昆布は持て余さない 前篇 つけもの

 あなたの家に、突然昆布がやってきたとする。

 あの黒くて平べったい海藻を伸ばして干した、カッチカチのやつである。

 正直、多くの方は「えっなにそれ困る」と考えるのではないだろうか。


 くまが考えるに、お料理ニュービーが対処に困る食材として、割合上位に入るのが昆布なのではないか、と思う。

 ていうかそれなりに経験値あっても困りませんか昆布。保存はきくけど場所とるし、出汁とるのめんどくさいじゃない。鍋に昆布を入れて加熱して沸騰直前に引き上げろって、それつまり鍋を意識のはしに捉えながら他の作業をしろってことじゃない。そんなめんどうなことをやるなら、リケンの顆粒こんぶだしとか、昆布茶で代用したらいいじゃない。




ーーとまぁ、そう思っていた時期がくまにもありました。

実際、自炊らしきものを初めて10年強になるけれど、昆布というものを購入するようになったのはこの半年くらいだ。

「昆布、使えるやんけ」と、今回はそういう話をしたい。

 そもそもなんだって昆布が我が家に出没したのか、というと実家からのおすそ分けだ。縁あって、なんだかものすごく良い昆布をもらったのだという。こういうかんじのちゃんとしたやつである。

 あんまり興味のないものでも「すごくいいものだよ」と言われれば気になるのは食いしん坊の性である。このままでは親父のおしゃぶり昆布になると聞き、そのくらいならものの試しに、と数十センチ切り出してもらった。

 そうしたら、まぁ自炊がとてもはかどったのだ。


 まず、つけものによい。

 ぬか漬けーーの話は別エントリでするので割愛。

 それ以外、ポリ袋なんかでさっくりできる調理法としては、浅漬によし、千枚漬けによし、である。

 浅漬は適当な浅漬のもとを使えばいい。適当な野菜を刻んで漬物のもとをぶっかけ、そこにちょっと昆布の切れ端を足してやると、とろみと旨味がきいた飯泥棒になる。

 千枚漬けであれば、スライスしたカブに、スーパーのお酢コーナーに売っているおかず酢というか万能酢をぶっかけておけばよい。だいたい当家の舌には市販の和食調味料は甘すぎるのだけれど、甘みがうまいこと旨味でマスクされて食べやすくおいしくなる。こいつはご飯ではなく日本酒でいただきたい。芳醇なタイプの濃い日本酒をやりながら、口直しというか清涼剤に昆布だしのきいた千枚漬け、どうでしょうか。清冽なタイプの日本酒でもいいですよね、その場合には千枚漬けの立場はむしろお酒とのコントラスト要員というか、口の中に甘酸っぱさの衝撃を起こす担当に入れ替わるわけですけど。あー呑みたくなってきた。(早口になるオタク


 このあたり、昆布茶や昆布粉末だとなぜか上手にできない。

 いや別に「絶対的な真実として粉末昆布は漬物に使えません」と云いたいのではなくて、くまの腕では美味しくならなかった。昆布茶は塩味がある程度ついているので、「昆布の味を足す」のではなく「昆布風味の塩味を足す」「昆布茶の味を足す」感じになってしまう。また昆布粉末はどうやら水というか調味液には混ざりづらいようで、あまりよい昆布味が出てくれなかったのだ。思ってたんと違った。

 しかし昆布というやつは、伊達に昔から使われているわけではない。既存の調味料にポイと入れるだけで味がグレードアップしてくれる。とてもよい。

 そういった次第にて、まず「自家製おつけもの」に良い昆布ちょいたし、これおすすめです。

 ーーと、ノリノリで書いていたら文字数が2000字超えそうになってきたので、ちょっと前後に分割することにしますごめん。エントリの文字数ってどんくらいが適当なんでしょうね。

 後半も近いうちにアップするので、またお付き合いください。


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