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「カフカはなぜ自殺しなかったのか?」という本を読みはじめて
カフカの本を読了したことはない。「変身」を2〜3ページ読んだことが数十年前にあるくらいだ。ではなぜこの本を読もうと思ったのか。それは単純に本屋の特集コーナーにカフカに関する本が並んでいて、題名にインパクトがあったからだ。
オレにはカフカと同じように強い希死念慮がある。そしてカフカと同じように自殺未遂も自殺もせずに生きている。カフカは最後は病死した。
カフカは41歳の誕生日の1ヶ月前に結核で死んでいるが、オレは今年で50歳になるがまだ生きている。カフカよりも長く希死念慮と付き合っているし、いまだに自殺未遂も1度もなく生きつづけている。天才カフカの上をいっているぞと、意味もなく誇らしく思ってみたりする。
まだこの本は読みはじめたばかりだけど、最近オレがよく考えていることについてのカフカの考えが偶然にも書かれていた。オレは至極興奮した。
それはカフカが20歳のときにオスカー・ポラックに宛てた手紙だ。
いったい何のために、ぼくらは本を読むのか?
君の書いているように、幸福になるためか?
いやはや、本なんかなくても、ぼくたちは幸福になれるだろう。
それに、幸福になるための本なら、いざとなれば、ぼくたち自身でも書ける。
いいかい、必要な本とは、
苦しくてつらい不幸のように、
誰よりも愛している人の死のように、
すべての人から引き離されて森に追放されたように、
自殺のように、
ぼくらに作用する本のことだ。
本とは、ぼくらの内の氷結した海を砕く斧でなければならない。
「カフカはなぜ自殺しなかったのか? 頭木弘樹 p24〜p25」
本を読むひとは本当にたくさんの本を読んでいる。オレも遅読・積読ながらも本を読む。「オレたちはいったい何のために、本を読んでいるのか?」と考える。
“本とは、ぼくらの内の氷結した海を砕く斧でなければならない。”
とカフカはいう。
なるほど確かにと思う。オレはこのカフカの手紙に氷結した海の一部を砕かれている。
氷が解かされたのではなく、砕かれるのだ。
この本を読み終わったら、「変身」でも読んでカフカに斧に砕かれようと思う。