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【残酷描写の難しさ】

たまにはシナリオライターらしい話でもします。
今回は「残酷描写の難しさ」について思うことを共有していきます。


最近は普通の商業作品で、結構エグめの残酷描写がされることも多くなりました。
コンプラを考えると難しそうな気がするんですけど、意外と大丈夫なんですかね?
いうて昔のゲームなんかやりたい放題だった気もしますが……。
 
私もよくフリゲSRPGをプレイしております。
戦記物がそもそも多いためSRPGだと割と残酷描写は高頻出な気がします。
残酷描写は本能に訴えかけるため刺激が非常に強く、印象に残りやすいです。
ですがその反面、他のシーンの印象が薄くなったり、更なる刺激を構造的に見せていかなければ尻すぼみに見えるなど、扱いに難儀する点が多い。
 
私がプレイした中だと『骨大陸戦記』は激しい残酷描写がありながらも、しっかりとした世界観・人物描写・ストーリーが嚙み合って非常にプレイしていて面白かったですね。
本作はシナリオが非常に優れているゲームの一つなので、シナリオの面白さを求める方にはオススメのSRPGです。
残酷描写が戦争を引き立たせる一つの味わいに昇華されています。

……とまあ上手くハマっていれば効果絶大なんですけど、それを調整するのが難しい。
どうしても書いていると気持ちよくなって、乱用したくなってしまうんです。
効果的に使えれば良いアクセントになるのですが、入れること自体が目的化して結構暴走しがちに感じます。
これの用法容量を大きく誤り、ブートジョロキアみたいな激ヤバ表現を叩き込むと大変なことになります。
作品全体がその残酷描写に食われてしまいますからね。
 
私も自作で重めの残酷描写(四肢欠損・薬漬け・命乞い)などを入れていたのですが、相方から「百合恋愛SRPGと言っているのになんか方向性が違くない?」と助言をもらい、悔い改めてマイルド表現にしました。


残酷描写って、書いてるときは脳汁がドバドバで気持ちいいんですよね……。
なんか知らんけど、高尚なことを書いているような気にもなるんです。
作品のアクセントとして機能するのは間違いありませんし、そもそも残酷描写自体が作品の根幹に関わってくるパターンもありますので一概にダメとは言えません。
 
私の場合、百合恋愛SRPGということで作品を宣伝しています。
そこに残酷描写を入れることで、作品としての完成度が増すのかを冷静に分析してみたんですね。
 
結果としましては「一ミリも得がなさそう」だったので、できるだけ排除しました。
一部ですがキャラ造形上、精神的な残酷性である胸糞展開とかもあったりするんですけど、これはもうシナリオ上、描写が必須だと思っているので仕方なし。
意味のないシーンでのナンセンスグロみたいなものはやめました。
せっかくプレイしていただいたからには、ねっちょりと百合恋愛描写を楽しんでいただきたいですし。
恋愛シーンは色々種類を用意したので、お好きなものでご満足いただけると勝手に思っています。
 
「残酷描写がないとリアリティがない!」ってご意見もありそうですが、リアルとリアリティは違いますからね。
「エンタメ的に面白くなりそうか?」が一つの基準である以上、描写をするかどうか選ぶのはライターの自由意思によります。
これは大先生である岸部露伴も言ってますから……。


作品上、必然である残酷描写は入れる。
それ以外はなるべく入れない。
何回でも言いますけど、入れている時は楽しいんですよね……。
シナリオの骨組みはあくまで論理的に、キャラ造形は柔軟に。
キャラをないがしろにして「自分が入れたいから入れる!」っていうのをなるべく排除していく方向性が丸い気がしました。
作者は作品内であんまり自我を出しちゃダメなんやな……。


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