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コラム「忘れられない味」

美味しいものが好きなので、食べることは好きだ。

皆さんにとっての忘れられない味とはどんなものだろう?

私の忘れられない味は、断然

山羊のチーズ

だ!

私の世代(40代)と言えば、幼い頃世界名作劇場で「アルプスの少女ハイジ」が放送されていた時代だと思う。

リアルタイムもそうだし、夕方になると繰り返しの再放送。

そのため、何度
「クララが立った!」
「クララのばか!」
ハイジがそう言ったシーンを目にしたことか
数えられない。

もっと印象に残っているのは、ハイジのおじいさんが作ってくれる「山羊のチーズ」や「硬いパン」などの数々の山岳料理だと思う。

中でも、あの丸くて大きなチーズは憧れだった。私の暮らす田舎にはそんなものは見たこともないし、どんなものだろうと目をキラキラさせていたことを思い出す。

そんなある日、帰宅したら山羊がいた。メスの白い山羊。母が買って連れて帰ってきた。
「山羊のチーズが食べてみたいの」
母は突拍子もない事が割と好きだからそのためか、と思ったけれど、同時に
「はっ?」
と思う。

しかし、我が家の家族は動物好きなので、嫌だという人はおらず、自然と餌やり当番が決まり、名前も決まった。

私と妹が名付けた名前は「ユキちゃん」だった。きっと「アルプスの少女ハイジ」をご存知の人は察しが付くと思うけれど、物語りに登場する小山羊、「ユキちゃん」に影響されての名前だった。

ユキちゃんの世話はすごく大変だった。あんなに乳搾りを張り切っていた母は、早くも脱落し、その後は祖母と私と妹で世話をした。と言っても、朝の乳搾りや餌やりを祖母と一緒にするくらいで、日中何度も必要な搾乳の時間は祖母がお世話してくれた。

ユキちゃんはひょうきんで、破天荒な山羊だった。突然に逃げて逃げて、転んでみたり、柵を何度も壊したり、甘えてくるくせに突然、角で頭突きをしたり、とにかく面白い子だった。

山羊のミルクだが、ミルクは牛乳とは比較にならないくらい、匂いがきつい。独特と言っていい。そのため我が家では、ほろほろとそぼろ状のカッテージチーズにする事が多かった。ヨーグルトの時もあったけど、本当に独特な匂いだ。

調理などは、母が担当し、朝ご飯には山羊のミルクで作ったカッテージチーズに手作りブルーベリーソースをかけていた。

今思うとすごく贅沢。自給自足の極みだと思うけど、貴重な経験だなあと思う。手作り山羊のチーズに手作りブルーベリーソース。

だが当時は
「えーまたユキちゃんのチーズー??!!」
とすごく姉妹でぶーぶー文句を言っていた。

ユキちゃんはその後二頭の男の子の山羊を産んで、それから世話が大変という理由で、知人に譲ったのだと、帰ったら突然居なくなっていた。

両親が決めたらしい、すごく寂しかったことを覚えている。両親は、私たち姉妹に言ったら反対されると思い何も言わなかったらしい、大人の事情はあるのだろうけれどすごく悔しくて悲しかった。

だから時々山羊のユキちゃんの顔を思い出して、見たくなって、会社の近くの専門学校の小屋にいる、アルパカが見たくなるのはそういう訳だと思う、笑。

ユキちゃんを思い出す、アルパカのふらん


大人になって、料理店に食事に行って、チーズを注文する時、山羊のチーズがあると注文してしまう。これは大人の醍醐味だけど、山羊のチーズに白ワイン。これが最高に美味い。

山羊のチーズはシェーブルチーズと呼ばれ、栄養価が高く、身体に良い脂肪酸が多く含まれているらしい。免疫機能にも効果があるとのこと。

私の思い出の味。ぜひ見かけた時は山羊のチーズを試してみてほしい。クセがあるけどとても病みつきになる味だ。


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