谷郁雄の詩のノート53
先日、駅の券売機でSuicaのチャージをしたとき、おつりの中に新札の千円札が2枚混じっていました。以前のお札よりデザインがすっきりしている印象です。新たなお札の顔は北里柴三郎博士。なかなか立派な顔立ちです。でもなあ~もっと面白い人がいるだろう、たとえば漫画家の楳図かずおさんとか。そんな思いから生まれたのが「新札」という詩。もう一つの詩は、最近くよくよしがちな自分を叱咤激励するために書いた詩。では、皆様、「やったー」がたくさんある楽しい日々を! インスタも見てね!
「新札」
駅の
券売機が
吐き出してきた
おつりの中に
見慣れぬお札が二枚
これが噂の新札か
お札の中にいるのは
北里柴三郎博士
ぼくは
ふと
思う
お札の顔に
選ばれるのは
立派な人ばかり
お札の中で
笑っているのが
楳図かずおさんなら
お金を使うのも
おつりをもらうのも
苦しい生活も
少しは
楽しくなるだろうに
ぼんやり
新札を
眺めていたら
乗るはずの
中野坂上行きが
するすると
行ってしまった
「やったー」
道端に
落ちている
十円玉を
見つけて
やったー
と叫ぶ
先生が
風邪で
お休みなので
自習です
やったー
ペロペロ
なめていた
アイスバーの
木の棒に
「あたり」の文字
やったー
しとしと
降っていた
雨が上がり
空から光が
射してくる
やったー
こっぴどく
やられて
へこむ日も
あったけど
すべてを
やったーで
乗り越えてきた
その
不屈の精神を
思い出せ
©Ikuo Tani 2024
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