【大好きだったのに】さらばブラック企業【閉鎖をするなんて】~後編~
前回までのあらすじ
【2代目社長のやっつけ仕事】
突然現れた新社長は、なぜかヘラヘラしていた。
「kamayuraさん、久しぶりですねえ!」と、やけに元気よく挨拶され「お、おぅ…」と戸惑う。
引き連れたお供に
「末端事務員の名前も覚えている僕ちゃん、すごくなーい?」とドヤっている会話も聞こえた。
えーー、僕ちゃんぜんぜんすごくないよぉー。私はkamayuraじゃねえ、tamayuraだ。覚えとけ、小僧(高野と高木のような間違い)
ところで小僧。ひとつ質問しても良いかな?
なんでそんなにご陽気なの?
こちとら全員、お通夜ムードなんだが?
私たち全員が無職になった原因の、跡継ぎの僕ちゃん。パパの元で何を学んできたか知らないけど…
あなたの手腕が冴えなかった結果、ここが閉鎖なんだが?
だからなんなんだ、そのにやけた顔は。
「元からこういう顔なんです」とか、絶対に許さないんだからね!
どうやら新社長は、申し訳ないと微塵も思っていないらしい。口先ですら言わない。謝ったら5秒後に爆発するの?って勢いで謝らない。
しぶしぶ集まったみんなの前で、何を話すかと思えば
「ねっ!今回は本当に残念な結果で、え~、ねっ!」って、まるで他人事。
「僕が社長になって初の大きな仕事でね~。あの仕事取れなくて悔しかったなぁ〜!その結果、ここ閉鎖しちゃうけど、めんごめんご★」
要約すると、そんな事を言っていたかな。
まあ僕は頑張ったんだけどね!と、アピールして軽やかに去っていった。
外車で。
【結局何しに来た?】
結局、新社長が「職を失う私たちに真摯に向き合う姿勢」は、最後まで一ミリも見られなかったな。
心のどこかで、「このような結果を招き申し訳ない」という言葉を待っていたけれど、最後まで言わなかった。
「僕が社長に就任して、初めてのおっきな仕事!こんなに頑張ったのに成果に繋がらないの、悔ちいっ」って話しかしないんだ、このボンクラ若社長は。
背後に控えた専務達が、「若、そうじゃないです…」と言いたげな、苦い顔をしていたのを覚えている。
無駄にシュッとしたスーツ姿が腹立つなあ。その高そうな眼鏡。裏山に放り投げてやろうか!…なんて、できるわけもなく。
せめてもの抵抗は、新社長が満足げに話し終えたあと、誰もリアクションを取らなかったことかな。全員「無」の表情で棒立ちのまま。
まさか拍手でももらえると思ったのか?「あ、あれ?」て顔でキョロキョロ見ていたけれど。プークス案件です。
最後に
新社長の登場で涙も引っ込んだし、なんだかシラ~っとした空気に一変。さっきまでの感傷ムードはどこへやら。みんなで作業服を会社のゴミ箱に捨てて、さっさとお別れ会に向かいました。
私は事務服だったので、帰宅してから無言でゴミ箱ダンクしたよ。
二代目が会社潰すって、よく聞く話だけど…手始めに潰したのが、私の愛した営業所だとは。
去りゆく我が社の益々のご発展、今はまだ願えそうもないや。
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