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棚橋弘季 Hiroki Tanahashi
2018年3月25日 11:20
同じように、過去における思考史の転換点がまさに16世紀と17世紀にまたがるくらいの時期にあったのだ。ただ同じ転換点でありながら、16世紀、17世紀という時代は、すでに迷宮の中に深く迷いこんでしまっている現代よりは、人間が自分たち人間の思考の仕方自体を意識的にデザインしていく必要があるのだということに自覚的だった時代であるように思う。そして、その新たな思考方法を自覚的にデザインにしていこうとするプロ
2018年3月24日 15:15
さて、ここまで、16世紀の後半から17世紀のはじめにかけて「デザイン」というワードが意識されるようになった時代のヨーロッパ社会の背景として、・ そもそも、16世紀、17世紀のヨーロッパは宗教改革やそれにともなう内乱や戦争が頻繁に生じたり、小氷河期による農作物の不作やペストの流行なども重なったりと危機的な時代であったこと・ また、世界観の面でも大きな変化が生じた時代であり、航海術や天文学、医学
2018年3月23日 00:05
望遠鏡や顕微鏡などの新たな光学機器が科学の分野にもたらした影響について、視覚文化の研究者でもあり映画史家でもあるジャン・ピエロ・ブルネッタが『ヨーロッパ視覚文化史』が次のように書いている。 話は今、科学革命前夜の時代に差し掛かっている。微視的研究と巨視的研究、すなわち解剖学と天文学は、光学機器の系統的な利用のおかげで実現可能となる。つまり、光学機器はアリストテレスやプトレマイオスの思想体系に
2018年3月22日 22:47
過去に向き合うのはむずかしい。人間にとってむずかしいことは2種類あって、ひとつは知らないことに向き合うことで、もうひとつは知っていることに真に向き合うことだ。結論からいうと、そのむずかしさに対処するひとつの方法としてデザインはある。そして、同時にそのむずかしさを一層ややこしくしているのもあるデザインである。結論というにはややこしすぎる? まあ、そうだろう。だから、安易に結論を急ぐべきではない。