40名のマーケティング組織で活用している六角形スキルチャートを公開します
みなさん、はじめまして。田中奏真です。今はエン・ジャパンでマーケティングの仕事をしています。
先日登壇したマーケティングイベントで「キャリア形成の相談があったときに活用している六角形スキルチャート」に関する話をしました。
イベント後に多くの方から「実際のスキルチャートを見せてほしい」と声をかけていただいたので、今回のnoteで公開することにしました。
参考 - 同僚のPMが書いた記事
エン・ジャパンの同僚でプロダクトマネージャーの岡田さんが、2019年にプロダクトマネージャー向けのスキルチャートを公開しました。当時のツイートとnoteがこちら。
PMと同様に、マーケターの役割も言語化が難しい。事業会社とマーケティング支援会社で役割は異なりますし、マーケターが担える業務範囲によって求められるスキルも変わります。
エン・ジャパンのマーケターも、担当するプロダクトや領域によって仕事内容が違います。マネージャーとメンバーにおいて、キャリア形成の情報にズレが生じることも多かったです。
マーケターの六角形スキルチャートを作成してからは、社内の共通言語として機能したので、コミュニケーションがスムーズになりました。
これから公開するスキルチャートは、エン・ジャパンのマーケターが担っている業務範囲で最適化しています。あくまでも社内で使用しているスキルチャートであることはご了承ください。
Marketer SkillChart HEX(ヘクス)
下記の六角形マップが、アウトプット。点数はサンプルです。
HEX 基本の6領域
スキルチャートを構成する6つの基本領域は下記を選びました。
①Project Management
②Data
③Growth
④Creative
⑤Research
⑥Business
Project Management は、ビジネスゴールとユーザー体験を両立させるために、プロジェクトを推進できる能力です。解決すべきマーケティング課題を設定して、プロジェクトの計画と実行ができるスキルです。
Data は、データ活用の能力です。データ分析を通じてマーケティングの課題を見つけ、有効な解決策を実行できるスキルです。改正個人情報保護法やCookieless関連の理解も求められます。
Growth は、プロダクトを成長させるための能力です。機械学習、広告運用、クリエイティブ自動生成、マーケティングオートメーション、CXプラットフォーム、BIなど、課題解決につなげる技術を扱うスキルも含まれます。
Creative は、UI/UXを向上させる能力です。自らデザインし、社内外のリソースをディレクションしながら、ビジネスゴールとユーザー体験を両立したクリエイティブを創り出すスキルです。
Research は、顧客理解の能力です。顧客にアンケートやインタビューを行い、ナラティブ分析によって顧客の変化を知り、顧客体験の改善や設計ができるスキルです。
Business は、ビジネスを加速させる能力です。自社や競合のビジネスモデルを理解して、マーケティング思考で行動できるスキルです。P/LやB/S、C/Fなどの財務諸表や経営知識も含まれます。
以上が、エン・ジャパンのデジタルマーケティング部に所属するマーケターに求められるスキルです。次に、6つの領域ごとに設定した、5段階のレベルについて説明します。
①Project Management
ビジネスゴールとユーザー体験を両立させるために、プロジェクトを推進できる能力です。解決すべきマーケティング課題を設定して、プロジェクトの計画と実行ができるスキルです。5段階のレベルはこちら。
新入社員は、レベル1の「プロジェクトの目的、目標、計画、リソースを理解」からスタートします。その後、タスクマネジメントやリソース配分の経験をして、プロジェクト目標達成ができるレベルに。
上司に任されたプロジェクトを推進できるようになったら、自らプロジェクトスコープを設定して、ビジネスゴールを達成させるレベルを目指します。
レベルアップの目安となるスキルや知識は、下記を選びました。
②Data
