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品川で 鉄道ラリー 6駅を 電車に乗らず 駆け巡るラン “ 東京そぞろ走り #7 ”
2023年2月10日金曜日。関東甲信地方全域に大雪の恐れが生じ、多くの地域に大雪警報が発令された。
ここ、松本市も例外ではなかった。朝から降りはじめた雪は止むことなく、昼過ぎには20cm近くの積雪となった。
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私は信州大学の客員研究員としてゼミに参加するため、毎週金曜日に松本キャンパスまで通っている。周囲の話によると「あまり雪が降らない松本では、数年に一度の積雪量」とのことで、午後のゼミは休講となった。
当初の予定よりも早い時間に身体が空いてしまった。これからもしばらくは雪が降り続けるようだし、早めに移動しよう。明日は東京に暮らす父が80歳の誕生日を迎えるので、夕食にお祝いの席を用意しているのだ。松本駅から15:11発の特急あずさに乗りこみ、私は東京に向かった。
先行する特急が線路に倒れてきた竹と接触したため安全確認でダイヤが乱れたが、定刻より40分ほどの遅れで新宿駅にたどり着いた。ホームに降り立つと、どうやら都心部には積雪はないようだ。「不要不急の外出は控えるように」との政府からのお達しの効果か、いつもより空いている山手線に乗り換えた。
「この天候なら、明日は走れるかな?」
じつは、先日FACEBOOKで見かけた『しながわ鉄道ラリー』に関する記事が気になっていたのだ。
・参加方法
①ラリーポイントになっている区内6つの鉄道駅に行き駅構内(改札外)に貼られた記号入りポスターを見つける。
②ポスターに書かれた記号をリーフレットにメモする。
③すべての記号を集めたら、報告場所へ行って記号をキーワードに変換する。
④キーワード報告&アンケート回答で、オリジナルグッズをその場でプレゼント。
おそらく主催者側としては、
・区内の電車利用促進(特に土日)
・途中下車によって駅周辺に人流を増やし、経済を活性化させる(ポスターが改札外にあるので)
といった意図があるのだろう。
私はランニングを趣味にしているので、前者の意図からは外れてしまうがこのコースを走ることで後者に貢献してみようかな? と、考えていたのだ。
明日の昼間は特に用事を入れていないので、路面に凍結や積雪がなければこの企画にランニングで参加することにしよう。
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2023年2月11日、土曜日。13:30。自宅でランニングウェアに着替え、準備体操を済ませて、シューズの紐を結び、ドアを開けて外に出る。空は晴れ渡り、道路に雪は残っていない。道の真ん中には猫が一匹、訝しげにこちらに一瞥をくれる。
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では、ランニングで巡る『しながわ鉄道ラリー』スタート!
100m以上続く路地を進み、丁字路を左に折れる。交差点を右折し、荏原町商店街に向かって進んでいく。左手には築50年以上のアパートがある。じつはこのアパートの2階が、9歳の時に今日のスタート地点に引っ越すまで暮らしていた、私の生家なのだ。こんな古いアパートでも、今なお人が暮らしている気配が感じられる。
そのまま裏道に入り坂を下っていき、荏原町商店街に合流する。このあたり、品川区を中心に走る東急線は駅間がとても短く、線路沿いに商店街が延々と連なっているのが特徴だ。私が子どもの頃は10日に一度縁日が立ち家族連れでごった返したが閉店した店が多く、今では歯医者とマッサージ店と美容院が目立つようになってしまった。それでも土曜日の昼下がり、買い物客を中心に駅前は賑わっている。
駅前の交差点を左に曲がり大井町線の線路沿いに進んでいくと、500mほどで旗の台駅に至る。一番大きい改札口に向かい、記号が書かれているポスターを探す。改札横のラックにリーフレットを発見した。
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ひとまずリーフレットを手に入れてポスターを探すが、見当たらない。別の改札口に向かおう。
駅前で道路に交差する池上線の線路沿いに路地を抜け、別の改札口前に出る。
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踏切で立ち止まる視線の先には、昭和医大病院がそびえる。
この病院には母が入院していたので、学生時代によく足を運んだものだ。この地域では最も大規模な病院で、緊急時には多くのケースでここに搬送される。しかし、なぜか私は骨折で救急搬送された時もコロナで隔離された時も別の病院に運ばれ、この病院にはお世話になったことはない。
閑話休題。踏切を渡り改札前の掲示物に目を凝らす。「あった!」 東急旗の台駅で、一つ目の記号をゲット!
