心斎橋の大丸、NYのメイシーズ
よしなしごと【気まぐれ選62】
「心斎橋大丸は、実はメイシーズ(Macy's)である」という小ネタ話です。
大丸心斎橋店は、有名な建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズの代表作のひとつです。格式高いネオゴシック建築で、まず1925年に心斎橋筋側が完成し、御堂筋側は地下鉄の開通に合わせて1933年に竣工しています。
一方、メイシーズ(ニューヨーク本店の百貨店)の歴史を見ると、1924年にヘラルドスクエアのワンブロックを占める大拡張工事が完成し、「世界最大店舗」となっています。まさに心斎橋に大丸ができたのと同時代の建物です。何となく雰囲気が似ていますね。
ここで、もう一つ時代背景を重ねてみると、ヴォーリズは1922年にスポンサーだった大同生命の広岡社長夫妻と共に、アメリカへ半年ほど建築視察旅行に出かけています。この視察を踏まえて、旧大同生命ビル(肥後橋)が1925年に完成するのですが・・。
さて、ヴォーリズは大丸の下村社長とも面識があります(自邸も設計している)。心斎橋店の設計を頼まれたとき、ニューヨークで見たメイシーズのことが、(ポッと電球が光った感じで)頭に浮かんだことでしょう。
「これ、まんまいけるんとちゃう」と、ヴォーリズは、にやり顔を抑えつつ思わず英語でつぶやいた(はずです)。
かくして、ニューヨークのメイシーズは、大阪・心斎橋で大丸となった・・と、私はにらんでいるわけです。
【よしなしごと0112・2005年10月 5日 (水)掲載】