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組織変革の不都合な真実。異質な人材の死こそが組織を変革する土壌をつくる
みなさん、「緑肥」というものをご存じでしょうか?
私は、小学生の時の生活の授業で学習してから、なんとなく自分の中に残っていました。
緑肥(りょくひ)とは、栽培している植物を、収穫せずそのまま田畑にすきこみ、つまり、植物と土を一緒にして耕し、後から栽培する作物の肥料にすること、またはそのための植物のことである。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
この緑肥ですが、組織においても同じことが起きているのです。
よく、会社の風土を変えたい、これまでに違った人材を採用したいと、会社を変革するために社内にいないような人材を採用してくることがあると思います。
ただ、そのような人材が実際のその会社で活躍できるとは限りません。何の助けもなく、他の自分たちとは違う99%の人材と協働していかなければならないのです。
パフォーマンスを期待されながら、実際にパフォーマンスを上げるのは非常に困難な状況と言えます。
そのような環境下では、これまでの異質な人材を定着させることは困難です。魚の飼育と一緒で、水合わせなくして異なる環境にさらすと、すぐに死にます。人材でも同じことが言えます。
ただ、これを続けていると、徐々に新しい人材を受け入れる土壌ができていきます。彼ら彼女らの死の上に、初めて異質な人材を受け入れる土壌ができるのです。これが、私が言いたい、組織における「緑肥」であると。
実際、知っている日系の総合系コンサルティングファームでは、戦略コンサル部門を立ち上げる際に、外資から戦略コンサルタントを中途採用し、部を立ち上げました。しかし、組織が安定するまでに人材が4巡したそうです。
続けていくうちに徐々に土壌ができ、異質な人材を受け入れる土壌ができてきて、初めて機能する組織になるのです。
そう考えると、組織にとって、この「緑肥」は必要なものでしょう。しかし、個人のキャリアからすると緑肥にされてたまるか!という話にもなりかねません。
会社として組織変革を期待したい最初の人材は往々にして死ぬ。そして、その死をもって新しい土壌が築かれるという不都合な真実に我々は向き合わねばならないと思っています。
会社を変革する時に、これまで異質な人材を“新卒で採用しよう”なんて無責任なことをいう採用コンサルを信じてはなりません。彼らは、この「これまでと異質である人材が早晩、肥料になる」という現実を知らないからです。
組織変革を異質な人材の採用によって成し遂げるという方針を掲げたなら、我々は、採用される彼ら彼女らの勇敢な死を、採用した時点から受け入れなければなりません。
彼ら彼女らの死を通して、初めて土地が耕され、土壌ができ、後から入る異質な人材が活躍できるようになるのです。
その死を少なくするためには、組織開発のスキルを各所で高める以外にありません。その努力なくして、戦略人事を掲げる人事コンサルは戦略人事の実務を1mmも理解していないのでしょう。
企業の人事担当・採用担当は、この不都合な真実から目を背けることなく、組織変革のエージェントであることを心から願っております。
限界コンサルタント
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この厳しい現実は、大好きな漫画「サプリ」のシーンにもあります。
これは水合わせの文脈ですが、目的の魚である「ハリセンボン」を飼えるようになるためには、他の魚の死が必要であるという話です。
リアルだなと思います。
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