餃子を極めたい
医療系の研究施設で働いている。僕は短期転勤族だ。今の事業所は10ヶ所目。ストレスもなく楽しく暮らしている。転勤を繰り返している理由は、写真が好きだからだ。長期滞在型の旅行と思っている。
とはいえ引越の楽しみは写真だけではない。料理も楽しい。そこの地のものを調理できる楽しさもあるが、普段使いのスーパーが変わるだけでいい刺激になる。地域が変わるとスーパーの方向性も変わるのだ。それを感じることが楽しいのである。
おかげでぼくの料理スキルも上がった。失敗も少なくなった。レパートリーは増えてはいないが、ひとつひとつの料理の質は良くなったと思う。
餃子もそのうちのひとつだ。白菜やレタスも試したが、やはりキャベツが一番いい。甘味が違う。生や塩揉みも試したが、塩茹がキャベツのポテンシャルを一番に引き出していた。
塩茹でキャベツと豚ひき肉との比率は1:1がベスト。そこに刻んだニラを入れる。おろしたニンニクは多めに。たまごは1個。味付けは香味シャンタンをベースに醤油とオイスターソース。すこし濃い目に作るのが僕流だ。すべてを手で混ぜて、最後にその手を舌につけることで味見をする。母の真似だ。これでおなかを壊したことはない。
餃子の皮は自作した方が圧倒的に美味い。薄力粉に少々の塩を加えて水と合わせる。分量は、薄力粉:水=2:1。混ぜたら捏ねる。小さな玉をいっぱい作る。麺棒で丸く伸ばす。案外出来るもの。市販の皮よりも大きくした。そうすることで包む量を減らせる。やはり包むのはめんどくさいのだ。
餃子の皮で包む作業は座って行う。なんなら酒も用意しておく。万全の準備で長丁場を越えていくのだ。焦ってもしょうがない。ミスが起こるだけだ。包を疎かにすると、火を通すときに惨事となるだろう。
餃子は3種ある。焼き餃子、水餃子、揚げ餃子。はたして一番おいしい調理方法とは。その問いを解きにいった。正しく比べるためには条件を合わせる必要がある。同じ生餃子をそれぞれの方法で調理した。
結果から言うと、焼き餃子が一番おいしかった。自作の皮はもちもちの食感が売りだから、水餃子が一番だと思っていたが、焼き餃子でももちもちの食感は生きていて、そこに香ばしさが加わって圧勝していた。
揚げ餃子も不味くはなかったが、市販の皮との差が消えて、普通の美味しさに留まっていた。
餃子のたれは、醤油:酢=1:1。そこにオイスターソースとラー油を足す。これで餃子も美味いが、ライスも美味い。調理時間は1.5時間ほど掛かるが、この瞬間にすべて報われる。
やはり料理はおもしろい。写真にも収めた。なかなかのお気に入りだ。皮から作る焼き餃子は頻繁には作れないが、またいつか作りたい。極めた感は強いがまだまだだろう。もっと上を目指して、毎日の自炊を頑張っていこうと思う。