ちなみに、旗の台駅は2019年に「木になるリニューアル」をした。元々ホームに設置してあった築100年近いであろう木のベンチが撤去され、代わりにこのような駅舎になったのだ。
では、次の目的地に向かおう。
駅前商店街から中原街道に突き当たる手前を右に折れ、裏道を進んでいく。街道と平行に伸びる生活道路を進んでいく。この道は私が高校時代の通学路で、平日は自転車で毎日往復していた。走るようになってからのここ数年は、お気に入りのランニングコースのひとつになっている。
平塚橋の交差点で中原街道と合流し、少し進んでいく。左手には武蔵小山のアーケードが見える。あのアーケードの先、武蔵小山の駅前に私の母校があるのだが、今日は寄り道せずに進んでいく。
右斜め前に伸びる道に入ると、すぐに戸越銀座商店街の入り口だ。ここは全国の商店街の中でも特に賑わっていることで有名で、実際走ることもままならないほどの人出がある。ここからしばらくは早歩きで進んでいく。戸越銀座駅を越えて国道一号線を渡ったところを少し右に進むと、戸越駅の入り口が現れた。
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階段を下り、改札に向かう通路を進んでいく。通路の両側には掲示板があり、その一角にポスターが掲示されていた。都営地下鉄戸越駅で、二つ目の記号をゲット!
続いて、3ヶ所目の目的地に向かう。
国道1号線を越えてなおも続いていく戸越銀座商店街を、引き続き早歩きで進んでいく。
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500mほど進んで商店街が途切れると、途端に人通りも途切れる。ここからは、ふたたび走って進むことにする。
このあたりから大崎駅への道は、つい最近まで私の通勤路の一部だった。2年前の冬にノルディックポールを買った私は通勤の一部を電車から置き換え、大崎駅から自宅までの退勤をノルディックウォークで移動することにしたのだ。それから去年の9月まで、週に3回ほどはこのルートで退勤していた。とはいえ、いつも歩いていた方向とは逆のルートを今日は進んでいくことになる。
しばらく進むと、JRのガード下に行き当たる。通り抜けできるように道は通っているが、ここは左に舵を切り、ガード沿いの坂を上っていく。いつもは下っていた坂道を上がっていくのは、新鮮な気分だ。
坂を上り切って左側の路地をうねうねと進むと、右手に児童公園がある。
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この公園のベンチには近所で飼われている猫がよく寝ていることがあった。とても人懐っこい猫で、私を含む通行人や近隣住民のアイドル的存在だった。しかし、ここ1年ほどは、その姿を見ることがない。心配だ。
このあたりは西品川という地名なのだが、入り組んだ路地に猫の姿が目立つのどかでよい場所であり、とても気に入っている。
そのまま坂を下ると、大崎駅の敷地に入る。なにもない土地に、駅の周辺だけオフィスビルが立ち並ぶという異様な光景は、いまだに慣れることがない。
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階段を上り、ペデストリアンデッキを進んでいく。TSUTAYAやスタバを横目に、駅改札前に向かう。いつも利用している南口に、ポスターはなかった。階段を下り北口に回り込む。こちらの改札前、あまり目立たないところに、ポスターを発見した。JR東日本大崎駅で、三つ目の記号をゲット!
