描かれたのは私たちが知らない「教育のかたち」
2019年03月29日・ねとらぼさんの記事のご紹介です。
描かれたのは私たちが知らない「教育のかたち」――『マジスター~見崎先生の病院訪問授業~』
こちらは去年3月に発売された前作『マジスター~見崎先生の病院訪問授業~』について書いて頂いたものです。
当時「学校へ行けない僕と9人の先生」を描き終えた僕は次の企画を探しており、たまたま近所の図書館で見つけたのが”院内学級”に関する本でした。
”院内学級”って皆さんご存知ですか?
長期入院などで学校へ通えない児童のために院内に併設された学校の事です。
はじめはその院内学級をテーマに漫画を描いてみようと準備していたのですが、調べていくうちに”病院訪問教育”という制度を知りました。
これは院内学級が設置されていない病院などに特別支援学校から教師が病院へ出向きマンツーマンの授業をするという制度です。
県や学校によって細いルールは違うのですが僕が取材したところでは週に3日2時間の授業をするために先生たちが各病院を飛び回っていました。
多くは重病の子どもたちです。
そんな厳しい状況の中でも子どもたちは、その授業の時間を楽しみに過ごしていました。
”学び”とは人が生きる力に深く根付いている事を改めて教えられました。
僕は幼い頃に自分の気持ちの関係で学校へ行けませんでしたが、こうして実際に身体的な病気の問題で”行きたくても行けない”子たちが、存在している事を知って、それまでの自分の考えの狭さも教えられました。
どちらが甘いとか、立派とか、大変とかじゃなくて、世の中には千差万別の状況の中で自分の状況に向き合って全力に生きている人々。
毎日を大切に生きなきゃと、今でも思い出しては力をもらっています。
『マジスター~見崎先生の病院訪問授業~』は2018年の春〜2019年初頭まで小学館のビックコミックスペリオールに不定期連載させて頂き、一冊の単行本にまとめられています。
現在、なかなか紙版では入手しにくいかも知れませんが、各電子書籍サイトでは変わらず発売中です。
沢山の方々に読んで知ってもらって一緒に考えて頂ければ嬉しいです。
この年末年始のお供に是非。
2話までの試し読みがこちらの小学館の公式サイトからご覧になれます。
そして、この物語を制作するにあたって、実際に愛知県で教師として病院訪問教育に長年携わり、尽力されてきた山本純士先生に大きなお力添えをして頂きました。
こちらは原作本にもあたる山本純士先生の著書「15メートルの通学路」です。
実際の教育現場で経験されてきたドラマが綴られており、この本に感銘を受けて「マジスター」は生まれました。
是非とも併せて読んで頂ければ嬉しいです。