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学校や塾の先生ではない、子どもの成長に関わる仕事とは?放課後NPOアフタースクールでの仕事について聞きました!

「教育に関わりたいけれど、学校や塾の先生はちょっと違うかもしれない。他に、どんな選択肢があるのだろう?」 そう思う方もいるのではないでしょうか。

今回のイベントでは、日本の放課後を安全で豊かにするために「社会で子どもを育てること」に取り組んでいる放課後NPOアフタースクールで働かれている3名に、入社の経緯や仕事内容を伺いました。

放課後NPOアフタースクールの取り組みは主に2つあります。一つは、学校施設を利用し、地域と共に子どもの育ちや学びを応援する放課後の居場所「アフタースクール」。もう一つは、企業と協働し体感的に楽しく学べるプログラムを子どもたちに届ける「ソーシャルデザインチーム」での取り組みです。ゲストのみなさんは、どのように子どもの成長と関わっておられるのでしょうか。教育に関わる選択肢が広がるきっかけになれば嬉しいです。

新卒で入社。「市民先生」と協力しながら、子どもたちの関心にあわせたプログラムの企画運営を行う

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── 齋藤さんは2019年度に新卒でアフタースクールに入社されていますね。入社を決めた経緯はどんなものですか。

齋藤:いろんな教育への関わり方を模索しているときに、「学校以外の場所がいいな」という思いをぼんやりと持っていました。教員や塾の先生という選択肢もありましたが、勉強では見えない子どもの「好き」や「得意」が大切にされ、ありのままを受け入れられるような居場所で働きたいという思いがありました。

また、社会とリアルに繋がることができる本物の体験を子どもたちに届けたい思いもありました。「社会で子どもを育てる」というアフタースクールの理念に共感したことも大きかったです。

説明会でスタッフの方にお話を伺う中で「ここで働いたら居心地が良いだろうな」と感じ、入社を決めました。

── 今はどのような仕事をなさっているのでしょうか。

齋藤:副責任者として公立小学校のアフタースクールを運営しています。現場の仕事は大きく分けて二つあります。一つ目は、子どもたちや保護者の方々が安心して放課後の時間を過ごすことのできる居場所づくりです。二つ目は、子どもたちの興味関心を広げるプログラムの企画や運営です。

── 現場で直接子どもたちと関わられたり、プログラムを企画されたりしているのですね。現場での仕事について教えてください。

齋藤:放課後、学校に併設されたアフタースクールに子どもたちがやってきます。先生よりも距離が近くて、友だちよりも年上のお姉さん。そんな立ち位置で子どもたちと関わっています。斜め上の関係性として子どもたちに関われるのは、放課後ならではだと思います。

学校の先生とも連携して、日々子どもたちの様子を共有するようにしています。先生からも情報を共有していただきながら、一緒に子どもたちを見ています。ご家庭の状況に合わせて、日頃の悩みを話せるように保護者の方と心理士の方をお繋ぎすることもあります。子どもたちや保護者の方々の支えになるようなサポートが大事だと思っています。

── 子どもたちに提供されているプログラムには、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。

齋藤:地域の方々を「市民先生」としてお招きして、子どもたちが本物の知恵や技を体験できるプログラムを提供しています。プログラムは、在籍する子どもたちの関心にあわせてつくっています。

例えば、生き物が好きな子どもがいたとしたら、生き物に詳しい方を「市民先生」としてお呼びし、子どもの興味関心をさらに引き出していくきっかけにします。

また、地域のお祭りにお店を出し、お金のやり取りを実際に体験することもありました。普段子どもたちがなかなかできないような体験ができるのがアフタースクールの特徴だと思います。

── 素敵ですね。「市民先生」について、もう少し詳しく教えていただけますか。

齋藤:持っている知恵や技を子どもたちに伝えてくださる地域や外部の方々を総称して「市民先生」と呼んでいます。「市民先生」は特定の人しかなれないというものではなく、保護者の方も一人の「市民先生」として、知恵や技を子どもたちに伝えていただくことができます。

── いろんな人が子どもに関われる環境をつくっているのですね。仕事のやりがいはどんなところにありますか?

