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ゴリスケさん、私あなたのことが嫌いですって言われた話
こんにちは。探偵ゴリスケです。
探偵として20年以上暗躍中です。
得意技は張り込み・尾行。
尾行調査は何歳になっても楽しいのものですよ🦍
さて、今回もつい先日あった「世にも奇妙なご依頼」についてお話します。
ちょっと「頭のねじの外れた依頼者」と面と向かってお話しできるのも探偵という職業の醍醐味と言えるでしょう。
※大変失礼な表現かもしれませんが、僕もこの依頼者には大変失礼なことを言われましたのでご容赦ください。
その経緯はこうでした。
ゴリスケさん、私あなたのことが嫌いです
みなさんは、こんな風に面と向かって言われたことがあるでしょうか。
「ゴリスケさん、私あなたのことが嫌いなんです」
僕は初体験でした。
正直、僕のことを嫌っている人間はいるでしょう。
そりゃいないと言えばウソになりますよ。
でも、面と向かってこんな風に言ってきたのはこの女性が初めてでした。
歳は70歳。
細身というよりはガリガリで身長が150cm程度なので、すごく小さく見えるご婦人でした。
2年前に夫に先立たれ、たった一人の娘は遅くにできた子なので現在ようやく30歳になろうかというところ。
そのたった一人の娘の「結婚前調査」をしたいというご要望があり、ぼくの探偵事務所(首都圏)にお見えになりました。
お客様のことを悪く言うのは気が引けますが、この方の場合はいいでしょう。
はっきり言って、相当な曲者です。
探偵事務所での会話
探偵事務所の面談室での会話が始まりました。
ちょうど、ご婦人に対する「僕の簡単な自己紹介」が終わったところです。
時刻はちょうど13時。
僕が「当探偵事務所の特色」について言及しようとしたとき、
第1回目のカウンターパンチが入りました。
【70歳のご婦人:依頼者】
あなた、ゴリスケさんとおっしゃるのね。アナタの自己紹介は聞いていましたが、アナタの事務所の紹介までされたのでは日が暮れてしまいそうです。
この事務所の事なんて私にはどうでもいいし、もちろんそれなりに調べてから来ているので結構です。本題に入ってもよろしいですか?
ぼくはちょっと度肝を抜かれましたが、こう答えました。
【探偵ゴリスケ】
これは申し訳ありませんでした。それでは、お客様のほうからお話しいただき、それについてわたくしからご提案させていただきますね。
【70歳のご婦人:依頼者】
いいでしょう。では早速言わせてもらいますが、私は人間が嫌いです。
【探偵ゴリスケ】
・・・・・・
【70歳のご婦人:依頼者】
性悪説(せいあくせつ)ですよ。わかりますか?
人間の本質は悪人だと思うのです。
わたしはそういう考えを持って、70年間生き抜いてきました。
主人は先に逝ってしまいましたが、正直わたしは主人の事さえ嫌いでした。そこで続けますが、そんな私が娘の婚約者の事を好きになれると思いますか? それは元々無理な相談というものでしょう。仕方なく2回会食しましたが、それはそれは嫌な男でしたね。まるで、娘にまとわりつく寄生虫のように見えましたよ。わたくしにはね。
【探偵ゴリスケ】
......娘さんのことを愛してらっしゃるのですね。
【70歳のご婦人:依頼者】
アナタに何がわかるんですか!?(# ゚Д゚) わたしが娘を愛している?
分かったようなことは言わないでもらいたいですね。娘のことは嫌いではありません。でも好きかと聞かれれば決して愛しているとは言えない。
人間の本質は悪人ですから。
【探偵ゴリスケ】
ちょっと待ってください! わたしも娘を持つ身として、お母様のご心配はわかる。そう言いたいだけだったのです。
まさかそれで気分を害されるとは、夢にも思いませんでしたから。
【70歳のご婦人:依頼者】
これだから人間は嫌いなんです。すぐにうろたえ、取り乱す。
ホントすぐにうろたえ、取り乱す......この際だから言わせてもらいますが、
ゴリスケさん、私あなたのことが嫌いです。
会って3分もしないうちに嫌いだと言われてしまった。
面と向かって。想定外だ。
【70歳のご婦人:依頼者】
でもそんなことは気にしないでください。あなた以外のすべての人間だって嫌いなのだから。いいですか? 私はそうやって人生を潜り抜けてきたんです。だから、あなたの意見や感想なんて最初から求めていないのですよ。
分かってもらえましたかね?
めんどくせーヤツ来ちゃった!
