高尾山で滝修行を体験してきました
高尾山といえば、気軽に登れる山として人気ですが、実は本格的な修行の場としても知られています。
今回、そんな高尾山で滝修行を体験してきました。想像をはるかに超える有意義な体験でしたので、その様子をお伝えします。
高尾山は修験道の修行場でもある
都心からアクセス抜群の高尾山。豊かな自然に囲まれ、初心者でも気軽にハイキングを楽しめるスポットとして知られています。
しかし、高尾山にはもう一つの顔があることをご存知でしょうか?
それは、古くから修験道の修行場として利用されてきた歴史があることです。
滝修行を思いたったきっかけ
私が滝修行をしようと思ったきっかけは、滝修行体験者のブログ記事を偶然見かけたことです。
当初は「滝に打たれたからといって何が得られるの?」と疑問に思いました。
しかし時間の経過とともに
「何か新しいことに挑戦し自分自身と向き合いたい」
そんな気持ちが湧き上がってきました。
ふと気がつくと
「滝修行をやるしかない!」
想いはそう変わっていたのです。
滝修行の場所は高尾山の琵琶滝
リサーチした結果、比較的手軽に行ける距離にある高尾山で滝修行を体験できることが分かりました。
高尾山は東京都にある山で、豊かな自然と歴史が融合した、まさに都会のオアシス。都心からアクセス抜群のハイキングスポットです。
こどもの頃から数えきれないくらい登ったことがある馴染みの山でもあり、早速申し込むことにしました。
ちなみに高尾山薬王院(真言宗智山派)では「滝修行」ではなく「水行(すいぎょう)」と呼びますが、この記事では「滝修行」と表記します。
高尾山薬王院では滝修行できる滝が琵琶滝(びわたき)と蛇滝(じゃたき)の二箇所あります。
今回は琵琶滝の修行を体験することに決めました。
意外な人気 予約が取れない
実際に滝修行を体験しようと予約を取ろうとしたところ、想像以上の人気で簡単に申し込めるわけではない実態を思い知ることに。
受付開始日に電話をかけても、終日通話中でまったくつながりません。
翌日になってようやく電話がつながったと思ったらすでに満員と言われてしまいます。
※インターネットでの予約はできません。
その後、何度か試みましたが、“電話がつながったときにはすでに満員”。そんな満員御礼の洗礼を浴びること4回。
それでもあきらめず申し込み続けたところ、挑戦5回目にしてついに予約することができたのです。
「予約が取れないくらいであきらめるやつは来るな!」
高尾山薬王院の御本尊である飯綱大権現様から、そう言われているような気がしました。
厳しい滝修行は、この狭き門を突破するところから、すでに始まっているのです。
いざ!滝修行へ!
待ちに待った滝修行当日。天気はあいにくの雨で肌寒く
「こんな日に滝に打たれて無事に帰ってこられるのだろうか」
と不安が頭をよぎります。
しかしあれだけ苦労して取った予約を無駄にするわけにはいきません。
気持ちを奮い立たせ出発。
現地に向かう列車の中では、緊張しながらも、人生初の滝修行への期待で胸がいっぱいでした。
しかし、滝修行の道場(水行道場)に到着後は緊張の連続。僧侶の方から一連の支度や作法を説明され身が引き締まる思いでした。
真言の唱え方や手の組み方など細かく指導されますが、滝修行が始まるまで覚えていられるか内心不安でいっぱいです。
そしてついに滝修行のときがきました。滝に向かう道中、自然の音に包まれ、心が洗われるような感覚を味わいました。
一連の儀式を行っている途中、雨が本降りになってきました。
滝に打たれる前から全身ずぶ濡れですが、本物の修験者になったようで、修行の気分は最高潮に高まります。
いよいよ滝の前に立った時の厳粛な気持ちは言葉では言い表せません。
想像を絶する過酷さ
いざ滝の下に立つと想像していたよりも水量が多く、水勢と滝の音は迫力満点。
指導役の僧侶に合図され、意を決して滝下の岩に座ります。
ものすごい勢いで滝が頭の上から打ちつけます。
頭から冷水を浴び、想像を絶するほどの冷たさが体に染み渡ります。
指導された通り手を前で組み御真言を唱えますが、水の冷たさと耐え難い寒さで体はガタガタ震え、呂律が回らなくなってきます。
実際の時間はせいぜい1分か2分程度かと思いますが、それはもう、気が遠くなるほど長い時間に感じました。
それでも真言を唱えながら心の中で自らに渇を入れ、心を落ち着かせ、最後までやり遂げようと心に誓いました。
滝修行を終えて
滝行を終えた後、寒さで全身が震え、しばらく動けませんでした。
修行衣から自分の服に着替え骨身にしみたのは、修行前に聞いた僧侶の言葉です。
「修行が終わり着替えたとき、服ってなんて暖かくありがたいんだろう、と思いますよ」。
しかし、同時に心は晴れやかで、当初から抱いていた「滝に打たれたからといって何が得られるのか」という疑念が消え去ったような気がしました。
今回の経験は、私にとって大きな転機となり、自分自身を見つめ直す良い機会となりました。
この記事の、さらに詳しい内容は、2024年12月発売予定の電子書籍エッセイ集でお読みください。
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