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小学校の国語、難しい問題

よしなしごと【気まぐれ選93】

 『全国学力調査』が実施されたとかで、新聞に小学校の国語の問題の抜粋が出ていた。
 ふむふむ・・。で、ためしにやってみた。
 
【問題文(概要)】
 小学校6年生が1年生と「楽しく交流しよう」とクラスで話し合っている。
 「1年生に人気があること」「ルールが簡単であること」の2つにあった遊びを考えることになった。出てきた提案は「ぶらんこ」「おにごっこ」「長なわとび」の3つだった。

【設問】
「ぶらんこ」「おにごっこ」「長なわとび」、この3つの提案の中には「1年生に人気があること」「ルールが簡単であること」の条件のほかに新しい条件が含まれている。それは何か?

 はて? 絶句。

 私、小学校の問題の意味がまったくわからない(わかる人います?)。
早々にギブアップして、答を見ると
 「一度にたくさんの人で遊べること」だと解答に出ていた・・。

 そう言われても、やはり腑に落ちない・・。ので、なぜ、私がわからなかったのか考えてみた。原因はどうやら「ぶらんこ」にある。

 そもそも「ぶらんこ」「おにごっこ」「長なわとび」の3つの提案が「1年生に人気がある」ことの根拠がよくわからないことが引っかかっている。
 そこにさらに、「一度にたくさんの人で遊べること」と模範解答にあるが、「ぶらんこ」はそうか? 「ぶらんこ」は基本的にはひとりで遊ぶものである。
 つまり、みんなで一度に(共通の目的を持って)遊ぶものではない。したがって「ぶらんこ」は、交流するためにみんなで遊ぶという条件(前提)が、そもそも成立しないのではないか。
 また「おにごっこ」は、みんなで鬼から逃げとおすという目的、「長なわとび」は縄に引っかからないようみんなで飛び続ける・・という簡単なルールによる共通した目的がある。ところが、ぶらんこ遊びとは、まあ言えば順番待ちの連続である。早く乗りたい、長く乗りたい、できれば独り占めしたいという欲求を抑えてひたすら待つ・・。
 強いて言えば、ぶらんこ遊びのルールとは、順番を行儀よく待つことであり、次の人に早く変わってあげる心を養うこと。このルールが「簡単であること」なわけはない・・。

 とまあ、こんなむずかしい問題で国語の学力を調査するのは、どう考えてもムズカシイ。というのが結論なわけである。
【よしなしごと0209・2007年4月25日 (水)掲載】

2024追記
問題文と解答は下記の「小学校・国語B」にあります。
読み直してみると、どうやら問題は6年生の議論そのものにあるようだ。
が、それは試験の解答としては求められていないのだろう・・。
国立教育政策研究所 平成19年度全国学力・学習状況調査の調査問題・正答例・解説資料について
https://www.nier.go.jp/tyousa/tyousa.htm

【よしなしごと】シリーズは『tanpoPost』に2004~2013年にかけて掲載したブログ記事です。エッセイ風のショートストーリー、パロディ、ニセ論文、小ネタ、などなど。思いつくままに書き散らした小文をランダムに【選】としてご紹介します。お付き合いいただければ幸いです。

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