『あどりぶシネ倶楽部』細野不二彦
当時 mixi に書いた文章をnoteに載せてみたくなりました。
※大学時代、映画研究会に所属していました ※8mmカメラ最後の世代
=2009.05.26の記事=
『あどりぶシネ倶楽部』細野不二彦
映画研究会、「映研」のことをテーマにした作品はほとんどありません。映画なら『虹の女神 Rainbow song』。マンガなら『あどりぶシネ倶楽部』。私の知る限りこれぐらいです。他にあればどなたか教えてください。
さて今回は『あどりぶシネ倶楽部』。作者は細野不二彦。自分が映研にいたから贔屓目に見ているわけではなく、この作品は傑作だと思います。大学の映画研究会を舞台にした青春群像劇です。
連作短編で全9話の構成。それぞれタイトルが有名な映画のタイトルを引用してたりと、こんな所からも作者のこの作品に対する愛情が感じられます。
情熱と才能はあるが技術はない監督の神野(主人公)、フェミニストで大人な雰囲気のプロデューサー役の片桐、なんでもこなす雑用係でちょっとうさんくさい人物の原田。そこにスタッフとして参加した華奢で美男子の道明が登場。その道明が抜群のセンスと確かなテクニックを持っていたことで、物語は動き始める・・。
後に脚本を書くことになる女の子が現れたりと、このマンガの面白さはいろんな人物との出会いがあって、それが結果として彼らが追い求める「映画の夢」をひた走ることになるところです。泣いたり笑ったりする彼らにどれほど共感したことでしょうか。
この作品を読むと、自主映画のことがよく分かります。映画を撮ろうにも、お金はないわ、俳優はいないわ、脚本はうまく書けないわ。でも映画を撮りたいという気持ちだけはありました。そして大学時代、少し背伸びをすれば大人の世界が見えそうな、でもまだ社会の中ではひよっこで。そんな揺れ動く気持ちがこの作品全体から感じられて、私は大好きでした。
かつて映研にいたひと
いま青春をおくっているひと
そしてすべてのひとたちへ
この『あどりぶシネ倶楽部』をおすすめします。
↑このリンクから10ページぐらいですが試し読み可能。
まだ初期の洗練されてない細野不二彦の描線を見ることができます(^^)