齋藤:子どもたちの成長を日々感じられることがやりがいです。

また、仕事の中で地域や外部の方々と子どもたちを繋げて、プログラムを生み出すことも好きです。「これまで教育に関わってこなかったけれど、アフタースクールで子どもたちと関わったことがすごく楽しくて、学びもたくさんあった」というお話を聞いたときは、とても嬉しかったですね。

プログラムを通して、子どもたちだけでなく大人も、喜びを感じたり新しい発見ができたりするのは良いなと思っています。

アパレルや飲食業界などでの経験を活かし、パラレルキャリアとして入社。異業種でのキャリアは教育業界で活かせる。

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── 森澤さんは、パラレルキャリアとしてアフタースクールに入社されていますね。どんな経緯があったのでしょうか。

森澤:もともとアクセサリーやジュエリーをつくるメーカーに勤めていました。その後、マルシェのお手伝いをしたり飲食プロデュース会社を立ち上げたりと、多方面で活動していました。有難いことに仲間やいただく案件が増えてお金を稼げるようになり、日々達成感がありました。

その一方で、「自分はどこに向かっているのだろう」という気持ちもありました。

そんな思いが出てきた頃に開いたイベントに、子どもたちが遊びに来てくれたんです。子どもたちが初めて見るようなキラキラした表情をしていて、そこから教育について考えはじめ、本を読んだり知り合いに話を聞いたりするようになりました。

その後、コロナウィルスが流行して、僕がこれまで行ってきた飲食業界での活動が制限されてしまいました。それまでやっていた事業を見直し、「いろんなことを経験した今だったら教育に関われるかもしれない」と感じていた中で、知人からの紹介でアフタースクールのことを知りました。代表の平岩さんのお話に共感したことも大きく、最終的に入社を決めました。

── 森澤さんも、齋藤さんのように現場で働かれていますね。仕事の中でこれまでのキャリアが活きたと感じることはありますか。

森澤:現在は副責任者として私立小学校のアフタースクールを運営しています。子どもたちと関わったり、プログラムの企画や運営を行ったりしています。

現場に入ってることに驚かれたりもしますが、楽しんで現場の仕事をしています。「自分が仕事を楽しんで、子どもたちにも楽しんでもらう」ことが僕のモットーです。

これまでのキャリアが活きたと感じる瞬間はたくさんあります。いろんな社会を見てきたからこそ、子どもたちに具体的なアドバイスができる。ぼんやりと描いている夢の実現に向けて、具体的に何をするかを逆算して一緒に考えたり、起業経験を活かして経営の視点から話したりしています。

子どもたちと直接関わるだけでなく、プログラムの企画や運営でもこれまでのキャリアが活きています。農家さんのお手伝いをしていた経験を活かして、「自然の中で遊ぶのは楽しい」という温度感で、農業を通して子どもたちが一次産業に触れる体験プログラムができたらなと思っています。

農業体験をすることで、スーパーの野菜の値段について疑問を感じる子どもたちもいると思います。プログラムを通して、子どもたちのクエスチョンを増やしていきたいです。

── パラレルキャリアということは他にも仕事されているのだと思いますが、バランスはどのように取られているのでしょう?

森澤:平日の朝から夜まではアフタースクールで働いています。アフタースクールでの仕事の前後や週末に、他の仕事をしています。自分の事業に関する仕事を進めることもありますし、起業のノウハウを伝える仕事や、別の企業が行っている事業のメンバーに加えてもらって進めている仕事もあります。

同時にいろんな仕事をしていると「忙しそうだね」と言われることもありますが、個人的にはそう感じることはあまりないですね。楽しいことしかしていないので。もしも嫌な仕事をしていたら、同時に複数の仕事をすることは難しいと思います。

また、複数の仕事をすることはすごく大事なことなのではないかとも思っています。「無駄だ」と言う人もいますが、僕は無駄も何かの役に立つと思っていて。子どもたちに別の仕事での話ができることも、パラレルキャリアのメリットの一つです。

企業から転職。CSR部門で働いた経験を活かし、企業と協働しながら子ども向けのプログラム開発に取り組む。

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── 後藤さんは企業からアフタースクールに転職されていますね。どんな経緯があったのでしょうか。

後藤:前職では食品メーカーのCSR部門にいました。仕事の中で「子どもの教育の一責任を企業も担う必要があるのではないか」と考えるようになり、アフタースクール代表の平岩と協働して子どもたちに食育プロジェクトを届けたりもしました。その後、企業からアフタースクールに転職しています。

── 齋藤さんや森澤さんが働かれている現場の仕事はイメージしやすいですが、後藤さんはソーシャルデザインチームで働かれていますよね。どのような仕事をなさっているのでしょうか。

後藤:現在はソーシャルデザインチームのマネジャーを務めています。ソーシャルデザインチームでは、企業のみなさんと一緒に子ども向けのプログラムを企画開発して、全国の現場に届ける活動を行っています。

私たちは現場を持っているNPOなので、子どもたちの様子や気持ちを知ることができます。その強みと企業のみなさんの資源を活かしてプログラムをつくっています。

アフタースクールには「放課後をゴールデンタイムにしたい」という想いがあります。子どもたちにとって放課後が最高な時間になってほしい、ということです。その目標を実現するため、一つの担い手として企業のみなさんにも「市民先生」として協働していただいています。

