リーダーの条件 -中曽根大勲位-篇
1. 政治家志望の青年期
かつて、青春の砌、というよりは、もはや今は昔、ぼくは政治家を目指し暗中模索していた時期があった。なんとなく、政治を学べるという風聞を頼りに、ある組織に加入した(秘密結社みたい!)のだが、そこは学び舎ではなく、まるで道場のようなところであった。
学校のような体裁を整えていても、そこには先生はおらず、自ら道を切り開き、自らの道を行け、という割には所々で運営者に評価されるので、時にいじめと鬱の巣窟となった。ぼくは、今となっては後悔しかないが、どちらかというと若い頃は、イジメられる、というよりは人をイジメて来た人生であったのだが、ここで人生で初めてイジメのようなものに遭った。
だが、恨み節を言うでもお世辞で擦り寄っているわけでもなく、このときに他者の純然たる悪意に触れつつ、自らの道を模索した3年ばかりの日々は、完全にいまのぼくの糧になっていることは間違いない。
辛く、苦しい20代の中盤、その一旦を今日はご紹介しようと思う。
例えばどんなことをやらされていたのかというと、政治家たるもの一兵卒の気持ちを把握しておかねばならん、ということで自衛隊に入隊させられた。このときの訓練は、雨が降る中、匍匐前進をしたり壁を登ったり降りたりを何周もさせられて本当に苦しかった。
この研修の中で、20mくらいの崖の上でロープで自身の身体を一瞬のうちに固定し、降下するという訓練があったのだが、不器用で要領の悪いぼくは、一回の説明では、ロープによる体の固定の方法を理解できなかった。
ぼくのすぐ後ろに、サポートとして着いていた自衛隊員さんに、
「これ、ロープの結び方って、どうするんでしたかね?」
と訊ねたとき、
「さぁ、ぼくたち、まだこの訓練やってないんで・・・」
と言われたのをよく覚えている。いきなりどんな訓練やらせとんねんッ!
2. 中曽根康弘氏の講義
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