第2回 短歌読書会――小島なお『乱反射』
コト選出
頭韻 "o"
◻︎選んだ理由
単純に気に入ったから。
◻︎感想
"も"が多い←頭韻?(:押韻法の一つ。語の頭に韻を踏むこと)
『十代にももどることはもうできないがもどらなくていい濃(こ)い夏の影』…母音の"o"が続く。音が良い夏っぽく感じられる(夏という文字が入れられているのを抜きにしても):なぜ夏っぽいか→影の濃さ、情緒的
20代の話
"濃い"…「思い出」も "強い"思い出 でなく ”濃い”思い出 と表現する(↔︎"淡い")
5・6・7・8・7(=33)←31音に当てはまらないのは未練があるから?
◻︎英訳
コトが今回も英文にしてみてくれました。
I can’t go back to teenagers now but I don’t want to, a deep shadow of summer.
この短歌は直訳自体は容易いものの、韻を踏んでいる音としての良さが重要だよねと話してました。音の気持ち良さを残しつつ、意味も残さなければということで出来たのが上記です。
韻のことについて伝えた上で、アメリカ人の友人(第一回の記事にも登場したルーカス)に聞くと、とても良いと思うと言っていました。その友人にも英訳を頼んでみましたが、韻を入れるのは難しいと苦労していました。
ひな選出
静けさの中にあざやかな色と光。
◻︎選んだ理由
レモンティーという語が短歌において新鮮で目に留まったから。
◻︎感想
夜っぽい、静か
外から見ているのがわかる
レモンティー←夏?(:夏に飲みたくなる)
→歌集の前後の短歌が冬なので冬の可能性、つまりホットの缶のレモンティー情景の切り取りが写真的
歌としてうるさすぎない…文字数(5・7・5・7・7)と文字面(カタカナ(ex.レモンティー)とひらがな(ex.あざやかに)と漢字)のバランス
音と視界の情報のバランス
◻︎英訳
こちらもコトの英訳です。
A lemon tea can in an out of service train passes before me vividly.
こちらは”ひらがなとカタカナ”などの違いは出せないものの、外来語(ex.レモンティー缶)が使われていることから、日本人が読むと”ひらがなとカタカナ”のような記号的な違いがあるように感じられて、元の短歌の良さが残ってるように思えます。(ひなの個人の見解)
文自体もすっきりしているのと、アルファベットという記号で見ると、結構いろんなアルファベットがこの短い文の中の各語の頭に散りばめられていて(ex.lemon,passes,vividly)ポップさも出ているなと感じます。
後書き
レモンティーの短歌から写真の切り取りを想起させられたことから、これから短歌を私たちが詠んでいく上で、写真も交えた試みをしようということになりました。それはまた、追々の話…
今回のヘッダーでは、この第2回を行った日の写真にしようと思っていましたが、レモンティーの短歌のことを考えながら記事に起こしているうちに、前に撮ったその目線に近い写真に。(ひな)