情報Ⅰ試作問題を分析!子どもたちに求められる本当の思考力とは?③
突然ですが、ポストが赤色なのはなぜでしょう?
答えはこのサイトが詳しいです。
↓
問題発見とは何か?ということについてある方がこう言っていました
「違和感に気づくこと」
だと。
赤いポストを見て「なぜ赤色なのだろう?」と考えこむことは滅多にないと思いますが
赤色じゃないポストを見て「そういえば、なぜ赤色なのだろう?」と僅かな違和感をおぼえたとき、その理由を探りたくなるものです。
ちなみに日本全国にはカラフルなポストがたくさんありますね。
さらに色も違えば形も違う、こんなポストもあります。
問題を見つけるためには、違和感に気づくこと。
しかし違和感は、自分の視点だけでは気づけないことも多いので、自分以外の人の視点をたくさん持っておくことが重要です。
以前にポストを題材とした問題発見・問題解決の小学生向けの授業をしたことがあります。
そのときは、ポストはなぜ赤いのか?という話の続きとして
ポストの入れ口はなぜ2つになったのか?
入れ口を2つに分けることが本当にベストなのだろうか?
ということについて小学生の皆さんと一緒に考えました。
ポストの入れ口に私が注目したのは、ポストに投函しようとしたときにふと、子どもには分かりづらいのでは?と違和感を覚えたのがきっかけでした。
2つの入れ口は、大きさ以外にも区別されているので、文字(しかも漢字)が読めない子どもには難しそうです。
実際にどの程度問題になっているのか?ということを解き明かすのは調べれば分かることなのでさほど難しいことではないのですが
自分以外の視点をもって違和感に気づくことは、とても難しいことだと常々思っています。
ちなみに、以前に通っていた大学院でマーケティングの授業を受けていたとき、その先生は頭の中に100人の小人が住んでいる、と仰っていました。
要するに100個の視点をもっている、ということですね。
その話はとても印象的で、私もなるべく小人を住まわせるようにしています。まだ数人ですが・・
さて、情報Iの話に戻りましょう。
前回は、情報Iの試作問題から、問題発見においては「誰の問題か?」を考えることが重要であると書きました。
解くべき問題を捉え間違えると、問題解決というプロセスが丸ごと無駄になってしまうからです。
「上手な払い方」の定義は人によって違うので、まずは誰の問題を解決するのか?その問題とは何か?
ということを明確にする必要があるということでした。
そして、そのための「問題を発見するチカラ」を日常の中で身につけ、鍛えていくには何をすれば良いのか?
という疑問にこたえるのが今回です。
少し前ですが、2017年にやった小学6年生に向けた授業を紹介します。
SDGsに取り組む6年生の総合学習の時間に
「問題の見つけ方と問題解決のしかた」
というテーマでやらせて頂いた2コマの授業です。
総合学習の中で子どもたちは、先生の知り合いを通じてタンザニアと繋がっており、タンザニアにいる人たちの問題を解決しようとしてました。
そこで私から投げかけたのはこんなことです。
そもそも子どもたちにとって「問題」という言葉の意味は、"答えを書いて○をもらうもの"、"自分自身が困っていること"、です。
一方、社会における「問題」とは一般的に、"多くの人が困っていること"、です。
この違いを理解しないまま「問題解決」という言葉を伝えてしまうと、プログラミングの授業で自分の作りたいゲームを作る、ということをもって「問題解決」を体験したという話になってしまいます。
まずは相手の問題をしっかり理解しよう、ということを伝えるところからスタートした授業では、簡単なワークの中でヒアリングの練習もしました。
このワークでは、グループに分かれて、夜道を歩くことを怖がっている女の子の問題を解決します。
グループの中で、問題を抱えている子の役と、それを解決する子の役に分かれます。そして、なぜ怖いと思っているのか?どうしたいと思っているのかをヒアリングして理由を探り、解決する方法を一緒に考え、プロトタイプを作るところまでが一連です。
ちなみにプロトタイプでは、電子ブロックを使って夜道を光らせるライトや、万が一のときに音で知らせる防犯ブザーなどを作りました。
当時の授業の様子や、子どもたちのふりかえりの様子は上のBlogを参考にしてほしいのですが、どの子の意見も本当に素晴らしくて感動します。
ライトを作ろう!防犯ブザーを作ろう!というワークでももちろんプログラミング学習としては成り立つのですが、個人的にはその前段として、問題とは?ということに向き合うことの方が重要でした。
その想いが伝わって嬉しかったですね。
小学生には難しいかもしれない?という不安もなくはなかったのですが、実際にやってみて非常に手応えを感じました。
もっともっと、授業の中でこういったシチュエーションを体験できると、子どもたちの視野が広がり、将来、たくさんの小人を頭の中に住まわせることのできる大人になるのではないかと思っています。
ちなみにこうした問題発見は、社会人なら仕事を通じて自然とできるようになる・・
なんてことはなくて、相当努力しないと出来るようになりません。
人はどうしても、自分の見えている世界しか見ようとしないし、自分に出来ることを基準に問題解決を考えるのが常ですから。
手段から入るな、まず目的を捉えよ、という話と同じです。
こうした癖に気づいて、克服しようと考える人にはこの本がオススメです。
とても薄くて読みやすい本なので、小学生でも高学年なら読めると思います。
高校の授業でも、副読本として使うと良いかもしれません。
子どもと一緒に大人も読んで、この本に出てくるエレベータやトンネルの話をメタファーにして、身の回りにある(はずの)問題を見つけたり、向き合ったりする練習ができたら最高です。
是非、子どもたちとたくさんコミュニケーションをとってみてください。
さて次回はまた情報Iの試作問題に戻って、大問4データ分析の問題を見てみます。