家具D2C「メーカー」としての品質管理の取り組み/タンスのゲン
今回は、タンスのゲン株式会社の品質への取り組みについてご紹介します。
タンスのゲン株式会社は家具×ECの会社です。
タンスのゲン株式会社は、福岡県大川市に本社を置く家具・寝具・家電・インテリア用品等の製造販売を手掛ける企業。実店舗での販売を行わず、通販サイト「タンスのゲン本店」やネット通販モールに複数出店し販売をおこなっています。もともとタンス工場として1964年に創業しましたが、2002年にインターネット通販事業に参入して以降、数々の賞を受賞するなど、家具×ECのパイオニア的企業となっています。
タンスのゲンはD2Cの企業、オリジナル製品をファブレスで開発
暮らしのデザインに重点を置いたビジネスによって、潜在ニーズを適切に汲み取ったプロダクトデザインを可能にしています。自社に留まらない膨大な製造ネットワークによって、他社では実現できない仕様やスピードでオリジナル商品を提供しています。ファブレス形態のため協力工場での生産となりますが、2024年現在で、継続して取引を行っている工場は国内外合わせて200社ほどとなります。
タンスのゲン株式会社には、商品部という製品企画、品質管理を行う部門があります。2024年現在この部門に在籍しているのは日本国内に15名、海外に6名(うち現地での雇用3名)。タンスのゲンはインターネットで販売しているため、お客様は製品を購入前に見ることができません。品質管理について大切にしているのは責任を持って社員が現地現物を確認し、改善していく姿勢です。今回は具体的な取り組みについて記載します。
品質管理への取り組み① 工場監査システム
タンスのゲンの製品を製造する工場には必ず工場監査を実施。タンスのゲン株式会社では工場に対して新規取引時だけでなく定期的な監査を通して商品の制作環境の管理をします。工場監査では、①工場の品質管理欲求、②製品の設計監理方法、③原材料の管理方法、④製造過程の管理、⑤検査及びテストの手法、⑥不良品の管理・改善、⓻設備・機材のメンテナンス、⑧工場内の掲示・区分についての8項目に対して、それぞれ5つのチェックポイントを設けて評点を管理しています。
品質管理への取り組み② 量産前のサンプルの検討と、検査結果の保管
タンスのゲンの製品を生産する際には、必ず量産前サンプルを制作します。その上で安全性についての確認を実施し、製品化を行います。検査項目は品目に応じて設定しております。検査結果、設計図面、検討内容は工場側と共有・保管して、万が一の際に参照できるような環境を作っています。また企画書には安全性についての検討項目を設けております。また、タンスのゲンには家具の町大川で、家具製造に関して10年以上の豊富な実務経験を持つ「匠」が複数人在籍しています。製品企画時には「匠」にアドバイスをもらってから商品化するように仕組み化されています。
品質管理への取り組み③ 検品項目の事前共有・実施
工場生産ラインでの検品項目については生産前の検討段階ですり合わせを行います。また生産ラインでの検品内容だけでなく完成品に対しての検品数量割合も事前に確認して、その検品についての記録も保管しています。工場での検品内容は弊社から派遣する検品員が現地で確認を実施。また家電製品・スーツケースなどの縫製製品・ベビー用品など、特定品目については工場に専門の検品員を派遣して全検品を別途手配する場合もあります。
品質管理への取り組み④ 検品データの管理
検品を実施した内容、データは工場と保管を実施しており、万が一問題があった際の責任の所在が追跡できる状態を作っています。
品質管理への取り組み⑤ 製品の梱包/製品に同梱する保証書への製造ロット番号の印字
タンスのゲン株式会社では、生産ロットごとにロット番号を工場と取り決めており、その番号の製品梱包・保証書への印字を実施しております。このことにより問題が起きた際のロットの特定を容易にしています。
品質管理への取り組み⑥ 製造現場で検品をする社員への指導
品質について重点改善が必要な工場が生じた場合は、家具製造に関して10年以上の豊富な実務経験を持つ「匠」を派遣して工場の生産ラインから指導・改善を行います。また、近年は生産現場に後述の検品担当スタッフが現地に訪問した際にTV電話などを用いた遠隔での指導も実施しています。また海外工場の管理のために、タンスのゲン株式会社では2017年に中国に現地法人を設立、また2021年にはベトナムに駐在員事務所を設立し、それぞれ検品担当スタッフを現地で雇用をしています。その検品担当スタッフについては上記の生産ラインでの検品に主に従事しておりますが、その内容については「匠」による指導を継続して実施しより良い状態となるよう改善を重ねています。
