谷郁雄の詩のノート52
先日、都知事選の投票に出かけたとき、投票場になっていた小学校のフェンスに見つけた「えがお」の3文字。こういうの、学校にはよくありますね。このとなりには「あいさつ」ということばもありました。学校って、昔からちっとも変わりません。大人が変わらないのです。「好きに生きなさい」とか「恋をしよう」とかあると、自然に「えがお」になれるのに。小池百合子さんの時代がしばらく続きそうです。ずっと昔、アナウンサー時代の小池さんにあげたぼくの第一詩集、まだ持っているだろうか?
「日傘」
コレ
買って
あげようか?
何を?
日傘
うん
あさって
届くよ
ありがと
太陽さん
あさってから
日傘を差して歩く
ぼくが見れます
「虹」
ピンポン
宅配便の
お兄さん
日傘かな
と思ったら
重い本が一冊
日傘が
途中で
本に
化けたのか?
石川淳全集
妻が
Amazonで
注文したのだろう
読み終える頃には
クソ暑い夏も
終わるほどの
ページ数
「虹」という
お話が
読みたかったの
日傘は
虹が
空に架かったあとに
届くらしい
「綱渡り」
小刻みに
揺れる
ロープの上から
見る景色
落ちないように
両手を広げ
バランス取りながら
一歩ずつ
前へ
あくびも
くしゃみも
命がけ
怖くて
楽しい
綱渡りの日々
どこかの
誰かが
落っこちて
悲鳴を上げても
聞こえなかった
ふりをして
花畑の中の
小径を
歩いている
かのように
大空の下
風に吹かれて
旅を続けよう
「バイバイ」
そら
くも
はな
とり
いぬ
ねこ
ごはん
おかあさん
はる
なつ
あき
ふゆ
せんせい
ともだち
きのう
きょう
あした
あさ
ひる
よる
ひかり
かげ
たくさん
ことばを
おぼえたのに
おなかがへると
かなしくなる
こいをすると
せつなくなる
ことばはぜんぶ
かみさまに
かえす
しあわせ
ふしあわせ
ぜんぶ
バイバイだ
©Ikuo Tani 2024
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