ダメだこりゃ。これ会話してはいけないタイプだわ。
その特殊性から、探偵事務所にはかなり奇妙なお客様がお見えになる。
それも数多く。
・配偶者の浮気で精神的に衰弱された方。
・家庭問題に不安や疑念がある方。
・家族が行方不明でその生死すら不明な方。
その悩みはケースバイケースではあるが、
みなさん心に傷を負っている方ばかりだ。
そんな依頼者を、探偵の調査によって事実を解明をすることで救いたい。
そんな探偵の存在意義をぼくは誇りに思っている。
でも、ダメだこりゃ。
このタイプの依頼人はどんな調査結果が出ても決して納得しないだろう。
その前に、契約するまでには恐ろしほどの障壁があるだろう。
ぼくが何言ったって、すべてに文句言われるのがオチだ。
現に、一言返すだけですべて文句言われてきたw
でも、会って5分で「お帰りください」ってのはさすがに無理があるから、どうにかなだめすかして帰ってもらおう。
この時、そんな風にあきらめモードに入りました。
この時のぼくの判断は正しかったと思います。
あっけにとられ、無言になってしまった僕を見て彼女はこう言いました。
【70歳のご婦人:依頼者】
ご理解いただけたようなので話を続けますが、あなたには娘の相手の悪いところを洗い出してもらいたいと思っているのです。結婚してからじゃ遅いから。まったく、来年の1月に挙式したいだなんて馬鹿げている。
アイツ......彼はきっと悪い人間に違いないから、調査をすればそれはもう酷い汚点ばかりが浮き上がってくるはずです。
そして、最初に言っておきますが、ゴリスケさん......
それらの汚点、悪評はすべて包み隠さずに私に報告してくださいね。
分かりますよね。隠すようなことをしても無駄です。
わたしには誰がいつ嘘を言っているかなんてお見通しですから。
ゴリスケさん。妙な考えは決して起こさないことです。
だめだこりゃ......
もう僕はこれ以上、こんな妄想ババアには付き合ってられない。
【探偵ゴリスケ】
お客様、まことに申し訳ありませんが、このご依頼はお受けできません。
どうしてかというと、お客様は娘さんのお相手について悪評や汚点があると決めつけてらっしゃいます。これは弊社にとっては大きな問題です。
なぜなら、仮にそのような調査結果が出なかったとき、弊社がありのままをご報告したとしても、その時点でお客様は決してご納得しないでしょう。
必ずトラブルが生じます。
ですから、当探偵事務所までお越しいただき誠に恐縮ですが、今日のところはお帰りいただきたいと思います。ご婦人の顔がみるみる変わっていくのは分かったが、最後まで言い切った。興奮してちょっと声が上ずってしまったのが自分でも分かった。
【70歳のご婦人:依頼者】
あらまあ。怒っているのですね。
「アナタのことが嫌い」って言ったのが悪かったのかしら。繊細なのかしらね。でもね、私には悪気はなかったんです。
そんなことで気を悪くされたんであれば謝りますから、どうか機嫌を直してくれませんか?ゴリスケさん、わたし、こう見えてもお金は持ってますよ?
この言葉がぼくを余計にいらだたせた。
ババアこの野郎! いますぐこの世から消し去ってやろうか!?
って言いたい気持ちを抑え、絞り出すようにこう言った。
【探偵ゴリスケ】
......お客様、お金の問題ではありません。
わたしとお客様が信頼関係を結べないことと、お客様のご要望に応えられる自信がないのが問題なのです。どんな調査であれ、やってみないと結果はわかりません。それはすべてのお客様に、必ず契約前にご納得いただいていることです。
この後このご婦人は、「あーでもない、こーでもない」ってのたまわっていましたが、結局僕が折れることはなかったので最後はあきらめてくれました。
僕が切り札として、ライバル探偵社の名前を2つほど提示し、
「そこならば、あるいはこのような調査が得意かもしれませんね」
なーんて言って、この依頼人に帰ってもらったことは内緒だ🦍w
終わりに
探偵会社には世にも奇妙なお客様が多数お見えになる。
ある意味それが日常の風景。
ただし、奇妙が行き過ぎてしまって、どうにも失礼かつ変態的な方の依頼は絶対に受けてはいけない。
なだめすかし、出来るだけ後くされがないようにお帰りいただくことにしている。
探偵事務所の売上にはならないが致し方ないことだ。
このような方々は、調査後に返金を求めてくるのがオチなのだから。
だから僕は、そんな失礼な変態さんのお話を書いて、うっぷんを晴らすのです。
僕は面と向かって「あなたが嫌いだ」なんて言わない。
noteでいう。
このババア、ホント嫌いだわ🦍
※最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。
※過激な表現については、僕の受けた非礼に免じてお許しいただけると幸いです<(_ _)>
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