子どもだけでなく、親も学ぶ。「KURKKU FIELDS×探究コネクト 秋の特別プログラム」を開催しました!
「ほんものの探究学習を日本中の子どもたちに届ける」ことを目指して、2019年6月から活動を始めた探究コネクト。
各地に探究型の学びの場を広げていきたいというビジョンの一環として、2022年は香川県小豆島でプログラムを開催するなど、地域プレイヤーとコラボした企画を行っています。
今年は、千葉県木更津市でオーガニックファームを運営するKURKKU FIELDSとコラボして、「サステナビリティを親子で体感しよう!」という1dayプログラムを開催しました。
当日参加したのは、5歳〜9歳の子どもたちとその保護者たち19名。地域プログラムでは新しい試みとなる、保護者向けのワークも行いました。当日の様子を、写真とともにお届けします。
循環するさまざまな恵みにふれる、味わう
まずは、クルックフィールズのフィールドを親子で探検。野菜のトンネルを歩きながら、「小さい実がついているの、わかるかな? 見つけたら、採って食べてみて」と投げかける、スタッフの伊藤さん。
このトンネルで育てているのは、マイクロきゅうり。はじめて見る珍しい野菜に、子どもたちからは「小さなスイカみたい!」「あれ?普通のきゅうりよりちょっと酸っぱい!」という声が。
こうした畑の野菜は、クルックフィールズの中で育てている牛や鶏のフンなどを堆肥にして肥料に使いながら、育てられているそうです。
写真にうつる水牛たちは、本州で飼育しているのはここだけとのこと。40頭ほどいる牛たちからは、1日数百kgのフンが出るのだといいます。
動物たちのふんも恵みだと捉え、水・おがくず・酸素と混ぜながら堆肥をつくっています。発酵している堆肥は70度近くになるそうで、堆肥を掘ってみると湯気が。熱によってネガティブな微生物もほとんど殺菌されるそうです。
子どもや保護者たちも実際に堆肥をさわってみて、「あったかい!」「こんなに臭くないんだ?!」と少し驚いた様子でした。
フィールドを歩いた後は、実際に農業を体験します。この日にやったのは、秋の味覚であるさつまいも掘り。
途中で折れないような堀り方を教えてもらいながら、親子でチャレンジ。掘ったさつまいもは持ち帰れるとのことで、子どもたちはもちろんですが、保護者も本気。
「こんなに大きいのが採れた」「かぼちゃみたいだけど、どうやって食べるんだろう」と子ども同士で見せ合う場面も。
収穫作業で疲れたあとは、クルックフィールズで作っているパン・ソーセージ、野菜などが入っている特製ランチボックスを。「ふだんは好き嫌いが多いんですけど、このお弁当は食べれて驚きました」と言ってくださる保護者の方もいました。
保護者と子どもそれぞれが、学びを深める時間
今回のプログラムの特徴は、親子で一緒にフィールドを体験するだけではなく、子どもたちと保護者たちとで分かれてそれぞれの学びを深める時間もあること。
午後、保護者たちは、「探究ナビゲータ体験」を行いました。探究ナビ講座はこれまで1300名が受講していますが、基本的には2日間しっかりと学ぶ(またはオンラインで半年学ぶ)プログラム。今回は、そのエッセンスを1時間半で体験してもらおうという内容です。
探究コネクト共同代表の炭谷俊樹は、ラーンネット・グローバルスクールを25年以上経営してきた経験をもとに、子どもの積極性の3段階のレベルについて解説。
子どもたちがやるべきことを与えられてそれをこなすのではなく、自分で「これやりたい」を見つけるにはどうしたらいいかを話しました。
グループワークを交えて保護者それぞれが話す時間も取りましたが、中には「こんな時はどうしたらいいのか?」「きょうだいで積極性が違うのだが…」など、家庭内での悩みをシェアしてくれる保護者もおり、他の家庭の参考にもなっていました。
この間、子どもたちはクルックフィールズのスタッフたちと一緒にバグホテル(虫の住処)づくりに。バグホテルづくりについて教えてくれたのは、クルックフィールズのサステナブルな仕組みづくりや自然環境の保全に取り組んでいる吉田さんと佐藤さん。
まずは虫の居場所となる木材に、穴をたくさん空けていきます。こうすることで、虫たちが隠れたり住みやすくなるそう。電動ドリルをはじめて触る子も多かったため、まずはやり方を見せてもらい、そばでサポートしながら慎重に進めていきます。
その後はリヤカーを使いながら、穴を開けた木材などの材料運び。でこぼこした道だったため、途中でリヤカーが転倒してしまうこともありましたが、みんなで協力しながら、材料を運んでいきました。
今回つくるバグホテルには、フタオビドロバチという蜂をはじめ、たくさんの生き物が住む予定です。フタオビドロバチは穏やかな性格で人を攻撃することはほぼありませんが、芋虫などを主食にしているため、畑の作物を守ってくれる大切なパートナーです。
子どもたちは吉田さんや佐藤さんの話を聞きながら、竹や木材、小石などを、虫が住みやすいように考えながら配置していきます。
屋根や外側をかざったり、竹を活用した農具のようなものをつくったり、おもいおもいにバグホテルを組み上げていきました。
親子別々のプログラムが終わった後は、取り組みをシェアする時間。「こんなのつくったんだよ!」とバグホテルを保護者へお披露目。保護者と離れての作業に慣れておらずちょっと緊張したという子どももいましたが、最後は誇らしげでした。
保護者の方たちからは、「子ども達が飽きる事なく熱中できていたのが印象的でした」「『どんな虫が来たかな?あそこに住む虫たちもクルックフィールズで働くんだよね』と楽しそうに振り返りをしていました」という声をいただきました。
子どもだけでなく保護者にも学びがあったようで、「自身の学習自体は特に期待せずに参加しましたが、探究ナビゲータ体験を通して、ひょっとしたら子ども以上に気付き、学べたのではと感じます」という方も。
「やはり子どもを否定しないことが大事だと改めて思いました。子どもが熱中してやっていることをついつい『時間だよ』と止めがちだったのですが、何に興味を持っているのか本質を探ること、その後にどう繋がるのか一緒に考えること、また個性を尊重するため(理解するため)にもっとコミュニケーションをとろうと思いました」という感想をくださった保護者の方もいました。
子どもたちがフィールドで学びながら、子どもと離れて親も学んでいくのは探究コネクトとしても初めてのスタイルでしたが、一呼吸置きながら普段の関わり方を見直す時間の大切さを、改めて感じました。
探究コネクトでは、こうして地域フィールドとコラボしたイベントを、また開催していけたらと思います。「こんなイベントを一緒にやれませんか?」という問い合わせも、歓迎です!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?