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ベースを前に出しすぎな曲特集

私は高校生のときベースを習っていた。ギターと間違えてベース(しかも変なやつ、写真右の水色のバイオリンベースとやら)を買ったからだ。
その前から音楽は好きだったが、楽器を習うと増してその音がよく聞こえてくるようになるものだ。

おそらく、ベースの音というのはバンドをやってるか吹奏楽をやっているか、はたまたかなりの音楽好きでもなければ聞こえない。ベースは基本リズム隊の一員で、リズムを「刻む」または「保つ」役割を成しているからだ。

しかし!この世にはベースを有り得ないくらい主張した曲が多数存在している。ベースの魅力に気づかずに音楽を聴くなんてもったいねえので、ベース好きだけでなくベースを分からない人にも「これがベースの音ね」となるような曲を紹介しようと思う。
ちなみにタイトルの「前に出しすぎ」というのは批判ではなく褒め言葉であることをご了承いただきたい。


お勉強しといてよ/ずっと真夜中でいいのに。

ベースが前に出すぎるアーティスト代表、ずっと真夜中でいいのに。略してずとまよ。
私はベースを始めてから彼女たちの大ファンである。ベース以外の楽器もかなり独特で技巧的で変態的なのだが、ベースが群を抜いて変態だ。まあベースが変態だなと思うのはベーシストの感想なので無視していい。

ずとまよのベースはスラップという奏法がやけに使われている。指板をペシペシと叩いて力強い音を出すのだが、そんな理論もベーシスト以外は無視していい。

この曲ももれなくサビのスラップがすごいのだが、それよりやばいのは間奏のベースだ。
なんと主旋律をベースが担当している。曲の間奏、1:30〜の音がその部分にあたる。ベースをやっていても常人がすぐに真似できるものではない。
また、2:44あたりの訳の分からない音もベースだ。
私が2年間練習してもこのフレーズを弾けないだろう。いや、弾けなくていい。この曲の疾走感をベースが作っているから、是非聴いて欲しい。


わたしの一番かわいいところ/FRUITS ZIPPER

めっちゃかわいいよね〜!
いや、そんなことは置いといて。
この曲をはじめて聞いたときに衝撃だった。イントロからベースかっこよすぎだろ!!!
これもスラップで、イントロでめちゃくちゃリズムを刻んでいる音がベースだ。また、サビ前の「わたしのどこがすき」とベースがハモっている。この曲のベースはちゃんとリズム隊の役割から外れない。なのに少し攻めているところがいい。あくまで主役は歌っているアイドルなので。でもこの曲にこのイケてるベースがなかったら絶対こんなに売れていない、と思うほど。中毒性があるのはこのベースのせいだ。みんな聞いたことあるとは思うが、これを踏まえてもう一度よく聞いてみてほしい。

毒味/東京事変

東京事変もなかなか楽器の主張が激しい(※褒めてる)バンドだ。椎名林檎の声すら楽器の一部(※褒めてる)。東京事変は作曲者によって主役になる楽器が違うから、ファンは曲を聴いて誰の作曲か当てることができると思う。もちろんこの曲はベースが作曲している。

何を隠そう、このバンドのベースは亀田誠治が務めている。だから素晴らしいのは言うまでもない。一応、このおじさまを知らない人のために分かりやすく説明する。日本一有名なベーシストだ。

最初の「ダッダッダッダ ダーダッ」という低くて力強い音がベースの音だ。こんなことを言わなくても分かるほどはっきりと聞こえる。マジで前に出すぎ。でもそれが良い。謙虚なベースなんてつまんないから。にしてもこの曲のベース、あまりにダンディすぎる。かっこいい。亀田誠治フィルターが無くてもかっこいい。

ちなみに東京事変のおじさまたちの中で、私の最推しは伊澤一葉(キーボード)だ。ここはベースを紹介する場なので完全に余談だが、東京事変の曲中ではキーボードソロを「スーパー伊澤タイム」という。この「毒味」にもスーパー伊澤タイムがあるので、ベースを聞いたあとにこちらも楽しんでいただきたい。

