面倒見のいい大学とは何か
最近の大学は、キャリア支援、学修支援、障害学生支援など様々なサポートが制度や組織となっている。その中で、「面倒見が良い大学ランキング」というものがあるが、これは進路指導教諭アンケートによるものなので、実際には「面倒見がよさそうな大学」と言った方がいいだろう。本当に学生一人一人に個別に手を差し伸べて丁寧に声をかけて助けてくれる大学はない。教育・研究・地域貢献といった役割の中で、教育を最重要視して個別にサポートする余裕はないし、そこまでの必要性を感じる学生はかなり少ない。むしろ、その面倒見が成長を妨げているのではないかと思えたケースとして、比較的面倒見がいいと言われる大学の学生からこんな2つの相談を受けたことがある。
大学3年生「インターンシップに4つ行きますが、授業の課題とどちらを優先したらいいですか」
私はすごく驚いた。それは、スケジュール管理の問題、判断基準の問題、なぜ私に聞いてくるのか問題の3点からである。スケジュール管理の問題ならば、4つのインターンの日程と課題にかかる時間を分析すればいい。判断基準の問題ならば、彼のインターンの目的と授業課題の影響を比較すればいい。それらをインターンとも授業とも関係しない私に聞いてくるというのは何だろうか。
大学4年生「ゼミの先生が都合で4回続けて欠席でゼミが休みになり、就活でガクチカ(学生時代に力を入れたこと)が言えないんです」
これも驚いて、開いた口がふさがらなかった。ガクチカ=ゼミのみ?ゼミ=先生に教わることのみ?、同級生や先輩は?などと突っ込みどころが多く、これを就職もゼミとも関係しない私に聞いてくるというのは何だろうか。
私は、この2人には「自分で決めることだよ」と突き放しつつも、もしかしたら聞く勇気をもった学生かもしれない(実際は気軽に聞けそうと思ったんだろうが)と考え、丁寧に教えてしまった。
私が考える面倒見のいい大学とは、学生の自立をすすめた上で、困ったときにサポートできる大学だと考える。このサポートの方法は、制度や組織だったり、教員だったり、職員だったりするが、私はそれが学生であればなおいいと思っている。