ふしぎな「易」のはなし①
しばらく更新サボっておりました。
色々と忙しかったというのもありますが、何よりnoteを書くにはあまりに「過酷」だったからです。デスク周りの環境が。
私が普段noteを書いている環境、エアコンが無いんです。
正確に言うと「エアコンの効果」がとても効きにくい…。
「だったらエアコンが効く場所に移動すればいいじゃない」
と思うかもしれませんが、それが意外とハードルが高くて。。。
(いや、たんに私の心理的なハードルなんですが😅)
そんなこともあって、noteに向かうのが億劫になってました。
9月に入りこれから徐々に暑さも収まるはずなので、少しずつ再開しようと思います。
さて、この1か月の間、私が夢中になって勉強していたのが「易」です。
・・・えっ「易」?あの「易」?
はい、この「易」です。
上図のような「易」のイメージを思い浮かべた方もいるかもしれません。
一般には「易」=「占い」というイメージが定着していると思います。
もちろん「易」=「占い」という理解自体は決して間違いではありません。
私も最初は「易って占いでしょ?」と思っていましたし。
実際「易」には、こんなん👇がいっぱい出て来ますからね!
「論語」とか「大学」などの中国古典とは明らかに異質な感じがします。
でも、声を大にして主張したいのは「易は占いだけじゃない」ってことです。
で、調べてみればみるほど「易」をただの「占い」としての理解に留めておくのは勿体ないなーと思いました。これぞ東洋の叡智!人類の財産!(大げさ)
そんな「易」が持つ深遠な世界と思想に触れた上で、
んーでもけっきょくのところ「易」ってやっぱり「占い」やないか!!
となるかもしれませんが。ソレはソレで笑😅
きっかけは「幕末のジョブズ」佐久間象山
そもそも、なぜ私が突然「易」に興味を持ったのかというと「ある人物」がきっかけでした。
その人物とは「佐久間象山」です。
幕末に活躍した思想家で、吉田松陰や勝海舟といった明治維新の中心的人物を数多く輩出した人物です。
その激しい気性とスケールの大きな構想力、そして風貌がどことなく似ていることから「幕末のスティーブ・ジョブズ」と呼ばれたりもしているそうです。
佐久間象山は元々は朱子学者でした。30歳にして江戸の「朱子学者名鑑」に載るほど名が知られており、塾も開いていました。
※そもそも朱子学が何なのか説明すると脱線が大変なので、ここでは「儒教を教える学問の一派」くらいに理解しといてください
しかし、西欧列強のアジア侵略を目の当たりにして「このままでは日本が危ない」と考えた佐久間は、江戸での朱子学者としての名声も立場も捨てて、なんとそこから「西洋近代兵器の専門家」になるべく転身します。
まず日本有数の砲術家に弟子入りし、そしてオランダ語をゼロから学び始めます。やがて西洋の技術書(原書)を独力で読めるようになってからは、大砲や砲台の部品ひとつから全て自作&改造修理できるような変態的エンジニアになりました。その実践経験を元に数多くの砲術家を育てると共に、日本を近代海洋国家へと導くための大きな構想を描いていた稀有なイノベーターが佐久間象山という人物です。
余談ですが、西洋の技術書の原書が読めるようになった佐久間は、それまで日本に存在しなかったあらゆる科学技術製品を片っ端から試作したいったそうで、日本で初めてガラス製品を作ったり電信実験を行ったのも佐久間です。
私もエンジニアの端くれですので、佐久間のように技術に基づいたイノベーターが幕末の日本にいたことを誇りに思います。
当時も西洋の技術や知識を学んだ知識人はたくさんいましたが、佐久間のような徹底したレベルで実践した人はいなかったので、30歳から遅咲きスタートした佐久間はあっという間に日本有数のオランダ語マスター兼スーパーエンジニア兼兵術家となり、佐久間の元には多くの維新志士が集まってきたというわけです。
残念ながら佐久間は明治維新の四年前に暗殺されてこの世を去ってしまいましたが、もし生きていれば明治新政府の重要なポスト、今でいえば経産省や科学技術庁のトップになっていたかもしれません。
「易」は儒教の筆頭経典
で、佐久間象山と「易」にいったい何の関係があるの?という話ですが、そもそも「易」は「易経」という「儒教の経典」の一つに書かれたものです。
「儒教の経典」というと孔子の「論語」や二宮金次郎が読んでる「大学」なんかが有名だと思いますが、他にもいくつかあり「四書五経」なんて呼ばれています。
四書五経
儒教の経典をこの「四書五経」という形で再構成したのが実は朱子学だったりするのですが、この九つの書物の中で最も成立時期が古く、儒教の世界観を貫く源泉を説いているため、儒教の筆頭経典となっているのが、じつはこの「易経」なのです。
佐久間は朱子学者なので、当然ながら四書五経全般に精通していたのですが、とりわけ佐久間が生涯「座右の書」としたのが「易経」でした。
佐久間は砲術家として、近代兵器がどのように動作しているのか、そのロジックをなんと「易」を使って説明していました。実際、佐久間が大砲の動作原理を説明するのに使ったのが、火沢睽(かたくけい)という卦です。
はぁ??なんのこっちゃ??
と思われると思います。
私も最初、何を言ってるのかサッパリでしたが、佐久間はきわめて大真面目に西洋の科学技術がどのように動作しているのか「易」を使って表現していました。(当時、易をそこまで深く解釈できる人は多くなかったので世間には全くウケなかったそうですが)
吉田松陰や勝海舟といった偉人達が教えを乞うほどの人物が、これほどまでに「易」に人生の指針を置いていたという事実に
何か知らんけど「易」ってスゴいんじゃないのか?
と思ってしまったわけです。
さらに、佐久間とはまったく別の文脈で勉強していたユング心理学と「易」の間には非常に深いつながりがあることを知り、実際にユング自身も「易」を重要視して学んでいたということがわかったので
その内容を信じるかどうかはさておき、「易」がいったい何なのか気になる
という感じで、易を勉強し始めたのでした。
きっかけは幕末のスティーブ・ジョブズで、決定打はユングという形でしょうか。
このあと「易」について書いてみたいことを挙げてみると
・そもそも「占い」とは何なのか?四柱推命とかタロットとの違いは?
・「当たるも八卦当たらぬも八卦」って?
・日常生活に残る易経からの影響の数々
・因果律的世界観の限界
・ユング心理学と易の関係
等々、たくさんあって何から書いたものか💦
少しずつ書いていこうと思います。