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中央新幹線・早期具体化構想(1)

よしなしごと【気まぐれ選96】

 2007年7月1日から走り始めた新幹線N700系は東京・大阪を最速2時間25分、最高速度270km/hで運行する。新大阪駅の朝8時台は、東京行き「のぞみ」が3分間隔で出て行く(地下鉄か!)。
 東海道新幹線は1964年開業以来、40年以上が経過し、その間輸送力アップや、高速化の技術改良を続けてきたが、その努力はほぼ限界に達している。

 こうした状況から考えて、早期に中央新幹線(東海道新幹線のバイパス線)が必要なのは目に見えている。
 2007年4月、JR東海は東京と大阪間を超電導リニアモーターカーで結ぶ「リニア中央新幹線」構想について、2025年に首都圏〜中京圏間で営業運転を開始することを目指すと表明した。
 しかし現実問題、実現の目途は全く立っていない。そこで私は(別に誰に頼まれたわけでもないが)考える。中央新幹線を早期具体化する勝手構想。4回続きます。

リニア中央新幹線の計画概要

■中央新幹線の役割
 まず、なぜ中央新幹線が必要なのか。その役割を再確認しておこう。
 中央新幹線の導入は、「東京-名古屋-大阪という大都市圏を一体化し、ひと続きのメガポリスを誕生させる」ことである(山梨県HP)。
 JR東海でも「三大都市圏が一体化し巨大な日常生活圏・経済交流圏が生まれる」、さらに「東海道新幹線との二重系化」、つまりバイパスの役目を果たすと述べる。
 要は東京圏〜大阪圏を、東海道新幹線より速く短時間で結ぶ路線ということだ。
 たまたま新幹線構想と同時期に、リニアモーターカーの開発を進めていたので、まあできれば中央新幹線はリニアならいいよね、次世代の「夢の新幹線」だもの・・。ということである。言いたいのは、リニアは必須条件ではないということ。

■リニアの現状
 山梨県内にリニア実験線があり、そこで3両編成 581km/h達成! ギネスブック認定記録(2003年12月2日)といった走行実験を行っている。
 こうした経緯から、山梨県はどうやらリニア新幹線が甲府に停まるものと信じきっているようだ。新幹線ができたら、甲府から東京まで多分15分くらいだよね。もうこれでわしらも東京人の仲間入りだっぺさ、ふっふっふ・・みたいな感じ(方言は架空のものです)。
 ではあるが、リニアは急に停まらないのである。というか、途中で止まりたくない構造上の性質を持っている。浮いてるわけですからね(羽田~伊丹の日航も全日空も、途中、名古屋には絶対に降りない)。
 あくまでもリニア新幹線の目的は「東京-名古屋-大阪という大都市圏を一体化」することで、誰も甲府など通過地のことはかまっていない。
 つまり、リニアは、東京と大阪(と名古屋)以外には何のメリットももたらさない。

■早期実現のために、ではどうするか
 答は一つしかない。今の東海道新幹線と同じシステムでつくる。ただし、半世紀以上前の技術レベルではなく、現時点での最高レベルの技術でなら時速400km/hは可能だ。
 リニアの目標である「東京・大阪1時間」は無理としても、1時間30分くらいなら何とかなる。投下費用も確実に抑えられる。早期実現に向けて、(勝手に)考えてみたい。
 つづく・・・(4回連載)
【よしなしごと0232・2007年7月 5日 (木)掲載】

【よしなしごと】シリーズは『tanpoPost』に2004~2013年にかけて掲載したブログ記事です。エッセイ風のショートストーリー、パロディ、ニセ論文、小ネタ、などなど。思いつくままに書き散らした小文をランダムに【選】としてご紹介します。お付き合いいただければ幸いです。

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