Eddie/Red Hot Chili Peppers

待ってましたよと。
洋楽と言えばアメリカ、アメリカのバンドと言えばレッチリ、レッチリといえばベース。書いてて思ったけど、クソかっこいいアーティストなのに、カタカナで略称を書くとなぜこんなにも字面がダサいのか。

これまで紹介してきた曲は全部スラップが目立つ曲だが、これは違う。
イントロから「テレテレ テレレ……」と繰り返している、この音がベースだ。洋楽は繰り返しフレーズが多いので、「Eddie」も1曲を通して基本この面白いフレーズが続く。だが、終盤にかけてベースのメロディが目立ってくる。ギターも加わってさらに味わい深くなっている。ギターとベースがどっちも主役になっている。そこがとてもクセになるので、注意して最後まで聞いて欲しい。


ペペロンチーノ・キャンディ/相対性理論

相対性理論とは知る人ぞ知る変態バンド(※めっちゃ褒めてる)だ。
この曲のベースもめちゃくちゃ目立っているからすぐ分かる。なぜこんなにベースが前に出てしまっているかというと、イントロのオクターブ奏法のせいだ。オクターブ奏法をベーシスト以外に説明するのは難しい。分かりやすく言うと低いドの音を出したとしたら、次の音が1オクターブ高いドの音、という演奏だ。代表的なオクターブ奏法を使った曲はbacknumberの高嶺の花子さんだろう。高嶺の花子さんのサビのベースも低い音と高い音が交互に聞こえるはず。これだ。

しかもこの「ペペロンチーノ・キャンディ」、オクターブ奏法ながらにかなりアップテンポなのだ。だからキャッチーで聞いていて気持ちがいい。
ちなみにこれを弾けと言われたら嫌だ、絶対に弾かない。弾き終わるまでにたぶん私の右手が攣る。


Miracle/Chai

日本人が意外と知らないバンド、Chai。彼女たちは海外人気が強い。声もサウンドも、全体的にチャーミングなのが特徴だ。

この曲はこれまで紹介してきたものとはまた違うベースのクセの強さがある。
なんというか、擬音で説明するしかないのだが、電子音的な「ブンブン」?、「ブリブリ」?(※ベーシストが好きな擬音)とした音が聞こえると思う。実はこれがベースだ。決してキーボードでベースの音を出しているのではない。ちゃんとエレキベースだ。

おそらく、プレシジョンベースの音をさらに強調するエフェクターをかけた音作りをしている。こんなことを言ってベーシスト以外に伝わるわけもないので今から頑張って説明するが、全く理解できなくても大丈夫だ。

エレキベースにはピックアップというパーツがあって(というかこのパーツがないと音がほぼ聞こえないので不可欠)、それが弦の振動を拾って電気信号として音を出している。言わばマイク。だからエレキベースは、アンプに繋がないと情けない小さな地声しか出ないわけだ。
中学理科、中でも物理の授業を思い出して欲しい。電気の範囲だ。直列と並列を習ったと思う。プレシジョンベースというのは、さっき説明したピックアップを直列に繋いでいる。つまり、コイルが2つ(厳密に言うと元々1つだったのを2分割している)で一組になっている。2つのコイルを直列に繋ぐと?そう、「エネルギーが倍」になるんですね!単純に考えると、シングルコイルが並列になっているジャズベースというベースよりも音がパワフルというわけだ。正直、太文字のところだけ分かれば大丈夫。

長い説明になった。お疲れ様だ。
要するに、パワフルな音にさらに効果を加えてクセのあるサウンドができている。だからこんなに特徴的な音になっている。正直この曲はベースが前に出すぎなのは間違いないけれど、これまでとは系統が違うので上級者向けだったかもしれない。普通にかわいくていい曲なので聴いて欲しい。


もう朝4時になってしまうからこの辺にしておこう。まだまだベースが目立つ曲はあるしもっと紹介したいが。気になる曲があればぜひ。

(写真中央:私のプレシジョンベース)

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