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小心者の食欲

過去にパリに来た時は、実はフランスのビストロ的なお店で食べたことは、ありませんでした。

「そんなに大したことないから、お勧めしないよ」

と、知り合いのパリ在住の日本の方に言われて、どちらかというと中華料理やアフリカ料理を食べに連れて行ってもらった記憶がありました(確かにどれも美味しかった)。

当時若かった自分はあまりこだわりもなく、まあ美味しいもの教えてもらえたからこれでいいや、という感じでした。

しかし今回、渡仏するにあたり様々なYOUTUBEを見漁った結果、「ビストロで料理を食べてみたいかも」となりました。

歩き疲れるたびに、そんなようなお店を目にし、休憩がてら入ろうかなと思いますが…

入り口で、足が止まります。

……入店を躊躇い、読めないメニューの張り出しを見たまま硬直し、中から出てきたシュッとした紳士に驚いてそそくさと店の前から去る…という事を何回か繰り返していました。

いい歳して、日本語しか話せない小心者の「ちゃんと頼めるだろうか」が発動してしまいます。

…しかし、そのうちそんな自分が嫌になります。

意を決し、旅前から行くぞ行くぞとと決めていたお店の前に空腹の状態でやって参りました。

思いの外、店内は空いています。
入りやすそう。

このお店には、看板猫ちゃんがいると聞いています。また料理も美味しいとのことで、是非行ってみたいと思っていました。

入店前に、メニューの張り出しをgoogleの画像翻訳で確認…あ、食べたい牛肉の煮込みとコンソメスープある!

狙いを定めた後は、店内へ。
への字口になりながら、ドアを開けると、
店内には、店員さんが見当たりません。。

…このまま着席すると、気づいてもらえないかもしれない。

そう思い、厨房らしきところへ行き、「ボンソワ〜」と声をかけてみると、

あ、座って座って!

的なジェスチャーをされました。
よし、これで大丈夫!

座ってしばらくすると、
「もう決まってるー?」
的な感じで注文を聞いてきましたが、
指差ししないと頼めないため、一旦メニューをもらいました。

メニューが来て、頼みたかった2品プラスレモネードソーダを注文。

そして来たのが、

小さく見えますが、一品=一人前くらいでボリュームあります
牛肉の田舎の母さん煮的な名前のやつ
コンソメグラタンスープ的なやつ

牛肉は柔らかく、ジャガイモとニンジンがゴロゴロと一緒に入ってるのですが、それもとっても味が染みてて美味しかったです!

スープの方は、チーズがふんだんに乗っかっていて、パンが浸されて入っています。この浸された感じがまた良くて、食感とスープの味をハフハフ言いながらしっかり堪能しました。

お会計もカードでスムーズで、一度体験してしまえば「こんなに簡単なのか」と、無駄に複雑に考えてしまう自分に改めて呆れたりもしました。

残念ながら看板猫には会えませんでしたが、前にフランス料理のお店をお勧めしなかったあの人(もう疎遠になってしまいましたが)に、「意外と美味しかったですよ」と感想を伝えたくなりました。

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