ふしぎな「易」のはなし②
こんばんは!
前回に続いて「易」のおはなしです。
「当たるも八卦当たらぬも八卦」のあの「易」です。
ちなみにこの「八卦」のところを「はっけ」と読むのではなく「はっか」と読むと「ちょっとできるヤツ」感が出るかもしれません😎
(八卦の読み方の話はまた別の機会に)
「易」シリーズの記事は
「易」っていったい何なの?
という素朴な疑問にもとづき、私が好奇心の赴くままにダラダラと易について調べた結果を自分なりに整理したものを書いていく予定です。
この「易」シリーズの記事を最後まで読めば「易」が単なる「占い」ではないということが分かる・・・かもしれません。(いつ終わるかも知らんけど)
今回は「易」を理解するための背景としての「占い」についてまとめました。
なんでいきなり「占い」?と思う方もいるかもしれませんが、「易」とは何ぞやを知るために、「易ではないもの」が何かを知ることも必要かと🤔
そもそも「占い」ってなんぞ?
「易」には「占い」としての側面があり、多くの人々に「易」=「占い」と認識されているのは紛れもない事実でだと思います。
さて、ここで質問です。
「占い」っていったい何なんでしょう?
・未来を予想すること?
・誰かの運命を言い当てること?
・ランチでカレーとパスタのどちらを食べるべきか決めること?
どれも「占い」と言われれば「占い」のような気がしますよね。
実は「占い」は、大きく分けて次の3つに分類できます。
相(そう)・命(めい)・卜(ぼく)
それぞれ順に説明していきます。
1. 相
対象の「姿や形」といった目に見えるものを元にして、現在の状況や未来の状況を推察する占い。
相の例:
人相、手相、姓名判断、地相(風水) etc
「人相」でよく扱われるのは「顔」ですね。眉毛の形とかホクロの位置とか。顔のパーツ位置や造形を変えたり。
「手相」はよく知られているのであえて説明するまでもないと思います。
「姓名判断」も見聞きした事があるかと思いますが、これも相です。(「姓相」と言う)
あと、意外かもしれませんが風水も「相」に分類されます。
風水といえばDr.コパ (1947~)
「相」の最大のポイントは何といっても「変化」です。
時間が経てば変わることがあり得る、そしてある程度なら人為的に変えることもできる、それが「相」の特徴です。
例えば顔つきは年齢や人生経験によって変わりますし、整形によっても変えられます。姓名や風水も人為的に変えられる、変える事を前提にした場合もありますよね。
2000年代後半にブームだった占い師細木数子の番組で、細木数子の占いで芸名を変えた芸能人が何人かいましたが、変えたことで幸せになった人は誰もいなかったような…😨 モンキッキー‥
2. 命
占われる人の「生年月日日時」や生まれた場所などの情報を元に対象の「運命」とか「宿命」を読み取る占い。
命の例:
四柱推命、気学、占星術、動物占い etc
「生年月日日時」や「生まれた場所」というのは生まれついてのものなので、「相」とは違って後から誰にも変えることが出来ません。この「誰にも変えることができない絶対の事実」から導き出される結論は「決定論」的なニュアンスを帯びるので「運命」とか「宿命」とか呼ばれます。
運命として既に決まってることだけど、自分にはその運命が見えないので知りたい!明らかにしたい!という人が「命」に頼るわけです。
例えば「私とあの人の相性はどうなんだろう?」とか。
ちなみに人間関係や相性を調べるのにお手軽な「動物占い」は、実は「四柱推命」を簡略化したものだったりします。
3. 卜
そして最後が卜です。卜(ぼく)です。カタカナの「ト」ではありません😀
「卜」はれっきとした漢字なのですが、あまりに単純な形であまり漢字っぽくないですよね。
「角川新字源 改訂新版」によれば「卜」は象形文字で、なりたちは
むかし、牛の骨、または亀(かめ)の腹甲を焼き、そこに現れるひび割れによって、しようとすることのよしあしに対する神意を予知しようとした。そのひび割れの形にかたどり「うらなう」意を表す。
とあります。
つまり「卜」とは、焼いた亀の甲羅に入ったヒビを表したものなんです。
亀卜。(チーズナンみたい)
そういえば昨年、皇位継承に伴って催された「大嘗祭」に使うコメの産地は「亀卜」で決定するとか言ってましたね。現代でも使ってたんかい。
古代中国(殷の時代)、亀甲を焼いて出たヒビによって吉凶を占い、その結果に基づいて国政を運営していました。
「吉凶」という言葉からも明らかなように、これは「啓示」です。
いや、啓示って誰からのよ?
というと、それはもう「神から」ということになるでしょうか。
(殷時代に「神」と呼べる存在=「天」の概念があったかは怪しいですが…)
「神」でピンとこなければ「大いなるもの」とか「宇宙」とか呼び方は何でもいいんですが、とにかく「人智を超越した何か知らんけどすんごいヤツ」からの「啓示」を受けるシステムとしてこの「亀卜」は実際に運用されていたわけです。
で、もうお分かりかと思いますが「易」はこの「卜」の一種です。
「易」は「亀卜」を発展して生まれたものです。
(発展っていうか、ある時期から亀がとれなくなったという話も…)
卜の例:
易、タロット占い、鉛筆占い、おみくじ etc
タロット占いもおみくじも「卜」です。タロット占いとおみくじと易は、やり方は違えど「啓示を受ける」(兆しを読む)占いであるという点では仲間ということになります。
相・命と卜の違い
相・命と卜には決定的な違いがあります。
それは、
「判断」を誰がするのか?という点です。
「相・命」は、対象の運勢や運命を判断するのはあくまで「人間」です。
でも「卜」は、対象の運勢や運命を判断するのは人間ではありません。人間とは違う次元の存在のなにかです。人間とは違う次元の存在にいる何者かが、迷える人間に与える教え・答えが「卜」です。
いやそれめっちゃオカルトでしょ
「相や命」まではまだ許せたとして、「卜」の話を聞いて
「人間とは違う次元のwww何者か」ってwwなにそれウケルwww
と大草原になる人が出てきても無理はありません。
だって論理的に考えたら、そんな非科学的なことはあり得ないからです。
でも。
だがしかし。
その「論理的」とか「非科学的」とか言ってるけど、アンタが絶対正しいって信じてるその世界観、ホンマに正しいんか?って超マジメに研究してた人がこの人です。↓↓
カール・G・ユング(1875~1961)
名前はどこかで聞いたことあるかもしれませんが「3大心理学」の巨頭といえば、フロイト、アドラー、そしてこのユングです。
ユングが「易」にどのように興味をもったのか、自身の分析心理学にどのように応用しようと考えたのか?あたりは追々。
まとめ
・占いにはいくつか種類(相・命・卜)がある
・「易」は「卜」である
・「卜」は、大いなる存在からの啓示を読み取る占いである
おまけ
日本では「タロット」や「タロットカード」と呼びますが、正しくは「タロー」、「タローカード」と呼ぶそうです。
ナニワのモーツァルト、キダ・タローと同じ発音です。
キダ・タロー(1930~)
英語やフランス語でタロットは[Tarot]と書きますが、末尾のtは発音しないのが正しいらしいです。
そういえばフランス車のプジョー[Peugeot]も末尾のtを発音しないので仲間かもしれませんね。知らんけど。
おしまい。