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帝京大ラグビー部・相馬監督に聞く!日本一のチーム<後編>
タミヤホームのオープン社内報では、
新たに相馬監督との対談シリーズをお届けします!
相馬監督はラグビー全国大学選手権で日本一4連覇を成し遂げた名将。
そのチームビルディングの極意を、会社の運営や組織づくり、そしてスポーツに打ち込む学生たちのキャリアにどう生かせるのか、深掘りしていきます。
「日本一の組織づくり」から学び、タミヤホームの未来を切り拓く
——そんな思いで企画が立ち上がりました。
【相馬監督プロフィール】
■帝京大学 ラグビー部監督 (2022年度より)
■1996~2000年 帝京大学ラグビー部
■2000~2014年 埼玉パナソニックワイルドナイツ(三洋電機)
■ラグビーワールドカップ2007 日本代表
■引退後、パナソニックのスクラムコーチ・ヘッドコーチ
2021年秋に帝京大FWコーチを経て現職。
この記事は、
【ラグビー全国大学選手権大会・4連覇達成!】後編
をお届けします!
前編では、4連覇を達成したチームの根幹となる
「ダブルゴール」についてお話を伺いました!
相馬監督にはインタビュアーの質問に答えていただき、
聞き手としてタミヤホームの社員も同席します。
今回の聞き手は、当社の常務執行役員・和田さんです。
相馬監督の視点を通じて、スポーツと企業経営の共通点を探り、
タミヤホームとのシナジーを生み出すことを目的としています。
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Q:今回の全国大学選手権大会での「日本一」はダブルゴールの中に掲げていたのでしょうか?
相馬監督:
そうですね。
ダブルゴールの一つは、「日本一になる」です。
それがないのに先のことをもう一つの目標にするなんて、そんな話にはなりえません。
ただ、帝京大学ラグビー部に入部する選手は、他の大学からもお誘いがあったなかで、日本一になる、その先自分がより選手として大成するために、我々のチームを、帝京大学を選んでくれているので、日本一になるのはあくまでも通過点なんだと、自分が将来でさらに活躍するためのプロセスの中に大学日本一があるという意識を持つように伝えてきました。
Q:日本一は意識していたけど、ダブルゴールのゴールではないということですか?
相馬監督:
そうです。日本一になることはゴールではなく、
もっと先にあるゴールの通過点である、ということを意識させるようにしていました。
私自身が、日本のトップチームで選手生活をしてきた時も、
コーチをしていた時も、この考え方をものすごく持っていました。
いろんな場面で、選手に求めることは何なのか、という議論が
よくされます。
結局たどり着くのは、「何でも全力で取り組める」なんです。
全てにおいて全力で取り組むこと。
これ以外選手に望むものないだろうっていう結論にたどり着くんですよ。
いろいろなグループで議論になりましたが、結論は同じでした。
2019年のワールドカップのコーチグループで話したときも同じ結論、
ワイルドナイツでもそこにたどり着きました。
今も選手に求めることは、とにかく全力で取り組むことだけなんです。
目の前のこの一瞬一瞬全力でやることです。
ダブルゴールとは矛盾してるようにも感じるかもしれないんですけど。
ダブルゴールで、「将来のこと見て夢に向かっていくぞ」と言いつつも、
普段は「目の前のこと」一番短いスパンで考えたら、
本当に「一瞬一瞬」なんです。
目の前の試合、全力でプレーしなさい、対戦相手、背番号、点差、関係なくその一瞬一瞬、全力でプレーすることがプレーヤーとしての責任だという話になります。
でも、ダブルゴールも、日本一も、積み重ねの先にしかないんですよ。
Q:日本一はあくまでもステップの一つで、そのステップをあがるために、目の前のことを着実に進めていくことを伝えてきたんですね。
相馬監督:
みんなが目の前のことに集中しすぎていると、「日本一に向かっていくんだ」と言います。
逆に、遠くの目標ばかりを追い求めているときには、手前を指さす。
それが監督の役割なのかなと思います。
去年の対抗戦で早稲田大学に負けた時に、早稲田大学さんは「この試合で帝京に勝つことだけを我々は考えてきた」というようなことを聞きました。
明治大学さんもよくそういう表現をされるんですよね。「帝京に勝つために」と。
もちろん対抗戦という、1個1個の対抗戦で言えばもちろんそれが正しいことなんだと思います。
でも、私は帝京大学の選手たちに対抗戦で負けた時に励ますためにも、こんな風に彼らに伝えました。
「こうやって他のチームが言っている時点で、俺たち日本一になれると思うよ。だって私たちのチームが最後に(全国大学選手権大会で)勝つことしか考えてないんだから。」と。
だから私自身もこの試合に対して全力で臨んでなかったということに気が付いたんです。
Q:では、対抗戦で早稲田大学に負けたことが一つのターニングポイントだったと言えるんですか?
