「大学職員のリアル-18歳人口激減で「人気職」はどうなる?」(倉部史記著)を読んで
大学職員のあるある話、耳の痛い話など、あーそうそうと日頃感じていることが言葉になっていて、もっと深く考える材料になりました。
大学と言えば、学生と教員ですが、実は大学職員という事務方の可能性は大きくなってきているなあと日々感じる一方、昔ながらの「お手伝い」意識の職員もいて、この差が大きいと思っています。今回は、大学職員から見たイマドキの大学事情が垣間見えてくるかと思い、本の感想記事を書いてみます。
以下、本の中で特に気になった言葉(〇)と私の考え(■)です。
〇利益最大化というわかりやすい経営指標がある民間企業に対し、ミッションが複雑な非営利組織
■うんうん、わかる。公務員に似ている部分もあるが現場に近いサービス業の側面もある。多様な成果をデータで見える化すること、評価軸を決めること、その上でビジネス思考を含めた総合力が必要な組織だなあと日々感じている。
〇担当する職員によっては学生や教員のことを第一に考えた価値あるアウトプットが生まれます。そうでない職員が担当すれば本当に最低限の、悪い意味でのお役所的な手続きになります。
■これもそう。前年踏襲意識は劣化コピーになる。長くいる人は守ろうとする意識(イタリアのサッカーかよ)が高い気がする。同じ仕事なら前年より2割アップ効果を目指したいし、どんどん新しい仕事をしたい。そう思って、やってみるとすぐ実現できるのもいい。役所より意思決定はかなり早い。成果も早く、見える化しやすい。
〇実際にはしかし、「先生の言うことには従っておこう」と場当たり的な対応をしてしまう職員も少なくないように思います。
■どうでもいいことはそれでもいいが、ここ一番の場面では「裏方ほどおいしい仕事はない!」野村恭彦著の「置き石、水やり、待ち伏せ」が有効。むしろ、教員組織を味方に、かつテコにして、大学を動かすことができる。このあたり、3年目でコツがわかってきた。同期の職員が3年で古い体質になじみつつあるが、何とか崩したいものだ。
〇「楽そうだから」「安定している組織だから」といった安易な志願者を見抜くのも人事部の役目。
■これは採用された側も最も不幸なケース。公務員も同様で、大学という縮小化が見えている業界で、かつ混沌の中で活路を見つけて挑戦できる人が来てほしい。3年で成長角度が決まるので、その先も見据えたいが、これは自分でやってみる。
〇職員同士が協働することで解決の糸口が見えてくることがある。
■先日、入試課と教務課と学生課のデータを組み合わせて、入学前準備教育に活用したが、まだまだ使えるデータがある。多少摩擦が起きても、成果を出し続けたいものである。