データを活用する能力です。データ分析を通じてマーケティングの課題を見つけ、有効な解決策を実行できるスキルです。改正個人情報保護法やCookielessの理解も求められます。
新入社員は、レベル1の「基礎的なデータ集計や分析」からスタートします。その後は、BIツールなどの活用やデータを用いた仮説検証、高度なデータ活用を行います。最終的には、データから導き出した課題や解決策を経営層と議論できるレベルを目指します。
レベルアップの目安となるスキルや知識は、下記を選びました。
③Growth
プロダクトを成長させるための能力です。機械学習、広告運用、クリエイティブ自動生成、マーケティングオートメーション、CXプラットフォーム、BIなど、課題解決につなげる技術を扱うスキルです。
新入社員は、レベル1の「担当プロダクトとユーザーを理解」からスタートします。マーケティング施策を自己完結で進行できれば、エンジニアや営業と連携して、よりインパクトが大きなアウトプットを目指します。
最終的には、プロダクトを成長させるためのKGIやKPIを自ら設定し、関係者と調整できるレベルを目指します。
レベルアップの目安となるスキルや知識は、下記を選びました。
④Creative
UI/UXを向上させる能力です。自らデザインし、社内外のリソースをディレクションしながら、ビジネスゴールとユーザー体験を両立したクリエイティブを創出できるスキルです。
新入社員は、レベル1の「デザインの基礎知識を持つ」からスタートします。次に、バナー広告や動画広告、ランディングページなどを自らデザインして、ユーザー体験の向上を目指します。
レベルアップの目安となるスキルや知識は、下記を選びました。
⑤Research
顧客理解の能力です。顧客にアンケートやインタビューを行い、ナラティブ分析によって顧客の変化を知り、顧客体験の改善や再設計ができるスキルです。
新入社員は、レベル1の「顧客のアンケート結果やユーザーインタビュー結果を把握」からスタートします。
顧客理解ができれば、顧客向けのアンケートやインタビューを設計できるレベルを目指します。顧客に質問する項目が変われば回答も変わるので、アンケート設計力は重要です。
その後は、カスタマージャーニーマップを作成して、CX戦略立案にもチャレンジします
レベルアップの目安となるスキルや知識は、下記を選びました。
⑥Business
ビジネスを加速させる能力です。自社や競合のビジネスモデルを理解して、マーケティング思考で行動できるスキルです。P/LやB/S、C/Fなどの財務諸表や経営知識も含まれます。
新入社員は、レベル1の「情報収集、論理的な文書作成、コミュニケーション」からスタートします。自社や競合のビジネスモデルやマーケティングを理解したら、問題解決に挑戦します。
発生型の課題を解決できるようになれば、潜在的・探索型の課題の解決に進み、最終的には自ら新しい課題設定をして解決するレベルを目指します。
レベルアップの目安となるスキルや知識は、下記を選びました。
スキルチャート作成後に発生した変化
2022年4月にマーケターが8名入社。マネージャーと新人が1on1でスキルチャートを見せ合ったところ、新人の日報に次のことが書かれていました。
自己採点で作ったスキルチャートと、先輩や同僚に採点してもらったスキルチャートを並べて比較して、認識のギャップを発見できた社員もいました。共通言語でコミュニケーションできるツールは便利です。
マーケターの採用にも良い変化がありました。採用面接で事前にスキルの確認ポイントを整理できたことや、応募者にも入社後に習得できるスキルを伝えやすくなりました。特に経験者採用においては、ミスマッチを防げます。
今回公開したマーケター スキルチャートは、来年の新入社員向けにアップデートします。みなさんからいただいた意見も参考にして、ブラッシュアップを続けたいと思っています。様々な事業会社やマーケティング支援会社の方々と議論できると嬉しいです。
ad:tech tokyo 2022 に登壇します
今年の会場は、東京ミッドタウン & ザ・リッツ・カールトン。昨年と比べて多くの変化があると聞いているので楽しみです。私は Data & Technology のプログラムに出ます。イベントに参加される方とお会いできるのを楽しみにしています!