「入門」という本は、読む方には「入門」なのだが、書き手にとっては、難易度高い。
「●●入門」「入門○○」という書籍でもセミナーでも研修でもeラーニングでもなんでもいいのだけれど、コンテンツのタイトルに付く「入門」。
読む側、参加する側、受け手側にとっては、ほんの入り口で、「まずは全体像をつかもう」とか「どれどれ、自分に合っているかな?」とか「軽く触れてみて、興味持てたら、もっと詳しい本や研修などに挑もう」などと思うものだけれど、提供する側にとっては、難易度高い。
勤務先トレノケートでは、講師なりたての時、「●●入門」を担当することは、ほぼない。
新人講師にとってそれはとてもハードルが高いものだからだ。
若い頃、「OS入門」というようなタイトルのコースがあった。(正確なタイトルではない)これは、「入門」コースなので、多くの「OSの全体像を知りたい」方が受講される。エンジニアさんもいらっしゃれば、これから技術に触れるという初心者の方もいらっしゃる。
だから、研修の内容は、広く浅くとなる。
「浅い」んだから、経験の浅い講師でもできるだろうと思ったら、大間違いである。
「紹介する内容」「講義する内容」が「浅い」だけであって、講師の知識が「浅い」わけではない。浅くてはたぶんできない。
「入門」系コースというのは、「広く深く」知っている講師だからこそ担当できるものなのだ。
同じように、書籍でも著者が「広く浅く」しか知らないことを入門書として書くのはハードルが高いはずだ。
「いやあぁ、本当に浅い内容だわぁ」
と読者が思うだけになりそうだ。
「深い」がある人が書く「浅い」だからこそ、意味がある。
私は、そう思っている。
以前、編集者に言われてとても嬉しかった言葉がある。
「こんな、エッセイのような軽く読めちゃう本って、こいつ(=私のこと)、知識も経験も浅いなぁ、簡単な内容しか書いてないって、思われそうですよね」
と不安を口にしたら、
そのベテラン編集者は、
「田中さん、簡単にサクッと読めるというのは文章、表現のことであって、ボクは、この裏にたくさんの知識やスキル、経験があるんだな、というのを田中さんの文章から透けて見えると思っているので、執筆を依頼したんですよ」
とおっしゃった。
この言葉は、長く(軽く20年)、私を励ましてくれている。
というわけで、今朝のVoicyは、「タイトルに”入門”がつく本を10分でできるだけ紹介する」チャレンジです!どうぞ。
9/27(金)19時~は、私が最近読んだ本をつらつら紹介する生放送を予定しています。こちらも合わせてどうぞ。
生放送のリンク。
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