相馬監督:
そうですね。
「できる」につながるには「分かる」がないと絶対にダメなんです。
負けた2試合(8月の夏合宿と11月の対抗戦で早稲田大学に敗戦している)は、自分たちがするべきことを全くできずにゲームを終えて負けていました。
これが、相手が準備したことが全て発揮されたり、我々がするべきことをしたのに全て相手に通じなかったりした試合で負けたならば、私ももっと別のことを考えるし、私自身に問題があると思えるんですが…
この負けた2試合は、
結局やるべきことを何もできずに終わって負けているのです。
最初に負けた夏の試合の時は、まだ本気でお互いに分かり合おうとしなくて、このままだと厳しいな、と思っていました。
極端な話、早く(全国大学選手権大会の前にまた)負けないかな。
次も負けないと、きっと分かんないだろうな。と感じていました。
というのも、2024シーズンのチームは、ポジション争いをしてポジションを勝ち取ったという子がそんなにいなくて、前の年の4年生が卒業して、そのまま新4年生としてレギュラーになり、下級生からの突き上げもそんなにない選手がすごく多かったので、一度負ければきっとこの子たちは気づくのかな。負けるなら早いうちに負けてくれないかなって。思っていたんです。
11月の対抗戦で早稲田大学さんに負けて、本当にいろいろ動き出しましたからね。俺たちはきっと分かってないんだ、チームがどうすべきかって。
Q:それは監督から声かけがあったんですか?それとも本人たちで何か分かっていない部分があるんですか。
相馬監督:
リーダーたちがすごく活発に、リーダー同士も分かり合えていない。キャプテンも自分の思いを言語化しなきゃいけない。キャプテンもすごく積極的に周りと喋るようになったし、周囲からは、わざと負けただろうと言われました。さすがにそんな度胸はないです。でもそういうふうに見えるかもしれないような負けだったですね。
本当に分かり合うために必要なことを彼らが整理していって、私たち(監督コーチ陣)に求めてくることがすごく増えたんですよね。今まではある程度私たちは選手に任せて進めていましたが、彼らの中で一度立ち止まって、監督はどう考えてるんだと聞いてみようと、そういうのがすごく増えたんですよね。
Q:監督としては手応えを感じましたか?
相馬監督:
すごくありましたね。
私は4年前、チームに入って、チームのラグビーを整理してきました。
それ以前は、1996年から長年帝京大学ラグビー部の監督をされてきた岩出先生(前監督・現顧問)がチームを作り、岩出先生の下でラグビーをしてきた学生たちがいるわけですよね。
(岩出前監督は、2009年度から全国大学選手権優勝9連覇を達成され、2019年度、2020年度と2年優勝から遠のき、再び2021年度に優勝。2021年度に相馬さんがFWコーチとして帝京大学に加わり、2022年春に監督に就任しました。)
前監督から私へ、そして、だんだんだんだん主権を私から学生にどんどん渡していくようなチーム作りをしてきました。
ある程度、どういうラグビーをするんだ。ということを学生主体で動かし、そういうことを理解し始め、時間かけてチームを作ってきた一つ上の代(2023年度生)が卒業していきました。
2024年度生は僕たちはできるって思ってたかもしれないですが、早稲田大学に二連敗したところで、「あれ?僕たちもしかしたらできてないのかもしれない」って立ち止まって考える時間になったんです。
私もダブルゴールの話をしていますけど、
実は、優勝した後、記者会見で「4連覇ですけど…」と言われた時に、
「あれ?4連覇っていうことに対して全く考えてなかったな」と気づいたんです。
「すみません、何も考えてません。」って言ってしまいましたよ(笑)
それぐらい、これまでの積み上げてきた連覇の数よりも、
今年、日本一になること、という目の前の試合に対して、私自身の気持ちも向かっていたんだと思います。
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和田常務:
お話をお伺いしている中で、
スポーツとビジネスのマネジメントには、共通する点が多いことに気づかされました。
時に指針を示して導き、時には部下に信頼を置いて任せる。
そういったコミュニケーション、バランスが上手く取れていくと
必然的に組織全体の成長、強化に繋がっていくのだと
再認識させられました。
相馬監督のおっしゃる通り、仕事もビジネスもまずは、
目の前の事を一生懸命、全力を尽くす事が大前提であると思います。
その上で、一つの可能性に囚われないダブルゴールの意識を持って全社員が成長出来るよう、一つの指針でいられるよう、自身も成長していきたいと思います。
本日は貴重なお話をお伺いさせて頂き、誠に有難うございました!
相馬監督、和田常務、ありがとうございました!
前編で伺った、帝京大学ラグビー部の伝統である「ダブルゴール」。
これは「日本一4連覇」という偉業を達成するために不可欠であり、ダ
ブルゴールがあったからこそ成し遂げられたのだと、チームの一年を振り返る中で実感しました。
「日本一(の先の目標)」と「個人の成長」の両方を追求する帝京大学ラグビー部の姿勢は、私たちタミヤホームにも大きな勇気を与えてくれます。
タミヤホームも「業界日本一を目指す」という目標を掲げ、
社員全員で進んでいます。
そのために「個人の成長」を大切にすることも重要です。
帝京大学ラグビー部と同じようにダブルゴールを掲げることで、
その先に「日本一」があると確信しています。
今後もタミヤホームでは、
帝京大学ラグビー部・相馬監督へのインタビューを通じて、
社員の成長を促し、業界日本一を目指していきます!
インタビューの様子は、こちらのオープン社内報で公開いたします。
次回をお楽しみに♪