品質管理への取り組み⓻ 安全性の試験・検査・評価
・前述量産前サンプルへの検査
前述の生産前の量産前サンプルについての検査は全製品実施しています。
・前述の生産ラインでの検査
前述の検品項目の共有時に指定して生産ラインの中で検査を行っています(例;家電品の動作確認、ベビーゲートの扉の強度検査など)。
・日本入荷時の工場への通告なしの目視による検査
また生産中の検品とは別に日本に入荷したタイミングでの検品を工場に事前共有をせずに定期的に実施してその妥当性について確認を行っています。
・工場への通告なしの科学検査
工場のサイレントチェンジを防ぐ取り組みとして、生産時の定期的に工場に事前連絡をせずに入荷後の製品を第3者機関で精密検査する取り組みも月に一回行っています(月に一回実施している項目 VOC検査、洗濯耐久性、強度検査など)。
品質管理への取り組み⑧ 実際にお客様にお届けした後の調査・社内体制の整備
・取り扱い説明書の全品目に対する作成・商品への同梱
取り扱いしているすべての品目に対して説明書を自社で製作して工場に指示して同梱を行っています。説明書には使用上の注意、安全な組み立て方法、安全な使用方法を必ず入れ込み対応を行っています。
・商品販売ページへの取り扱い方法・使用方法の掲載・動画の入れ込み
商品販売を行うWEBページ上に商品の購入に関する情報だけでなく、購入後の情報も入れ込み、安全にご使用いただけるような環境を作っています。
・不具合に関する全連絡のデータ化/ルール化
タンスのゲン株式会社ではお客様からのすべての連絡を社内システムでお客様情報とご購入製品を紐づけてデータ化しています。そのため、品目と紐づけた不具合・事故状況を照会可能な状態を作っています。また、交換となる場合には不具合箇所の具体的な聞き取り、製造ロット番号への確認も行うよう仕組み化をしています。
・ご連絡が来ていない不具合に関するレビューの全数確認、連絡
タンスのゲン株式会社ではすべての製品を自社管理のインターネット通販で販売しております。そのためお客様からご連絡をいただけていない製品の不具合に関する情報がお客様の商品レビューという形で記載される場合があります。タンスのゲン株式会社では社員による全数レビューチェックを毎営業日行っており、不具合の可能性のあるレビューに対しては全数こちらから連絡を実施しています。その結果、前述のデータがより信頼性のある状態にできています。
・取引先への工場監査得点の共有・改善箇所の指摘
工場監査の結果は取引先に共有し、改善すべき個所を明確に共有します。
・品目ごとの不良データ・不良率の毎月の共有と重要改善製品の設定、改善レポートの制作
品目ごとの不良データを全数毎月共有しています。また特に不良件数が多い製品をピックアップし、製品事故の有無にかかわらず重要改善製品と設定された製品については工場に対して生産ラインからの改善を指示。改善レポートの提出を指示し、管理しています。また、製品事故の可能性がある製品は、即時の生産停止指示とともに改善レポートの制作を行います。
・製品事故にかかわる問題の調査・管理体制の整備
製品事故が起こった際に速やかに出荷停止・リコールなどの対策が取れるよう社内体制を整備しています。
・月一回の全社員対象の商品勉強会/商品テストの実施
月に一回全社員対象の商品勉強会を行います。商品勉強会では毎月違う品目が設定され製品の特性や取り扱い方法、注意事項などの製品知識を学びます。商品勉強会は録画しておりその日休暇をとっていたスタッフも閲覧できる状態を作ります。その月に行われた商品勉強会で共有された知識を中心に商品テストを全社員に対して毎月実施。不合格の場合は追試を実施することで社内の製品知識、安全意識を醸成しています。
まとめ
タンスのゲン株式会社ではより良い製品をお客様へご提供するために、工場監査・製品の設計時の検査・工場での検品管理・入荷時の確認を実施しております。より良い製品をお届けできるよう、これからも尽力してまいります。
また万が一、お届けした商品に不具合がございましたら、迅速に対応させて頂きますので、ご連絡をお願い致します。
▽タンスのゲンコーポレートサイトはこちら
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