ミニマルな舞台を最大限に活かした良作 ドラマ「119 エマージェンシーコール」【第１話感想】
「電話対応」だけで災害を描くなんて出来るの？→良いじゃん！！
面白かった。119番通報に最初に対応する「消防司令管制員」を舞台に、新米管制員として働き始めた主人公が通報者を災害から守るべく奮闘する話。
最初に設定聞いた時は司令室というミニマルな舞台の中だけでどうやってドラマにするんだろ〜と思ったが、わざわざ主人公が災害現場に出向いたり危険な目に遭ったりしなくても、電話口の緊迫した対応と事故対応の現場をカットバックで見せるだけで十分迫力のある災害救助ドラマになっていた。
あと、主人公が現場検証大好きキャラで、勤務外にいろんなとこフットワーク軽く出かけるので、画が室内ばかりになるってこともなかった。
NOトンチキ！ちゃんと人間味のあるキャラクターに好感
何が嬉しいって、キャラクターの台詞や動線に違和感がないんですよ！悲しいかな、これだけで邦ドラマとしては十分すぎるくらいレベルが高い。
清野菜名さん演じる主人公も、新人らしいミスや反省はすれど、基本的には身の回りにいても何ら違和感がない明るく礼儀正しい人物として描かれており、邦ドラマにありがちなトンチンカンな思い込みや迷惑な無茶振りをしないので、安心して物語に集中できる。
また、脇を固める俳優たちのキャラクターも非常に丁寧かつ書き分けがうまく、不自然なほど意地悪だったり逆に不自然なほど優しい、みたいな作劇のためだけに作られた人物がいないのも好感。瀬戸弘司さんや、見上愛さん、前原 滉さんなど、キャスティングも絶妙。あと子役の芝居もうまかったな。子役が不自然じゃないドラマは大抵いいドラマなので。
細かい演出も丁寧で、毎朝元気に走って通勤して弁当の中身をグッチャグチャにしてた主人公が、しょんぼりしてる時だけ弁当がキレイ、みたいな。こういうちょっとした演出がちゃんとできるドラマ、最近珍しいよ……
「耳がいい」という特性の宙ぶらりん感
ここまで絶賛したんですが、実はちょっと気になる点もあって、特に主人公の「耳がいい」という特性の扱いは気になった。
主人公は（おそらく生まれつき）耳がとても良く、人の声に関する聞き分けがめちゃくちゃできるんですね。そのことは周りにも共有されており「あの子は特別」的なことを言われてたり、さも重要な要素であるように語られるんだけど、正直物語の中のキーにはなっていた感じはなかったんだよね……
どちらかと言えば、物語において重要になってくるのは耳の良さ云々よりも「主人公が現場に足を運び、通報者の気持ちに想像を働かせる努力を欠かさない」という点で、ぶっちゃけそれって耳の良さってあんまり関係してないんですよね。
一応、現場検証の時に耳を澄ませるポーズとかさせてるけど、基本的に使ってるの資格情報だからマジでポーズでしかないというか……
耳の良かったおかげで、通報者の子供が以前主人公と出会った子供と同一人物だと判明できたみたいな描写はあったけど、別に子供が知り合いだろうと他人だろうと物語的にも仕事的にもやること同じだしな……
だから「耳がいい」と「想像力」という二つの要素が主人公の核になっているはずなのに、その二つがうまく噛み合わないまま話が進んでいるのがすごく気になった。「耳がいい」って要素、そもそもいらなくない？
瀬戸弘司さん演じる上司のイチャモンがやや「？」
瀬戸弘司さん演じる上司が、現場検証ばかりしている主人公に苦言を呈するときに「司令が現場なんか行って邪魔するな。現場が命張ってるのに、司令官とかが現場に来ると士気が下がる」的なことを言って怒るんですが、なんかこれもちょっと意味わからないなと思った。
行って問題のない場所、かつ行って問題のないタイミングであれば、司令官が事故現場に足を運んで現場検証しておいた方が、今後通報者に的確な指示を与えられる知識が得られて絶対有利じゃない？しかもこの主人公はそんな面倒な現場検証を好き好んで時間外労働にやってくれるのに……上司として止める理由って何だろう……
まあでもきっと、きっと瀬戸弘司さん演じる上司はおそらく元消防かなんかで、現場で人が散々死ぬところを見てきた感じなんだろうな。だから遊び感覚で来ている（ように見える）主人公にイラつくんだろうな。冷静キャラっぽいけど結構お気持ち上司だな……
【第２話見るか？】見る！やっぱ羊文学が曲書き下ろしてる作品に外れないな🎶 モエカを信じろ
あとこのクールのドラマを何本か見ていて気づいたんですが、冒頭とかCM切り替わりとかで「この後のダイジェスト映像」を挟むのが結構流行ってますか？確かに、スマホに集中力を吸われがちな現代の客を相手にドラマ作るなら、この後何が起きるのかを消されそうなタイミングで予告しておくの、かなり効果ありそう。韓国ドラマとかである手法なのかな？