちょっと不思議な旋律で、流れが予想を裏切るような感じで面白い。滑らかでなくちょっとデコボコしたような感じなのだが、不快ではないという貴重な体験ができた。
第1楽章は10分かからないくらいの長さだが、ニールセンの弦楽四重奏曲を始めて真面目に聴いた。
今度はCDで真面目に向き合ってみよう・笑
室内楽が終わると、舞台に何人かの楽員が音出しに出てきて、演奏会前のステージらしい雰囲気になる。
オーボエの吉村さんは、シベリウスの一節を何度も吹いていたが、リードを取っ替え引っ替え音出しをしていたので、シベリウス用のリードを選んでいたのだろうか?オーボエの音が目立つのでつい注目してしまった。
そして、全員いったん袖にはけた後再入場して、いよいよ開演。
カール・ニールセン:≪アラジン組曲≫作品34~「祝祭行進曲」「ヒンドゥーの踊り」「イスファハンの市場」「黒人の踊り」
ニールセンの音源はLPもCDも交響曲を中心に結構コレクションがあるのだが、今回のチケットを購入してから、何故か≪アラジン≫を持っていないことに気づいた。
…ので、昨晩の生中継と今日の演奏が初体験。昨晩は夕飯の支度をしながら聞いていたので、なかなか迫力のある曲だなあと思ったくらいの感想だったのだが、生演奏を聴くとエキゾチック風味の曲調とたくさん使われる打楽器の迫力が強く印象に残った。
特に最後の黒人の踊りは、なんだか伊福部昭の曲のようで楽しく曲が結ばれた。
そういえば、途中で、トライアングルを持った打楽器奏者が舞台上手側へ大移動してコール・アングレの隣に座って演奏するという、あまり見たことのないシーンが…。トライアングルの音が目立ち過ぎないようにしたのかな。その奏者(黒田英実さん)がX(旧Twitter)にコメントを上げていたが、移動の理由までは書いていない。ひょっとして常識的なことなのだろうか?
FMの音だけでは分からないちょっとしたことではあるが、実際の舞台を見る楽しみはこんなところにも潜んでいるのであった。
ジャン・シベリウス:交響曲第2番ニ長調作品43
そして2曲目のシベリウスは、昨晩のFMでも濃い口の演奏だったので生で聴くのをたのしみにしていたプログラム。
木管もきれいだったが、金管群が分厚い響きを聞かせてくれて、なかなか熱いシベリウスだった。
ホルンには名フィルの首席の方がエキストラに入っていたようだ。
曲自体は、もはや予習の必要がないほど耳に馴染んだ曲である。
シベリウスの交響曲としては一番ポピュラーな作品かもしれない。ブロムシュテットが、敢えてこのポピュラーな名曲をプログラムに取り入れた意図は何だったのだろうかと考えていたが、実際にコンサートホールで聴いてみて、ニールセンとの曲のバランスを考えたのかなあとも思った。
休憩なしに続けて演奏されるので、第3番以降の交響曲(第5番は除く)ではちょっと曲調が変わり過ぎると考えたのかもしれない。(そもそもそれがブロムシュテット自身の考えなのか、公演の企画を考えたN響の関係者の考えなのかはよく分からないけれど)
#実は、作品34と作品43という単純な数字遊びだったりして・笑#
いずれにしても、高関さんはN響からパワフルな音を引き出して、ぼくがこれまで聴いたこの交響曲の演奏の中でも随分と味付けの濃いの演奏だったと思う。
シベリウスの交響曲は、指揮者やオーケストラによって印象がかなり異なる作品だと思っているが、特に第2番のような曲は、淡麗辛口ではなく芳醇でコクのある今日のような演奏も悪くないと感じた。
ブロムシュテットの来日中止といういささか残念な事態にはなったのだが、高関健さんを始め、本日の演奏会の実現に尽力されたN響関係者の皆さまには、心より感謝申し上げたいと思う。
もちろん、マエストロ・ブロムシュテットがお元気を取り戻して、来年また日本の聴衆の前に登場されることを期待しているが、一方で無理をなさらないようにとも思う複雑な心境を記して文章を締めくくりたい。
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