つとめてを香る
朝の匂いが好きだ。
鼻腔にツンと香るような匂いは私の思考を整頓してくれるし、あらゆる悩みを消し去ってくれる。夏が明けて秋口になってきた最近では、朝に冬の香りも漂っている。冬の朝の匂いというと私の好みに共感してくれる人も多いのではなかろうか。
枕草子の「冬はつとめて」という言葉は素晴らしく共感を誘う。枕草子のように朝火を起こしたいを思わなくもない。1000年も前の人々が今の私達と同じような感性を持っていたことには非常に驚嘆するものがある。
実のところ私は朝が苦手だ。そもそもが夜型人間であるし、朝と夜どちらが好きかと聞かれれば即答で夜と答える。だが、朝の匂いを楽しみに起きるのも悪くないと思うのだ。
苦手なものの中にも良いものは存在する。苦手な人であっても良い点は必ず見つけられるし、苦手な芸術分野にも学ぶものはある。こんなふうに日々色んなものの好きを見つけることで、私たちは人生を豊かにできるのではないか。