それは、企業の次世代育成にもつながることなんですね。例えば「プログラミング教育を次の世代に」という想いがある企業があれば、私たちがその想いをプログラムにして子どもたちに届けています。企業の特徴を活かしてプログラムを設計しています。

またプログラムを企画するだけではなく、当日の運営も行っています。全国の放課後児童クラブなどに足を運んで、現場の方々とお話したり司会進行をしたりするのも私たちの仕事です。子どもの可能性は未知数で、そんな子どもの教育に関われていることに意義を感じています。

── 仕事の中でこれまでのキャリアが活きたと感じることはありますか。

後藤:これまで企業で働いてきたからこそ、企業のみなさんが大切にしたい想いも理解できるのかなという気がします。今は「どのように企業のしていることを世の中へ還元していけるか」が社会に問われている時代でもあるので、そのお手伝いができればと思っています。

── アフタースクールで働く中で、働きやすさという観点から感じることはありますか。

後藤:「家族を第一優先に」と上の立場の方が自ら伝えてくださっていることが働きやすさにつながっています。私は今二人の子どもを子育て中ですが、職場からの理解があり、子どもたちの予定に合わせて、自宅で働く時間とオフィスで働く時間を自分で決められる環境です。また子育てについて話しやすい職場だと感じています。

またフルタイム以外の働き方もあります。私も最近まで時短勤務で働いていましたし、業務委託スタッフとして週に何回か働いている方もいます。アフタースクールでは柔軟な働き方ができるのではないかなと思います。

あなたの教育への“思い”こそが必要

── 日々子どもたちと関わったり、企業と協働してプログラムをつくったりと、子どもの成長への関わり方はさまざまなのですね。最後に、これから教育業界に関わりたい方に向けて、それぞれメッセージをお願いします。

齋藤:子どもとの関わり方にはいろんな選択肢があります。そのため、自分の理想や思いがあることが、すごく大事なのかなと思います。どのような立場で子どもと関わりたいか、どう働きたいかが、アフタースクールと同じ方向であれば、ぜひ一緒に働いていきたいです。

森澤:子どもたちに何かを伝えるためには、丁寧で建設的な説明が求められます。わかりやすく伝える能力を向上させたい方、相手の目線に立って物事を考えたり学んだりしたい方には向いている仕事だと思います。教育に関わるハードルがもう少し下がって、いろんな人が関わってほしいと思います。

後藤:働いている仲間が本当に素晴らしくて、日々良い雰囲気の中で仕事ができているので、その点は安心してほしいです。アフタースクールはいろんな人の思いが集まってできている団体なので、自分の思いを実現したいという方は、ぜひご一緒できたら嬉しいなと思っています。

── 齋藤さん、森澤さん、後藤さん、ありがとうございました。

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齋藤里穂(さいとう りほ)
放課後NPOアフタースクール公立拠点・副責任者。福島出身、2019年度新卒入社。新卒1年目は、私立小学校アフタースクールに勤務にてSDGsに興味のある子どもたちとマイプロジェクトやアフタースクール独自の仮想通貨を用いてのお祭り等、場づくりの醸成に精力的に従事。2年目以降、子どもの参加人数の多い(日々100人規模の利用者)公立拠点に異動し、子ども対応や大規模拠点での子どもたちの居場所・場づくりに取り組んでいる。今年度より副責任者に昇格。

森澤雄基(もりさわ ゆうき)
放課後NPOアフタースクール私立拠点・副責任者。アクセサリーやジュエリーのメーカー社員として企業に勤めた後、飲食プロデュース会社を起業。知人の紹介で放課後NPOアフタースクールに出会い、2021年にパラレルキャリアとして入社。アパレル・飲食業界での経験を活かし、子どもたちが体験から学ぶことのできるさまざまなプログラムを企画している。子どもたちが「やってみたい」と思ったことをすぐに実現できる環境をつくることを大切に、日々子どもたちと向き合っている。

後藤愛(ごとう あい)
放課後NPOアフタースクール・ソーシャルデザインチームマネージャー。食品メーカーにてCSR部門に長く携わり、ビジネスセクターとして社会課題解決に取り組む。社内で立ち上げた食育プロジェクトの縁で放課後NPOアフタースクールに出会い、2017年に入職。関西拠点に勤務するも、家族の転勤を機に東京へ移住。企業での経験を生かし、ソーシャルデザインチームに参画。企業協働プロジェクト構築に取り組んでいる。

NPOアフタースクールでは、さまざまなポジションで採用を行っています。ぜひ採用ページをご覧ください。また市民先生の募集ページや、NPOアフタースクールのSNSページ(FacebookInstagram)もあわせてご覧ください。



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