"変態たち"の観察日記
「学校の中で最も近寄りたくない場所は?」
そんな風に聞かれたとしたら、大抵の人は
「職員室」か「生徒指導室」と
答えるのではないだろうか?
例に違わず、私も学生時代最も行くのが
嫌だったのが、職員室だった。
職員室の扉を開ける瞬間って、
何であんなにも緊張するんだろうね。
自分から用事があるときは良いんだけれど、
「おい、ちょっとお前、後で職員室来いよ」
なんて、訳もわからず先生に
呼び出される時ほど恐ろしいことなんてない。
教室から職員室に向かうまでの
短い時間の間、脳内はパニック状態。
パッパラパーーー📯
「え、私なんかしたっけ?
もしかして、彫刻刀で机をちょっと
削ったんがバレた……?
いや、先週の部活の練習で調子乗ってたら
花壇に躓いて突っ込んだな。
その時花を踏み潰しちゃったこと……か?
でも一応あれはちゃんと処理したはず」
なんて、最近自分がやらかした
「ちょっとしたイタズラと失敗」を
思い出しながら、背中を丸めて
職員室に向かっていたことを思い出す。
***
あれから10年以上の月日が経った今。
私は、昔大嫌いだった職員室で
仕事をしている。
そして、あの時とは違った立場で学校と
関わるようになった現在、校内で最も
面白い場所は、職員室なのではないか、と
思うようになった。
なぜかって?
先生ほど面白い観察対象はないんじゃないかってくらい、面白くて不思議で変態なの。
私の大好物!!!
変態好きにはたまんねぇの。
職員室、まじで、最高。天国。遊園地。
何たってね、やっぱり教科ごとに特徴が
あるわけですよ。
所謂「○○科の先生あるある」が
毎日、積み重なっていくわけです。
職員室は、ネタの宝庫なんです、うふふ……❤
それでは早速、
教科別に見てまいりましょう!
(因みに分掌別の特徴もあったり…笑)
※あくまで私の勤務先の先生方の特徴なので
全ての先生には当てはまりません。
◎社会科
言葉のチョイスが絶妙に社会科っぽい
その日は、お子さまのお迎えがあるからと
言って私より早く退勤をされた先生が、
しばらく経ってバタバタと職員室に戻ってきた。
「あれ? 先生、どうかされました?」
そう尋ねると、
「いやぁ、うっかりキーケースを忘れちゃてね」
と言いながら、デスクの上にある
木箱の側面に引っかかったキーケースを
取り上げた。
結構目につきやすいところに
置いてあるのに……
とちょっと不思議に思っているのが
バレたのか、先生は言い訳するように
切り出した。
「いやね、僕しょっちゅうキーを忘れるから
今年度から、絶対目に付きやすいこの場所に
キーは引っ掛けておくっていう制度をね、
自分に設けたの。
でもその制度のことを忘れちゃうんだよね」
………。
ごめん、先生。
一生懸命、理由を話してくれたんだけど、
ひと単語だけしか頭に残らなかった……。
そう、「制度」 ね。
ここで制度という言葉のチョイスをする
センスがさすが社会科って、
ちょっと感動した。
普通、「ルール」とか「決まり」と
いうような言葉を使いそうなところを
「制度」ときましたかー。
いやぁ、これは勝てん!!笑
◎物理・生物科
基本的に声は小さく、ボソボソ話すのに実は何かの分野にマニアックレベルで精通しており、そのギャップが半端ない
とても声が小さいので、
その先生が何か発言する時は、
話をやめてみんな耳をそばだてる。
しかし、ギターを前にすると一転!
エレキギターをかき鳴らす、
ハードロッカー🎸
イケメン……!! ギャップ萌!!
また、別の先生においてはこよなく両生類を
愛していて、絶滅危惧種のどーたら、
こーたらとウキウキしながら語っている。
(一切名前を覚えられないけれど……)
その時のキラキラ度合いが半端ない。
かわいい。
机の上は、両生類(とくに蛙)のグッズで
溢れており、どうやら毎年誰かしらが
先生のために修学旅行のお土産で
買ってくるらしい。
年々増えていく蛙たち……🐸
可愛いのやら、ちょっと気持ち悪いのやら……。
◎国語科
使用する言葉のチョイスを指摘しがち。
横文字(カタカナ語)嫌いがち。
漢字の変換ミス指摘しがち。
これは、完全に私の性質が国語の先生方の
本質的な部分を刺激しているのだと思うが、
私は元々ベンチャー系の職場で
働いていたからか、ヒートアップすると、
横文字言葉を頻発してしまう。
「人生のロールモデル」
とか
「効率化をアップするためのダウンサイジング」
とか
「生徒たちにフックする話題提供」
という具合に……。
若手の先生ならまだしも、時々ベテラン格の
先生はキョトンとしている……。
あぁ、やってしまった……。
と思ったときには、横からすごく冷静な
ご指摘をいただきます(苦笑)
「横文字ですよ」
はい、すみません……!!!
