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結局、減税はしない三党合意 篇

 昨日、自民党公明党日本維新の会が、高校の教育無償化を進めることを軸に来年度の当初予算案に合意しました。

 このまやかしとも言える三党合意について、政治の正当性を失ってしまった少数与党の自公と、それにすり寄ってしまった維新の本質について、軽めに、でも内緒で解説していきたいと思います。

 そもそも自民党は、幼児教育の無償化を選挙公約に掲げていました。今回は、この幼児教育の無償化に続き、高校授業料無償化が打ち出されたわけです。まぁ、やらないよりはやった方が良い、と言えないこともないのですが、この政策の正当性効果については大きな疑問符がつきます。

 まず挙げられるのが「税の公平性」の問題です。

 アダム・スミスの租税の4原則に則っていえば、税負担は「各人の能力に比例して」公平でなければなりません。したがって、これまでは所得制限がありました。所得制限の頃合いも微妙でして、やっぱり都心部に住む、収入が一千万、二千万あろうかという高所得者からしても、幼稚舎から慶應に入れる、みたいな選択肢を取っている人も多いので、家計のかなりの部分を教育費に取られてしまい苦しいことに違いはありません。

 でも、払えるからいいじゃん、ということでそこは置いておいて、それよりもお金がないから公立高校に行かざるを得ないのに公立は落ちて私立に行くしかない、という苦しい家庭、もしくは、そもそもお金がなくて高校に行けそうにない、という層を救うためのセーフティネットだったわけです。

NHK ニュースサイトより

 ところが、今回は所得制限を撤廃してしまった、つまり一律に就学支援金が配られることになってしまいました。ここに二つの不公平が生まれます。まず一つ目は、公立高校に通う生徒は11万8,800円(年)の支援であるのに、私立高校に通う生徒には2026年から45万7,000円(年)を支援する、という差額についてです。これだと、何だか公立高校に通っていると損をしている気分になります。一律で45万7,000円払えや!という気分になってきます。

 二つ目の不公平は、ぼくは来年から高校生になる娘が一人おりますので、どちらにせよ、何らかの恩恵を受けることができますが、お子さんがいらっしゃらない家庭、もしくは子供はいるけれども大学生になっちゃった、という家庭に対するものです。

 これに対して、国民民主党が主張していたのは、

「結局、教育にかけるお金がない、と言ってるのも、税金や社会保険料が高くて生活が苦しいからなのであり、106万円の壁を178万円まで引き上げて、国民全員に恩恵が行き渡るようにしよう

と言ってきたわけですね。

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