カウンセラーは、人の話を聴いていてつらくなることはありませんか?
私の団体は「傾聴」を用いて、「人の話を聴くこと」を仕事としています。時には、その人のつらい苦しいお話を、長い時間にわたって、受け止めるだけ受け止めることがあります。
一般の方でも、友人や家族の、苦しい思いを受け止め続けていて、自分が苦しくなってしまうことがあると思います。
仕事として、一日に何件も、つらい話を聴いていて、カウンセラーは大丈夫なのか、というのは、当然の疑問だと思います。
スーパービジョンの大切さ
カウンセラーも人間なので、つらい話や苦しい話、時には自分自身に対して、辛辣なことを言われることもあり、そんな時は、苦しくなってしまうことがあります。また、「伴走型支援者養成講座」の連載でも後述することになるのですが、相談者さんの話を聴くときには、自分の価値観を脇に置いて、相手の価値観を否定することなく聴くことが求められます。自分の価値観に照らし合わせれば、到底許しがたいような、相手の価値観を否定することなく聴くことは、想像以上にしんどいことです。
そこで、カウンセラーは意識をして、「スーパービジョン」の時間を持つようにします。スーパービジョンとは「自分が信頼できるカウンセラーなどに、自分の苦しい思いを聴いてもらうこと」とされています。
相談者さんが私たちカウンセラーを相手に行っているガス抜きのようなものを、私たちカウンセラー自身も意識をして、行うように努めるのです。
カウンセラーは、誰の、どんな話を聴いても、軸がぶれることなく、相談者さんの支援のための行動を考える必要があります。だから、
カウンセラー自身の精神状態が安定している必要があり、自身の精神状態に敏感で、まずいと思う前に、意識的にガス抜きを行うのです。
聴きながら「聴かない」
もう一つ、カウンセラーに求められる資質、と言っても良いだろうと思うことが、「聴きながら聴かない」ことです。「聴かない」と言うと語弊があるけども、聴いている時にはもちろん寄り添って、一緒にそのつらさや苦しさを想像して、わかろうと努める。けれども、決められて時間が終わって別れたら、頭からいったん消してしまう。切り替えの早さというか、引きずらない。カウンセラーにとって「傾聴」をはじめとする「聴く技術」はもちろん大事なんだけど、業として、長く支援を行うためにも、「聴かない」「忘れる」技術もとても大事で。
精神的に安定していないと、次の人や、自分の生活に支障が出る。それでは、次の聴く準備ができない。新しい人の話を聴くときには、フレッシュな頭で聴けるように、自分のメンテナンスと、リフレッシュがとても大事という話でした。