また次回授業のことなどでどうしても
連絡が必要なとき、中々お忙しい先生方を
捕まえることができないので、
メッセージでのやり取りが
多くなってしまうのだが、
漢字の変換ミスなどがあった場合、
ご丁寧にやり取りの最後にきちんと
正しい漢字を書いて送ってくださる。
お手数おかけしました……。
ごめんなさい🙏
生徒たちに話すときの言葉は、
慎重に選ばなければいけないな、と
いつも見直すきっかけを与えてくださる
国語の先生方にはとても感謝している。
◎英語科
ALTとの会話のレベルがすごい
(ちょっと違った意味で)
デスクで仕事をしているとたまたま
流暢な英語が聞こえてきたので何気なく
聞いていると、どうやらALTの先生が、
英作文の課題についての評価方法を
担当の英語教員に相談しているようだった。
もちろん、ネイティブの方なので
基本的に英語で
(時々〇〇先生とそこだけ日本語)
話しており、まぁ普通に考えてその事は
自然なわけだ。ネイティブが母国語で
話している。普通だね。
私が気になっていたのは、相談を持ちかけ
られた英語の先生がどんな風に返事を
するのかってこと。結構、ややこしい内容の
話をさ、母国語じゃない言語で返さなきゃ
いけないやんか。これ、先生の英語力が
試される場面……!
果たしてどう、答える!?
ALT "Blah blah blah......"
先生「あ、それは〇〇〇〇だからこうして?」
ALT "Oh, OK! Thanks, 〇〇sensei !"
うん……!?!?
がっつり日本語で返しはったけど!?
しかも、ALTはめっちゃ自然に
礼を言ってはるけど……!? な、なぜ?
こういう不思議な場面によく遭遇する。
違う言語同士で会話が成立している。
お、恐るべし……。
◎数学科
デスクの上、スッキリ整頓されがち。
デスクトップのゆるキャラとのギャップ
多くの先生は、机の上やその周辺が
ごちゃごちゃしがち。
とにかく書類の量が多いし、
教材や参考書、ワークシートに過去から
積み上げてきた年季の入ったファイル
などが積み重なってタワーを作っている。
時々、そのタワーが崩れて
隣の先生の机にまでなだれ込むなんてことは
日常茶飯事。
そんな中、所々異様にスッキリしている
場所が存在する。その場所たちに注目して
みると、だいたい数学の先生の席なのだ。
しかも、ファイルや書籍類の並べ方まで
美しい。意識しているのか無意識なのかは
知らないが、高さが揃っていること、
色味も何となく揃うように
並べられてるんだよな。
そんな風にちょっと生真面目で堅苦しさを
感じさせる一方で、PCのデスクトップは
意外にもゆるキャラだったり、ゆるふわの
動物だったりするのだ。
このギャップがたまりません……!!
◎体育科
椅子の代わりに〇〇
仕事が一段落して、ちょっと一服しようと
席を立った時に目に飛び込んで来た光景。
デスクは横並びであるのだが、ある列の
一箇所だけ座高の位置が異様に低い人の姿が。
私のデスクのある位置からその先生の
デスクがある列までかなり距離があり、
その間にも諸々と障害物があるため、
その場所からはかろうじて鎖骨の辺りまでは
見えるがその下がどうなっているのかまでは
分からない。
明らかに変なのだ。
同じ列の他の先生方の頭の位置はほぼほぼ
同じ高さにあるのにその先生のところだけ
落とし穴があるかのように
ぼっこり下がっている。
あまりにも気になったので、そちら側に用は
なかったが、まわり道をしてでも謎を
解明したい思いが勝った。
ソロソロと近づいていく。
いよいよ、先生のデスクのある列近くまで
やってきた。
そっと後ろに回り込んで覗いてみる。
な、なんと……! そういうこと!?
先生が腰かけていた椅子の正体。
バランスボールだった……!
デスクワークでも体幹を鍛えようとする
その心意気、流石! 体育科の鑑っす!
と、まぁ他にも色々とあるのだけれど
きりがないので本日はこのへんで。
ね、職員室ってとっても面白いでしょう。
そうやって、「先生」という不思議な
生態を観察しながらニヤニヤしている私が
多分、1番、変態だ。
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