続いて、4ヶ所目の目的地に向かう。ふたたび階段を下り、線路沿いに緩やかな上り坂を進んでいく。しばらくすると線路が分岐するので、ガードをくぐって、左側の線路沿いにルートを移していく。坂を上りきったところが品川区役所だ。私の普段のランニングでは、このあたりを自宅からの折り返し地点にすることが多い。片道3㎞くらいでちょうどいい距離なのだ。
坂を下り交差点を左に曲がると、大井町駅前商店街の緩やかな上り坂に入る。左手には最近まで『スポル品川大井町』というサーフィンやボルダリングが体験できる複合スポーツエンターテインメント施設があった。それが再開発の狭間の期間限定営業だったため閉館し、このスペースの一部に品川区役所が移転してくるとのことだ。少しは駅に近くなって便利になることだろう。もっとも、私は大田区民なのであまり用事はないのだが。
などと無駄口を叩いているうちに、大井町駅前に到着した。
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JRの改札口すべてを回りポスターを探す。しかし、それらしきものはまったく見当たらなかった。「一体どうしたんだ?」私はリュックにしまっていたリーフレットを取り出し、目を通した。結果は以下の通り。
『臨海高速鉄道 大井町駅』
いやはや、すっかり見落としていた。この企画は品川区に鉄道を乗り入れている各社から一駅づつのエントリーだったのだ。
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大崎を起点に大井町を抜けてお台場を縦断し新木場に至る、JRが保持を拒否した超赤字路線のことを、すっかり失念していた。かつては通勤で使っていたこともあるというのに……
エレベーターで地下改札に下ると、通路の壁にひっそりとお目当てのポスターはあった。臨海高速鉄道大井町駅で、四つ目の記号をゲット!
続いて、5ヶ所目の目的地に向かう。駅前の坂を上り、東に進む。一本裏に入れば戦後闇市を起源とする横丁が今でも存在している。その一角には、コロナ禍に巻き込まれながらも私がなんとかオープンにこぎつけた施設もある。土曜日の昼下がり。軽く一杯引っ掛けたいところだが、ここはグッと我慢して先を急ごう。
交差点を左に折れ、ゼームス坂を下っていく。下りきったところが目的地だ。近い!
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改札口に視線を移すと、『東海道品川宿スタンプラリー』なる企画が大々的にアピールされている。もしかして京急は、こっちの企画の方に力をいれているのではないのか? 現に、私の今回のランニング企画に賛同してこの鉄道ラリーを走るはずだったランニング部のメンバーが、故意か不可抗力かは定かではないがこちらのスタンプラリーに走って参加していたようなのだ。
冗談はともかく、ポスターを探すと改札わきにひっそりと貼られていた。京浜急行青物横丁駅で、五つ目の記号をゲット! ついでにこの駅の予備知識をお伝えすると、最近特急が停車するようになり今後の発展が期待されると同時に、私のような地元民からすると「改札前で医師が射殺された駅」という印象が強い。
続いて、6ヶ所目の目的地に向かう。いよいよ、最後の目的地だ。駅前を右折して旧東海道を進んだ後にうねうねと入り組んだ路地を抜けると、左手に鮫洲の運転免許試験場が現れた。そういえば私の免許更新が去年あったのだが、なにを血迷ったのか自宅から走って鮫洲まで更新しに来るという暴挙を働いたことをふと思い出した。
試験場の先に橋が架かっている。
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左右を見渡すと漁船が停泊されている。浜風が潮の香りを運んでくることも相まって、もう海はすぐそこにあるのだという事実が実感できる。
運河沿いに出て、モノレールと並走しラストスパートをかける。
その突き当たりに、目的地の駅舎がそびえていた。
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歩道橋を渡り、二階にある駅改札に抜ける。改札口の前に、ポスターを発見した。東京モノレール大井競馬場前駅で、六つ目の記号をゲット!
スタート地点の自宅からここまで、約13㎞。走り切ってみると、寒さを言い訳にして最近まともに走っていなかった身体はなかなか疲れている。ここから自宅までは4.4kmくらいなのだが既に走る気力は失せ、平和島の競艇場まであと1.5kmくらいだけ走ってからバスを乗り継いで帰宅することにした。
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ちなみに、集めた記号を主催者指定の場所でキーワードに変換すれば景品がもらえるのだが、土日は営業していないようなので景品ゲットはあきらめることにする。なにしろ、今日の深夜バスで長野に戻らなければならないのだ。
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【追記】
父の80歳バースデイは、大井町の焼肉屋で無事執り行うことができた。
主催者の俺、えらい! さすがは長男。
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