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「駐車禁止」について考えてみた
よしなしごと【気まぐれ選118】
道路(一般車道の意味です)というのは、当たり前のことですが、「クルマを走らせたり、停めたりできる場所」であるはずです。しかし現実には、「クルマを停める」ことは非常に難しい。何故なら、いたるところ「駐車禁止」になっているからです。
けれど、「違法駐車」は後を絶たない。
何故か。クルマは「停めないと用が足せない」からです。走るだけでは意味がない。だから停める。結果、必然として「駐車違反」になる可能性が高まるわけです。
現実には常に「違法駐車」が起きている場所があります。
どこかといえば「停めても迷惑にならない」と、大多数の普通の常識人が考える場所。しかし取り締まり側は、迷惑になろうがなるまいが「駐車禁止」なのだから「駐車違反」という論理しか持っていません。
しかし考えてみると、「駐車禁止」にしなくてもいいところまで「駐車禁止」にしているのではないか、とも言えます。
何故そう思うかといえば、あるとき一斉にパーキングメーターが増えたからです。昨日まで「駐車禁止」だった場所が、いくらかのお金を払えば合法的に駐車できるようになった。別に道幅が広がったわけでも交通量が減ったわけでもない。道路に白線を引いてパーキングチケットの発行機をつけただけのこと。ということはつまり、その場所は元からクルマを停めても問題がなかった、ということになりませんか。
結論から先に言えば、絶対に駐車してはいけない場所(常識のある人は交差点の真ん中にクルマを停めたりしない)以外は、「駐車禁止」にする必要はないのです。
むやみやたらに「駐車禁止」にするから「違法駐車」になる。
とはいえ、現実にクルマの数は多く、「駐車禁止」を全面解除するわけにはいかない、というのももちろん正しい。では、どうするか。もちろん答はあります。
ニューヨーク、その中心部マンハッタン。もし手元に地図があれば試してほしいのですが、大阪市街とマンハッタンの地図を(もちろん同縮尺で)重ねてみます。
マンハッタンは東から西へ1番街から10番街まで、南北に大通り(アベニュー)が走る。そこでメインストリートの5番街を御堂筋に重ねてみると、1番街は上町筋あたり、10番街は新なにわ筋あたり。34丁目を長堀通に重ねると、ツインタワーがあったグラウンドゼロは天下茶屋あたり。セントラルパークは新大阪あたりとなるはずです。
つまり、アメリカは広いがニューヨークはけっこう狭い(ちなみに5番街もそう広い道路ではなく、御堂筋と同じく一方通行です)、クルマも人も多い。マンハッタンも船場も道路事情はほぼ同じです。当然、駐車違反の取り締まりも厳しい。多分日本より厳しい。
いたるところに「駐車禁止」の標識が立っているのは大阪と同じです。が、微妙に違う。駐車禁止標識の下にいわゆる補助標識がついていて、そこには例えばこんな風に書いてあります。
「MON-THU 800-2000」=月曜から木曜の朝8時から夜8時まで駐車禁止
この道路は平日のビジネスタイムは交通量が多く、駐車車両があると交通に支障がある。だから絶対にクルマを停めてはならぬ! しかしながら、平日でも夜8時を過ぎれば次の朝8時までは交通量は少なくなる。だからクルマを停めてもそう支障はない。週末はもちろんノープロブレムである。したがって、支障があるときだけ駐車禁止にする、ということです。
全く正しい。道路事情をきちんとフレキシブルに見ている。というより、「道路はクルマが走ったり停まったりできる場所」である、という基本原則があって、その上で、例外的に「停めてはいけない」規制をかけているということです。それゆえに、「駐車違反」はまさに違法行為として断固として取り締まることができる。
くどいようですがもう一度繰り返します。
結論は、絶対に駐車してはいけない場所以外は、「駐車禁止」にする必要はない、ということです。必要のない「駐車禁止」が、本来違法ではない「駐車違反」を生み出しているのです。
今日は真面目に書いてます。
【よしなしごと0071・2005年4月12日 (火)掲載】
2024注記:
多分、この記事を書く直前に駐車違反で切符を切られ、泣く泣く罰金を払いに行ったのだろうなあ・・と思う。
【よしなしごと】シリーズは『tanpoPost』に2004~2013年にかけて掲載したブログ記事です。エッセイ風のショートストーリー、パロディ、ニセ論文、小ネタ、などなど。思いつくままに書き散らした小文をランダムに【選】としてご紹介します。お付き合いいただければ幸いです。